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今回は植物園のバリアフリー設備についての報告です。報告者は駄菓子屋「横さんち」の池島(いけしま)です。
どうして駄菓子屋が?と思う方もいますよね。まずは横さんちと植物園との関係について説明させてください。
横さんちは2019年掛川市にオープンした駄菓子屋です。掛川城のふもと、城下町の街並みが残るエリアに横さんちは立っています。
後述するように、そのユニークなコンセプトからメディアでも多数取り上げていただき、週末になると多くのお客様でごった返すほどの人気店です。
駄菓子屋のウリがトイレ⁉︎
横さんちのウリはなんといっても全面バリアフリーでだれもが買い物しやすいこと。
段差なし、幅の広い通路、車椅子ユーザーの目線に合わせた陳列棚など、徹底的な当事者目線の設計にこだわってきました。
その中で最もこだわったのは「トイレ」。
当店の店主でご自身も車いすユーザーの横山博則さん(通称:横さん)が「バリアフリートイレなくして外出なし!」
と言ったかどうかわかりませんが、どんなにステキなお店ができても車椅子で入れるトイレがなければ安心してお出かけすることはできないのだと教えこまれてきました。
ここで横さんちのトイレをご紹介します。
どうですか?広くてキレイですよね。でもそれだけではないこだわりがいくつかありまして。
車椅子ユーザーと打ち合わせを何度も重ねてできた、自慢のバリアフリートイレです。
そんなわけで、横さんちが事あるごとに「トイレ」と言い続けてきた結果、OZMAN(オズマン)のバリアフリートイレを監修するという大役をも仰せつかったのでした。
メーカーの言いなりになってはいけない!?
正直な話をします。
横さんちが監修に入らなければ、満足の行くバリアフリートイレにはなっていなかったと思っています。
バリアフリートイレには、各メーカーがおすすめしている「バリアフリートイレセット」のようなものがあるらしく。それは「こういう設備を、この場所に設置してください」というテンプレートのようなものなのですが、残念ながら横さんちの理想とは程遠くて。
当初、OZMAN(オズマン)でもバリアフリーセットをそのまま設置する予定だったらしいのですが、施工主さんに思いを伝えてカスタマイズしてもらうことになりました。
形だけのバリアフリートイレにはしたくなかった
私たちがここまでバリアフリートイレに対して思いがあるのは、形だけのバリアフリートイレにこれまでも多く遭遇してきたからです。
私(池島)は身体障害者のトイレ介助に入ることがあります。その際、介助者が動けるスペースが少なくて困ることがあります。私が困るということは、介助されるご本人がケガをしたり、トイレを遠慮してしまったり…ご本人にリスクが生じているということです。
画一的なバリアフリーセットからは多様な障害者のトイレニーズがこぼれ落ちており、結果的に形だけのバリアフリーになっているような気がしてなりません。
さて、話は戻りましてOZMAN(オズマン)のバリアフリートイレです。
「このメーカーさんの配置だとこういう不都合がありまして…」恐る恐る私たちの思いを伝えたところ、施工主や現場の担当者たちが嫌な顔一つせず細かい要望まで丁寧に聞き取り、プロの視点から提案までしてくださいました。
それは最高のバリアフリートイレを作り上げよう!という職人の皆さんの気概を感じるほどでした。
ということで、OZMAN(オズマン)ではシュミレーションをしてみんなでカスタマイズした最高のバリアフリートイレができました。
私たちの要望を汲み取って想像以上の提案をしてくださった施工主の夢ホームさんに、この場を借りて御礼申し上げます。
横さんち的理想のバリアフリートイレはこれだ
再度お伝えしなければならないのは「バリアフリートイレに絶対はない!」ということです。
OZMAN(オズマン)のトイレは、あくまで横さんちが今できるベストを尽くして設計したものです。広さや予算の制約もあったので、何は置いて何は置かないか(本当は置きたいけれど)という取捨選択もありました。
私たちにできるベストは尽くしたけれどテンプレとして使いまわすことはできないということです。
障害者のトイレ事情は、本当に十人十色なのです。
実際にそのトイレを使うだろう人の思いをヒアリングしてカスタマイズしていく、あるいは未来に向かってカスタマイズできる"余地"を残しておくそんな心持でバリアフリートイレと向き合ってくださったら嬉しいです。
それでは早速、OZMAN(オズマン)のバリアフリートイレのポイントを見ていきましょう!
便器は中央にあってほしい
最初から便器の話で恐縮です。
人によって左から回り込むのか?右から回り込むのか?それとも前から?移乗のしやすさが異なるのです。というのも、人によって動かない部分が左か右か?など個人差があるためです。
また、介助者がご本人を抱えて便座まで運ぶ場合、2人がかりのこともあるので左右から回り込めるスペースがあるのはご本人にとってメリットとなります。
トイレットペーパーホルダー/洗浄ボタンの場所など
便器が中央にあるとカスタマイズする必要が出てくるのがこれ。ニーズをヒアリングしながら、予算の兼ね合いも見ながらカスタマイズしていきます。
手洗い場の下のスペース
手洗い場の流し台は下に空間があり、車椅子で乗り付けられるのが理想です。
手すりは可動式
手すりは必要に応じてしまえることが理想です。人によって、手すりがない方が移譲しやすい方もいるためです。介助用ベッド
病気や障害によりオムツ替えが必要な方が利用します。ショッピングモールなどの大きな施設で設置されることは多いのですが、小規模店でこれがあるのはあまり見かけません。
障害のあるお子さんも、小学生くらいで体が大きくなってくるとベビーベッドでは寝かせるのが難しく、この大人サイズの介助用ベッドが必要になります。
扉は引き戸
上からレールで吊っているタイプが理想的です。床にレールがないため、車いすでの入室がスムーズになります。少なくとも、開き戸(ドアノブを押したり引いたりして開く扉)では車椅子で開閉するのは難しいです。
バリアフリーに絶対なんてない、だからこそ
いかがだったでしょうか?
OZMAN(オズマン)のバリアフリートイレは、このようなポイントで設計しています。
まだまだ完璧だとは思っていません。バリアフリーに絶対なんてないからです。
それでもOZMAN(オズマン)のバリアフリートイレを作るにあたり、車椅子ユーザーも施工者も膝を突き合わせてシュミレーションしみんなで考えたこと、そこに価値があったように感じています。
今はまだ絶賛工事中のバリアフリートイレですが、完成時には必ずやOZMAN(オズマン)の隠れた名物になることでしょう。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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