さて、プロジェクト公開から一週間がたって、最初の慌ただしさが一段落したこれからは私たちの水素バイクに深い興味を持つ方々がここを見てくれるようになるのかな、と思います。
そこで、いよいよ水素バイクの技術解説を始めることにします。まずは2005年から開発を始め、現在もイベントなどでの展示で大活躍の1号機についてご説明します。その成し遂げた栄光とどうにも解決できない問題を抱えた挫折の記録でもあります。(^o^)
1号機の目的は既存のガソリンエンジンをできるだけ最小限の改造でカーボンニュートラルな水素バイクが作れることを示すことにありました。
そこで、タンクも既存の3.4L-148気圧のボンベをそのまま積み、キャブレターを通さずインジェクションで掃気ポート4箇所に水素をコンピュータ制御で噴くように改造をしました。それ以外のエンジンのメカニズムは全く変更していません。それどころか実はキャブもついています。ただ、このキャブレターは空気の量を調節することと、2ストの潤滑オイルを供給しているだけで、もちろんガソリンの霧化という本来の仕事はしていません。見た目はインジェクターもキャブレターも両方ついていて、ちょっと変ですけどね。(^o^)
このようにオイルによるエンジンの潤滑という2ストロークエンジンの機構がそのままですから、エコバイクなのになんと「煙を吹く」んです。いいでしょう?2スト好きのみなさん。(^o^)
「煙なんか吹いてちっともエコバイクに見えない。」などと思ったみなさん、早まらないでください。この2ストオイルに昔のカストロールのような植物性のオイルを使うんです。そうすると、植物が育つ間に吸収したCO2を燃焼しているだけですから、この水素バイクは
「カーボンニュートラルです!!」と言い張ることができると思うんです。(^o^)
まあ、混合比が1:50の場合だとCO2の98%ぐらいの削減はもとよりできてるわけで、そのうえで植物性オイルを使えば、まあ見た目の煙ぐらいは我慢してください。
このような屁理屈もいいながら、水素バイクの1号機はそれでもなんとかフツーに走るようにはなりました。ただし3.4Lのボンベでは航続時間がたったの10分ほどです。おまけにその充填には3,000円もかかります。これではとうてい実用にはなりませんが、でも、実験をしたり走行展示をするには十分な性能を発揮してくれました。
ただ、フツーに走ると言ってもときおりクランクケース内に入った水素が不正爆発を起こしてしまいます。これが水素バイク1号機の開発が停滞した最大の理由となってしまいました。
今回はこの辺にして、次回から順を追ってこの問題の克服につながる2号機のアイディアまでを解説していきたいと思います。
ここまででも異様に長い文章になっていますしなるべく平易な言葉で説明しようということで、開発の細部はすっ飛ばして書いています。もしも細かいところに疑問などお持ちの方がいらっしゃれば、どうぞ、コメントから質問をください。どんな内容でも喜んでお答えしていきたいと思います。