9月24日、秋風が心地いい日曜日、埼玉県所沢市にあるカフェ「Chilling(チリング)」で、ランチ付きワークショップ「デザイナーとつくる、ファブリックアートフレーム」を開催しました。
1)はぎれを使ったワークショップ
簡単なあいさつのあと、まずはアートフレーム作りから。フィリピン、インド、インドネシア、台湾、グアテマラなど、世界各地の民族衣装のかけらを自由にセレクト。フレームの下地に貼り付けていきます。それぞれのセンスの見せどころです。
汚れ防止にテーブルに敷いた英字新聞を材料として使ったり、フリンジのひもを文様のように巻いたり、布がフレームから飛び出したりと、これまでの大人のワークショップにはないユニークな作品が揃いました。「見たことのないはぎれにたくさん触れられた。童心にかえってあれこれ試行錯誤できたのが楽しかった」という声をいただきました。
2)お楽しみのランチは地元有機野菜がたっぷり
ワークショップの後はお楽しみのランチ。チリングは、今年6月オープン。築80年と推測される古民家をリノベーションしたコミュニティカフェで、地元農家の有機野菜を中心としたメニューが味わえます。
今回の食事は、野菜たっぷりのオーガニックランチとキャロットケーキ。「野菜ってこんなにおいしいんだね、感動する」と、うれしい声が飛び出しました。
3)特別支援学校の様子をプロジェクターで紹介&感想シェア
食後は、プロジェクターをつかって、埼玉県立和光南特別支援学校と埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校のレポートを紹介。およそ30分間、撮影秘話などを含めたリアルな学校の様子、私が感じたことをお話しました。ご参加いただいた方々の感想の一部をご紹介します。
◯特別支援学校へ何か協力をしたいが、どうやって学校とつながったらいいかわからない。
◯「障がい」ってなんだろうか。ボーダーラインがわからない。自分自身も同じ特性をもっていると思うことがあるから。
◯障がいをもった方々の助けをしたい気持ちはあるが、なにができるか、何をしたらいいのか、わからない。
◯(教員)学校の中から見る福祉と、学校の外から見る福祉とは、違った景色だなと気づいた。生徒たちはもっと社会との接点をもつべき。今回の経験は、生徒たちにとってもいい刺激になったと思う。
◯今回のレポートを見て、自分の中の何かが動かされた気がする。参加者の言葉やエネルギーがあたたかくて感動した。障がい福祉を深く知れて、自分自身にエネルギーをチャージできた。
◯私自身、幼いころは落ち着きがなく、いまならグレーゾーンではないのかと思うことがある。学校と社会の間にあるロックをはずしたいという主催者の想いに共感する。
◯人は誰しもできること、できないことがあり、それぞれの個性にあった仕事ができればいいと思う。それは障がい者も私たちも同じことであり、その点では、私たちにボーダーラインはないと思う。
◯世の中にはいろいろな方がいて、すべての生に優越はなく、役割をもって認められることがどれだけ大切なことか、つくづく感じさせられた。
◯生徒さんたちの「ぼくらは自由を習っていない」という言葉が印象的だった。すべて自由に。。はむずかしくても、このワークショップのようにフレームを用意して、決められた範囲の中を自由に、というやり方だと彼らも表現しやすいのだろうと思う。これは私たちも同じ。
◯障がいがあるお子さんの親は、ひとりで戦っている方が多くみられる。ひとりで背負い込まないで。私たちも一緒になって考えたい。
風通しのいい福祉を実現するには?
2021年の文科省の調査では、特別支援学校の在籍者が14万6000人(前年度比1500人増)で過去最多を更新。学校数も11校増え、1160校に。少子化が進行する一方で、特別支援学校のニーズは高まっています。和光南では、本来の学級数の2倍以上を超える65学級と過密状態です。
両校は今年度から「コミュニテイ・スクール」制を導入。学校と保護者と地域で知恵を出し合いながら、いっしょに子どもたちの成長を支えるという取り組みです。今回、みなさんの率直なご感想を聞きながら、私自身もこれから何ができるだろうかとあらためて考えました。
私は福祉の専門家ではありませんが、外部の人間だから見える景色があります。いろんな福祉作業所を見ていても、新しい風を運ぶのは多くが異業種の人間。風通しのいい福祉を実現するには、たくさんの人がそれぞれの視点で、やさしさをもって関わることが大切だと思います。
ご参加のみなさま、有意義な時間をありがとうございました。
協力:チリング
場所=埼玉県所沢市西所沢1-5-17
アクセス=西武池袋線「西所沢」駅から徒歩2分
https://www.instagram.com/chilling_tokorozawa/