超フレックスタイム制のカフェをオープン
2022年3月、物件を借り、5月に愛知県春日井市に、じゃがいもとさつまいも、そして元介助犬候補!看板犬のカフェ『ワン ぽてぃと』をオープンしました。
働きたいけれど働けない、社会に出る事に抵抗があり、1歩踏み出せない。そんな若者が15分から働ける、超フレックスタイム制のカフェです。
お店をオープンしたきっかけ
そのような若者を雇用しようと思ったきっかけは、当時学校へ通えなくなってしまった娘でした。特に理由もなく学校へ通えなくなってしまった娘。他人事だった出来事が自分の身に起こった時、最初はこの娘の将来を案じ、何とかして学校へ行けるよう、色々な方法でサポートしました。しかし、学校へ足が向くことはありませんでした。
この娘が中学を卒業し、就職も進学もしない…、となったら、この子を受け入れてくれる働き先はあるのだろうか?中学不登校、学歴、職歴、資格もない。その履歴書を想像したとき、私は鳥肌が立ちました。そんな子を採用してくれる所はないだろう…。
それと同時に、この子を受け入れてくれる社会?面接受けれる?働くまでの数々のミッションをこなせる?このいくつものハードルを想像したとき、今現在、乗り越えれずに身動きが取れない、働きたくても働けない子が沢山いるのでは?いや、沢山いる、と容易に想像できました。
そして、今すぐにその若者が働ける場を作り、その場所を全国に広げたい。広げなくては!と強く思いました。
そこまでの道のりをお伝えしたいと思います。
2019年5月商工会議所で創業塾があると新聞で知りました。そこには夢でも良いので気軽に参加しませんかと。その一文に惹かれ参加をしました。
受講後、何事も無く月日は流れました。
2021年秋、創業塾で知り合った一人の女性から電話が入りました。
Mさん「あの時、カフェやりたいって言ってたよね?今どうしてる?」
私「何にもしてない…」
Mさん「カフェ辞めるから誰かやらないかって言ってる人がいるよ、居抜き物件だよ」
そのやり取りがワンぽてぃとの始まりです。
思いを動画にまとめました。ぜひ思いもお聞きください!
長い動画ですが最後まで聞いていただきありがとうございます。
余命半年の宣告
そのお話が舞い込んだ直後、癌で闘病中の父が、もうこれ以上の治療はできないと余命半年の宣告を受けました。
それでも一見元気な父、まだ仕事も続けていました。余命宣告された父と、夢だったお店。どちらも後悔の無いよう、精一杯向き合わなければと思っていました。
父には、「人間そう簡単には死なない、大丈夫!治療を止めたらかえって調子よくなる人もいるし大丈夫、大丈夫!」
と笑い飛ばしていました。
父は、いつまで生きれるか分からないから、雪が降る前に長野へ行きたい。父の実家は、長野県小布施町。雪が多いので、冬は行くことが困難です。本当に半年の命なら3月…。物件契約も3月…。複雑な気持ちでした。
子供たちも大きくなり、一緒に出掛けることも少なくなったし、何より父を長野に連れて行ってあげたい、父が望む事は可能な限り叶えたいと思いました。11月長野へ父の思い出巡りの旅行へ行きました。
いつも孫を見る目じりは下がりっぱなしの父。その合間合間に見せる表情、時折辛そうに顔をしかめる事が増えていきました。
2022年2月バレンタインのチョコレートを持って実家に行った時「医者から運転するなって言われた。。」と。
私は「え-!そうなの?全然元気なのにねえ。車無いと困るよねえ、どうしようねえ。。」その話を聞いても、私は奇跡が起きると、現実を受け止めない自分がいました。居なくなるのが怖かったし、想像もしたくなかったからです。
それから一週間後、父は支え無くては歩けなくなりました。フラフラになっている父の職場の荷物を引き上げに行き、帰りの車の中で、「もう入院しないかんなあ、出てくるときは棺桶の中だわ…」と。達観した様子でした。私は返す言葉が見つかりませんでした…。
父の容体が急変する一週間ほど前に母は脳梗塞になり、杖が必要な体になっていました、私は内心、父、母、お店の準備…。どれもやらなくてはいけないこと、精一杯尽くしたい、できる限り尽くしたい事が重なりプレッシャーで押しつぶされそうでした。何一つ投げ出せない状況。強いて言うならお店は投げ出したかった…。でも、私の夢を応援してくれている父と母。投げ出す事はできませんでした。
父は、元気になって加奈の店に行くんだ。と言い、
母は、頑張ってリハビリして加奈のお店を手伝いたい。そこを糧に過ごしていました。
両親の生きる希望にもなっている私の夢。歩みを止めるわけにはいけないと、そばに居たい気持ちに蓋をし、心が引き裂かれる思いでお店の準備を始めました。
父とのお別れ
一時は入院した父でしたが、家に帰りたい、との父の希望を叶えようと自宅で看取る段取りをし、退院させました。お店の準備をしながら、週に1度休みを作り、父が自宅で過ごせるようケアの方法を学ぶため病院へ通いました。癌が転移し、胸から下はもう動かなくなっていましたが、父の笑顔は健在でした。その理由でなら病棟に入り、父と対面できる、それが何より嬉しかった事を忘れません。
2022年3月下旬、自宅に戻った当日の父はとても嬉しそうで食欲もあり、まだまだ生きてくれる、本当にお店に来れるのでは!と思っていました。が、思いとは裏腹に日に日に衰弱していきました。
桜が満開の4月2日に父は天国へ旅立ちました。
その時の私は、人生で一番落ち込みました。そして、やるせない思いから離れられなくなりました。
なんでこの時期にお店が決まったの?決まってなかったらもっと父のそばに居られたのに。。なぜ。。
お店をやる気力も無くなり、消えてしまいたいと思っていました。悲しくて布団から出られない日が何日も続きました。
もう頑張れない。。すべてを投げ出したい。逃げたい。もう嫌だ。。
その時、母から一本の電話があり、「待っている人がいるんだから頑張らないかん」と言われ、その一言で、私は鉛のような体と心を引きずりながら準備を再開しました。
今でも自分の心の中の父の存在の大きさ、居なくなった事の寂しさは飲み込むことができていません。。
でもそれが私の礎(いしずえ)になっていることは違いありません。このお店を始めるために必要だった経験の一つだったのでしょう、いつも共にここにいる。そんな気がします。
ひきこもりの若者を受け入れたい
ひきこもりの若者を受け入れる。救いたい。
私はお店を開業させた次にどうやってこの雇用を広げたら良いかとそればかり考えていました。そして、2022年8月2日中日新聞に掲載して頂くことができました。
その記事はyahooニュース、東京新聞などにも掲載され瞬く間に全国に広がりました。
そして、沢山の声が届きました。
様々なメディアにも取り上げられました
【CBCテレビ】
社会に踏み出せない若者に働ける場を…15分からOK!変わった働き方のカフェとは
【フジテレビ】
【中京テレビ】
最短15分勤務で帰宅OK カフェ店員「ありがたい」ワケ 愛知・春日井市
温かいお客様が来ていただいています
奥さんの遺言を胸に、このお金を役立ててほしいと、お金と新聞記事を握りしめてご来店された方。
自分からここへ行きたいといった。
初めて自分から働きたいと言った。
自分を受け入れてくれると思える場所があった。
ここで働きたい。働けますか?
皆さん切実でした。ワンぽてぃとでの取り組みが暗闇から抜け出せない若者たちの一筋の光になっているのを感じました。
他にも、同じような取り組みをしたい。
こんな風に働ける場所が近くにあったら。
そんな声が溢れています。じゃあどうしたら良い?どうやったら広げれる?
そんな思いで2回目のクラウドファンディングを立ち上げよう!と決心しました。
同じような雇用形態を全国に広めたい
私の目標は、同じような雇用形態を全国に広めたい!寛容な世の中になって欲しい。。それに尽きます!
お店をはじめて、どんな若者が尋ねてくるのか?戦々恐々としていました。
どんな子が来ても受け入れる、守る、その気持ちだけでやっていけるはず。今、無いものを作り出すのだから、その都度考えていけば良い。考えるより、1日も早く実現させなければ。ひきこもる時間は短ければ短いほど良いはず。出たいけれど出られないこの時の流れの遅さ、辛い環境。何とか情報を流して、ほんの少しでも希望を持ってほしい。
昨年3月から、生きづらさを抱えた若者を雇用、または、働く体験ができる場として、ワンぽてぃとを利用してくれた若者たちは良い意味で裏切られました。
優しさの循環が生まれています
15分から働けるよ、と伝えるだけで心のハードルが下がり、15分で帰る子はいません。働きたくても働けない、文字通りそのような気持ちの若者なので、とても一生懸命取り組んでくれます。
私は思いつく限りのフォローをしますが、若者の状況を見て、小さなハードルを準備します。小さなステップですが、成功体験を感じてもらいたくて。
そして、少しずつ普通の働き方へシフトチェンジしていきます。
お客様も温かい目で見守ってくれます。優しさの循環が生まれています。
今現在、ワンぽてぃとに関わって、少しずつ歩み始めた若者は、21名!
就労移行支援事業所ふらっぷさんとも協力しあい、活動をしています。
連携して就職に結びついた方は6名、次のステージに繋がりステップアップされた方は8名、
この活動がきっかけとして新たな自分に気づいた方、得意を活かす事やこれまで否定されて来たけれど、ワンぽてぃととの関りで自信がついたことで自立した方7名。
ワンぽてぃととふらっぷさんとの連携により、支援の幅が広がることでより多くの方に気づきと自信を提供することができています。
環境さえあればできる。想像が確信に変わりました。
自分に甘いのではないか。努力が足らないのではないか…。頑張って問い合わせても次にすすめなかった方、今頑張っているのにもっと頑張らないといけないのか…。認められなかったことや自己肯定感を否定された方も沢山見えます。
そんな思いの方がここに訪れ変わっていきました。
自分の思いのままで大丈夫。安心して良いんだよ、失敗してもいいんだよ。一つ一つの言葉かけで、表情が変わっていきます。
取り組みを初めてことで思い描いたことが実証された気がします。
そして、今現在も働きたいとのお問い合わせは途切れることはありません…。
ここに来る若者に共通するのは、自信がないだけです。何らかの傷を負って、歩みを止めてしまっているだけなんです。
少し手を差し伸べれば、また歩み出せる、そんな若者です。その手を差し伸べるのはあなたでも良いんです。
私にできるかな…、そうフッとよぎった方はきっとできます。
思いのある方が手を差し伸べてみませんか?そんな事も伝えたくて、また文字に起こそうと思いました。
これからの未来を支えてくれる、未来を担う若者へ。生きやすさ、寛容な世の中、優しさの循環、そんな社会を築き次の世代に贈りたい。
そんな思いです。
2度目のクラウドファンディング
2度目のクラウドファンディングをやりたいと本気でそう思った時、かねてから大海原のとまり木プロジェクトに賛同し、応援してくださっている方が、1人の男性を紹介して下さいました。
その方は、同じ愛知県春日井市で規格外果物を使ったフルーツサンドのお店を経営されている方でした。
私は、このお店を立ち上げた理由、きっかけ、そして、オープンしてからの出来事をお話しました。
そして、「同じように15分雇用しませんか?」と尋ねました。
その方は、迷うことなく、躊躇すること無く、真っ直ぐな瞳で「はい、出来ます」と仰いました。
私は沢山の方にそのようにお伝えしできましたが、即答されたのは初めてでしたのでビックリして「今すぐにできるんですか?」と聞き返しました。「はい」
本格的に大海原のとまり木プロジェクトが動き出した瞬間でした。
資金の使い道
資金の使い道は働きたいけれど働けない、社会に出る事に抵抗があり、1歩踏み出せない若者たちの為に使わさせていただきます。
ひきこもりの若者への人件費 30万円
看板犬オリバーのグッズ製作費 14万円
高校生以下の子供たちへ活動に参加してくれた子へのお食事代10万円
クラウドファンディ今後のスケジュール
2023年6月30日 クラウドファンディング終了
2023年7月1日~ ワンぽてぃとで働きたい若者へ連絡し順次お仕事、雇用契約説明。(同じ15分雇用先へのご案内)
2023年7月 愛知県春日井市 中部大学春日丘高等学校のインターアクトクラブと合同でオリバーグッズ制作開始
2023年8月~ お電話返礼希望の方へ順次対応。支援頂いた先着順となります。
2023年9月 ワンぽてぃとにて交流会。
2023年11月 オリバーグッズ完成。販売開始。
最後に
ひきこもり、不登校の若者はコロナなどにより、現在はもっと増えています。
2023年3月31日内閣府はひきこもり状態にある人(15~64歳)が全国で推計146万人と明らかにしました。2018年の調査では115万人。。誰もが無関係と思えない問題です。
そんな人たちを、一人でも多く、今見ている世界から、外の世界へ導かなくてはと思います。
そして、こんな雇い方もあるんだと、世の中の多くの事業主が同じシステムを取り入れて貰えたら、と願っています!
若者たちが、笑顔で過ごせる日が来ることを願ってやみません。
どうか皆様の、温かいご支援をよろしくお願いします!
最新の活動報告
もっと見るとまり木新聞をお送りさせていただきます。
2024/10/09 06:50おはようございます。すっかり秋めいて過ごしやすくなりましたね。ワンぽてぃとでは今月も沢山の出来事がありました。とまり木新聞をお送りさせていただきます。お時間あるときにお読みいただけますと幸いです。沢山のとまり木さん達が笑顔で活動に参加してくれています。心身の波はありますがワンぽてぃとを頼りにしてくれています。続けられるのも皆様のご支援と、応援があったから頑張れています。有難うございます。 もっと見る
とまり木新聞お送りさせて頂きます。
2024/09/03 10:35おはようございます。とまり木新聞をお送りさせて頂きます。毎月楽しみにしてくださっている方が多く、励みになります。今月も暑さに負けず頑張ります!みなさまも、お体にはお気をつけておすごしください。 もっと見る
とまり木新聞お送りさせて頂きます。
2024/05/02 22:23画像キャプション もっと見る
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