私は時計を創っていて時計が好きです。スマホにはない時計の魅力を少しでも普及できればと思っております。今日は人類と時計の歴史に少し触れてみます。
人類の歴史の中で、最大の発見の一つは”時間の発明”でしょう。これによって人類は季節を読み解く事を始め、計画的に物事を進め発展を遂げてきました。
その”時間”を測る道具として、日時計から始まった時計は、砂時計・火時計・水時計・振り子式時計と徐々に人類と共に進化を成してきました。
やがて、人々は”時”を持ち歩くようになりました。懐中時計の発明です。しかし、庶民はまだ持つ事が困難でした。王族や貴族の夫人達が競い合うように、豪華な宝飾品としての時計を求めました。芸術品や宝飾品として競い合いは、時計のデザイン性や新しい素材の発展へと導き、技術的発展は時計を小型化に導きました。その環境下で、宝飾品と小型化の融合として腕時計が生まれました。しかし、残念ながら時計の精度はあまり良いとは言えませんでした。また、男性には腕時計は普及しませんでした。始めは懐中時計を腕に巻くようなモノでした。
男性が腕時計を使うようになったのも、腕時計が工芸品ではなく量産になったのも、精度が向上したのも皮肉なことに「戦争」でした。諸説ありますが、1880年、ドイツ皇帝が海軍将校用に2,000個の腕時計を、ジラール・ペルゴー社に製作させました。これが、腕時計量産の始まりだとされています。ここから人類と腕時計の歩みは本格的に始まります。
”人類の腕時計に対する信頼はとても深い”と云われます。”身体に機械を取り付ける事を唯一許されたものだから”とも言われています。メガネも身体に装備する道具ではありますが、機械ではありません。
時間を知る道具としての時計は、現代ではスマホにとって代わられているのかもしれません。前記の時代のように、工芸品、美術品、ファッションアイテムとして戻ってきているのでしょうか。何かわかりませんが、腕時計の魅力は、それだけではない気がします。