牛首紬の特徴は?と尋ねられて一番に答えるのは、
「ヨコ糸に玉繭から挽いた糸を使っています!」
というフレーズです。
玉繭とは、2頭の蚕が共同で一個の繭にしたものを言います。
この玉繭は、普通の養蚕をしているときの2~3%の偶然でしか生まれません。
不思議なことに気の合った雄と雌しかこの玉繭を作らないと言われています。
しかし、糸づくりの際に繭から2本の糸が出るため、糸をつくるときに必ず絡まって節となってしまい、きれいな糸が作れません。なので、繭としてはクズ繭扱いで売ることができませんでした。
旧牛首村は日本でも有数の豪雪地帯。温暖化といわれる今日でも一晩に雪が1メートル積もることもあります。雪に閉ざされた冬に、村の女性たちは売れなかったクズ繭から糸を挽いて愛する家族のために着物を作っていたのです。
牛首紬は現在でも伝統の技法でこの玉繭から糸を引き、織り上げています。
特に玉糸づくりは職人の勘に頼る部分が大きく難しい作業となります。
糸の絡み合った部分が牛首紬独特のネップとなり、牛首紬の独特の味となっています。
今から10年ほど前になりますが、この玉繭のお話をふたりの若い女性にしたところ、
「恋愛の御守りにしたいので玉繭が欲しい。」とお願いされ、熱心に説明を聞いてくれたお礼にそれぞれ一個の玉繭をプレゼントしました。
それからちょうど1年後、そのときの女性2人が、
「玉繭のお陰で、その後良い出会いがありふたりとも結婚が決まりました!」
とわざわざ報告とお礼にきてくれました。
こんなエピソードがあって出来上がったのが今回のリターンの一つとなっている「恋まゆ」です。牛首紬の小袋の中に玉繭をいれてあり、玉繭にあやかって良縁の御守りとなるよう願いを込めています。
信ずるか信じないかはあなた次第です(笑)