京都・衣笠の地で愛された「Jazz喫茶 Your」を再始動したい!
京都市北区と右京区にまたがる立命館大学・衣笠キャンパスは、遅咲きの御室桜の名所である仁和寺から石庭で有名な龍安寺を経て金閣寺につながる「きぬかけの路」に面しています。そのキャンパスの南西側にたたずむ「Jazz喫茶 Your」。扉を開けると、重厚な面持ちの木製タイルの壁に囲まれ、どっしりとした木のテーブルと長椅子が並べられた、落ち着いた居心地のよい空間が私たちを出迎えてくれます。
1974年にオープンして以来、立命館大学の学生と教職員、地域の方々、著名人、観光客と、さまざまな人たちで賑わい、それぞれが立場を気にせず、交流する空間がそこにはありました。しかし、昨年(2022年)9月に突然、閉店を迎えてしまいました。マスターが7月に急逝されたためです。
どうにかして、この空間を守ることができないか。
そんな想いから、今回の「Your再始動プロジェクト」が立ち上がりました。
その想いに共鳴した人たちの協力を得て、これまでのYourに「シェア」と「挑戦」という新しい価値を付け加えて、新たなYourとして再始動することになりました。
しかし、「Your」再始動にあたっては、多くのお金が必要となります。特に、玄関部分やトイレの工事費用、利用者が定着するまでの数カ月ほどを乗り切る回転資金など、約300万円以上が必要です。今回のクラウドファンディングでは、その費用の一部をみなさまからご支援いただきたく、取り組むことにしました。
みなさまからの、あたたかいご支援をお待ちしています。
「Jazz喫茶 Your」の歴史
1974年、Jazzが大好きなマスターである小塚剛正さんが、コーヒー1杯でJazzを思うぞんぶん聴くことのできる「Jazz喫茶 Your」をオープンしました。数年後にはお連れ合いの小塚久枝さんとともに、ランチや軽食なども提供するようになりました。
*故 小塚剛正さん
ポークソテーや唐揚げ、ハンバーグなどの日替わりランチ、カレーライス、ピラフ、オムライスなどYourの洋食はとてもおいしく、ランチタイムにはひっきりなしにお客さんが訪れました。
どっしりとした木のテーブルと長椅子は、京都出身の木工芸家・宮本貞治さんの第一作です。一人でゆったりとくつろぐのにも、数名で語らうのにも適するこのテーブルと長椅子のおかげで、Jazzが流れる店内では、来訪者が思い思いに過ごすことができました。
*書道家の乾千恵さんの展覧会には、随筆作家の故 岡部伊都子さんも来店
ときにはYourの店内は、Jazzのライブなどのイベント会場としても利用されました。1999年には、書道家の乾千恵さんの展覧会を開催し、以来、彼女が揮毫した書がYourの壁に掲げられています。ほかにも、ピカソの「鳩」の絵のリトグラフ、和田誠さんの「マイルス・デイビス」のイラスト、金斗鉉さんのスケッチなどが飾られ、芸術と平和を愛した小塚夫妻のセンスが利いた素敵な空間がありました。
立命館大学の学生と教職員、地域の方々、遠方からの観光客など、さまざまなお客さまが来られ、みんなに愛されたお店でした。
Your再始動プロジェクトの立ち上げ
そんなYourは2022年9月に突然、閉店しました。マスターが7月24日に、人生の幕を閉じられたのです。
しかし、マスターを病で失った哀しみのなかで、残された久枝さんは、「この場所がこのまま失われてほしくはない、何とかして続けていける策はないだろうか」と、常連客であった友人たちに打ち明けました。
Yourが半世紀の間に提供してきた、身も心もあたたまる心地よい時間と空間をきちんと受け継ぎ、新しい価値を付け加えながら、再始動することはできないだろうか。
そんな想いに賛同する人が集まり、今回のプロジェクトが立ち上がりました。
「新生Your」が大事にしたいこと
プロジェクトのメンバーでミーティングを重ね、また、Yourを愛して利用してきた多くの人たちにも意見も聞きました。Yourで、おいしいごはんを食べて満たされたい、フラットな立場で語り合いたい、何かにチャレンジできる場所として残してほしいなど、多くの声が集まりました。
特に立命館大学の学生や卒業生からは、「キャンパス内の教室や施設とはまた違った場所で人が交流できる機会を作りたい」、「カフェやバー、国際交流イベントなど、やってみたいことをカタチにできる場所が欲しい」、「初めて何かをやってみるとき少しの後押しがあれば心強い」などの意見が出ました。コロナ禍を経て、Yourが提供できる空間と、Yourが培ってきた人のつながりが求められているのだと気づきました。
こんな場所になったらいいなという、ワクワクするような意見が集まるなかで、どうすればこれらの声を実現できるのか模索が始まりました。
当初は、ランチタイムの営業を引き受けてくれる料理人の方を探し、それ以外の時間帯に、学生や教職員、地域住民がYourを借りて使えないかと考えました。
しかし、限られた時間と人間関係のなかで、都合よくそのような適任の方を見つけることは簡単ではなく、自分たちの都合を優先して場所を運営するのは趣旨にそぐわないと判断しました。
そこで私たちがたどり着いたのが、Yourの空間も時間も、複数の人たちで「シェア」して運営することです。幸い「Jazz喫茶 Your」が残した立派なキッチンの空間があります。
決まった曜日や時間帯に食堂や喫茶店が開店するとともに、週末にはキッチンを利用したマルシェや縁日などのイベントも開催し、さらには手作り菓子やコーヒーなどの試食会・試飲会なども楽しいかもしれません。
ほかにも学生や教職員、地域の方々がイベントや出店などを企画する日もつくれそうです。絵画展、小さな映画会、音楽の発表会、朗読の会、洋服や古書交換会などなど、今までは適当な時間や場所が見つけられなかった楽しい企画が実現できそうです。
そして、Yourのキッチンが利用できるので、食べたり飲んだり、つくったりも自由自在…と夢がふくらみます。
Yourがもともと持っていた個性である「さまざまな人がフラットに交流する空間」に加えて、「やってみたいことをカタチにする機会を提供できる空間」になればうれしいと思います。
閉じたコミュニティではなく、より多くの人に開かれたコモンズ(共有地)のようなYourであってほしい。Yourが拠点となり、いろいろな人たちの経験やつながりを持ち寄れば、楽しいことやおもしろいことができるはず。そんな考えに賛同したメンバーや、プロジェクトへの協力者が集まり、9月オープン(予定)にこぎつけました。
そして、お店の名前も、新しくなります。
亡くなったマスターが店名にこめたメッセージが、Yourのガラス扉には彫られています。
「KEEP YOUR SWINGIN'」
私たちは、この言葉を、「Your の、そしてあなたの、ワクワクを絶やさずに 」と訳しました。
マスターのメッセージを引き継ぎ、私たちが新しい価値を付け加えられることを願って、新しいお店の名前は、「スウィングキッチン Your」に決まりました!
今までのように居心地がよく、誰とも気さくに話せる雰囲気を大切にしながら、企画したり挑戦したりできる空間として、私たちはYourを再始動していきます。
Your再始動に向けた応援メッセージ
●「Jazz喫茶Your」元店主 小塚久枝さん
「立命山 あなたの店に 幸薫れ」と48年間楽しく営業してまいりました。しかし120歳まで生きると豪語していたマスターが急逝し、やむなく閉店。それでもYourの存在意義を語り、何とか再始動させようという方々が集まってくださいました。マスターの料理は提供できませんが、新たな場所になるよう、みなさんと再出発していきたいと思います。
●木工芸作家 京都美術工芸大学特任教授 宮本貞治さん
41年前 に旧友のマスターから「僕の店に黒田辰秋が制作した進々堂*のようなテーブルが欲しい」と頼まれました。当時、私は29歳で、黒田の内弟子中でしたが、3カ月の時間をもらい滋賀の工房で制作しました。私にとっての第一作になりました。店の存続を心配しましたが、学生たちが集う場所になるのは感慨無量です。ご協力をお願い申し上げます。
*京都大学近くにある昭和5年創業の喫茶店「進々堂京大北門前」
●JICA専門家 山浦公美代さん(ブルキナファソ在住、立命館大学産業社会学部卒)
立命館大学生のとき、アルバイトをご縁に、卒業後も、アフリカに行ってからも、マスターと奥さんの笑顔とごはんに満たされてきました。若い日に常連さんから英語を教わったり、進路を相談したりという積み重ねが、今のアフリカへのご縁につながっていると思います。これからも人々が集うあたたかい空間でありますよう、ご協力をお願いします。
●立命館大学文学部教授 加國尚志さん
大学に入ってから40年、ずっとYourのマスターが作ってくれるベーコンピラフとコーヒー、お店でかかるジャズにお世話になりました。「先生、こんなんありますよ〜」と、満面の笑みでレコードをかけてくれたマスターにもう会えないのはさびしいですが、若い方々が新しく続けてくれると聞いて、大感激です。どうぞご協力をお願いいたします。
●常連のお客様 島津威雄さん
Yourは家から自転車ですぐ、歩いても15~16分、ランチやコーヒーで、新聞にゆっくり目を通したお店。母が元気だったころは、エビカレーやオムライスをいただいて、久枝さんとおしゃべりを楽しんだ。私にとって一番気が休まる場所でした。いろんな人をたくさん紹介してもらい、多くの出会いがありました。
●立命館大学職員・シドニー&アテネ五輪銀メダリスト 牧野容子さん
「Your」にランチに行くと、先生たちと一緒になることがよくありました。ここぞとばかりに、込み入った仕事の相談や、先生の研究の話、教育や社会問題まで、いろいろな話ができました。「Your」だからこその対話のある空間でした。大学近くの喫茶店で過ごした時間の思い出は、多くの人が持っていることでしょう。ぜひ、この空間を立命館大学のためにも存続させたい。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
●イラストレーター 金斗鉉(キムトヒョン)さん
関西(京都や大阪)での私の展覧会を小塚久枝さんにいつも応援していただき、お礼としてYourのお店の絵を描いたことがあります。スケッチにお店に行ったとき、マスターの小塚剛正さんともお会いしました。お店もとても気に入ったので、京都に行ったときは(私は関東在住なので)立ち寄りたいと思っているうちに不幸のお話を聞き、残念で寂しく感じていました。今回、Your再開の企画をお聞きし、ぜひ応援したいと思っています。ご協力をお願いします。
●中華料理「大鵬」渡辺博子さん
私にとってYourさんは、嬉しいとき、悩んでいるとき、ホッとしたいとき、つい行きたくなる場所。それは美味しいコーヒー、お料理はもちろん、小塚ご夫妻に会いに、そして、ついつい何かを話したくなる! そういう方は数多とおられると思います。 そんなご夫妻と、Yourさんに来られるお客様で織りなす唯一無二の空間が私は大好きです! そんな心のこもった場所が新たな形で再開できるよう、よりたくさんの方に応援していただけることを願っています。
●小塚正幸さん
「お店の名前の“Your”ってどういう意味なん?」と小学生のころ友達によく聞かれるようになり、私も父に聞いたことがあります。「あなたの。という意味」……我が子への説明としては、なんともそっけなく父らしい回答でした。「Yourで過ごす時間をあなたの好きなように楽しんで」、父がお店の名前に乗せたメッセージを私はこうだと思っています。立命館大学の教職員さんや学生さん、観光客の方から常連さんまで、実に多様な人たちが居心地よさそうにYourで過ごす姿を見て、息子ながらYourってイイなと、誇らしく思ってきました。立命館大学の南西、豊かな自然に恵まれる最高に気持ちのよい環境のなかで、「自分の好きなように楽しめる」。そんな空間が復活すれば素敵だな、と思います。
Yourシェアリングのメンバーから
喫茶52 木戸さやかさん
今年2月、閉店したYourに初めて足を踏み入れた瞬間、重厚な木の長テーブルと長イスがいくつも並ぶ広い空間に心躍りました。ここが再び人が集い、語り、食し、元気になれる場所として活かされるために、仲間たちと準備を頑張っています。私は月2回、天然酵母パンを焼きます。のんびりくつろげる場の提供をしたいと思います。
にんじん食堂うずまさ 大道寺ちはるさん
得意なことで貢献でき、足りない部分は助け合えるような場や関係を作りたい。そして若い人たちと、刺激を受けたり、経験を引き継いだりできるつながりを持ちたい。素朴な願いが実現することを期待して、Your再始動に参画します。無理せず、張り切って、楽しくやりたい。
目標金額とその内訳
Yourの再始動にあたっては、いくつかの課題がありました。店内はJazz喫茶Yourのたたずまいを残しながら、入り口の段差をできるだけ改善し、トイレをもう少し広げるなどの改装工事をして、どんな人にも気軽に安心して使っていただける場を目ざしたいと考えています。
また、新しい営業スタイルでYourが再始動することがまだまだ知られていないため、軌道に乗るまでの数カ月を持ちこたえる回転資金が必要です。
以上の理由から、今回、私たちは新生Yourのコンセプトをより多くの方々に知っていただき、さらに、賛同して支援してくださる方々に協力を求めることにしました。私たちが今回のクラウドファンディングで集めたい資金は、100万円です。
そして、NEXTゴールとして、 運営費、設備費等を加えた200万円、300万円を考えています。
内訳は以下の通りです。
改装費の一部 1,000,000円
家賃・運営費の一部(6ヶ月分) 1,000,000円
設備費 500,000円
雑費(クラウドファンディング手数料含む)500,000円
最後に
KEEP YOUR SWINGIN’ Your の、そしてあなたの、ワクワクを絶やさずに
新しくオープンするYourで、応援してくださるみなさんと出会い、語らう時間を過ごせることを目ざして、Your再始動プロジェクトチームは奮闘します。あたたかいご協力を、ぜひお願いいたします。
今後のスケジュール
(2023年7月12日追記)
この度、思い描いた工事が実現する目処が立ちました。改装工事の内容と具体的なスケジュールをお伝えいたします。
Yourの改装計画について、ご縁をいただいたのは、Yourの常連客であった松本尚子さんと木村吉成さん(木村松本建築設計事務所)。建築界の第一線で活躍されている、今、最も注目されているお二人です!
主な工事内容は、以下の通りです。
・玄関をスライド式のドアにします。今のYourのドアのガラスを生かします。
・入り口の段差に取り外し式のスロープを設置し、手すりも設置します。
・男性用トイレを控え室にします。
・女性用トイレを改装し、オールジェンダートイレとします。
(厨房は、Your再始動プロジェクトチームにて費用を出し合い、厨房機器の整備やガス工事を進めています。)
工事にあたってくださるのも、小塚夫妻時代のYourから関わっておられた、有限会社キャリアウト(上京区)の皆様です。
この間、Your再始動に向けて呼びかけるなかで、Yourをとても大切に思っておられる人たちが実にたくさんいらっしゃり、それぞれの思い出を聞かせていただく機会に恵まれるとともに、新たにYourに出会う人たちとの出会いも広がりつつあります。
そうした人と人のつながりに支えられながら、今年の秋から無事にYourを再び開くことができそうです。
今後のスケジュールは以下のとおりです。
・7月18日工事着工
・8月中旬 工事終了
・9月吉日 スウィングキッチンYour オープン
・9月16日(土)〜9月18日(月)Yourオープニングパーティー
最新の活動報告
もっと見るYourのテーブルとベンチを制作された木工芸作家の宮本貞治さんが人間国宝に!
2023/07/23 18:51Your再始動に向けて応援してくださっている皆様こんばんは。Your再始動プロジェクトの川崎です。私たちがJazz喫茶Yourをなんとしても残したい・残さなくては、と思った大きな理由に、Your店内に並べられたテーブルとベンチの存在がありました。どっしりとした木のテーブルとベンチは、一人でゆったりとくつろぐのにも、数名で語らうのにも適していて、来訪者は思い思いに過ごすことができました。このテーブルを囲んで過ごせる豊かな時間がこの先も続いてほしいという願いは、私たちの確かな原動力となっています。この度、朗報が届きました。Yourのテーブルとベンチをご自身の第一作目として制作された木工芸家・宮本貞治さんが、人間国宝となられました!新聞記事をご案内いたしますので、ぜひお読みくださいませ。人間国宝に木工芸作家・宮本貞治さん 琵琶湖の波から独自の作風毎日新聞 2023年7月21日https://mainichi.jp/articles/20230721/k00/00m/200/327000c木工芸・宮本貞治さんが人間国宝、琵琶湖の波紋に着想 滋賀県2人目朝日新聞 2023年7月22日https://www.asahi.com/articles/ASR7P7VJ9R7MPTJB00S.html以下、クラウドファンディングのページより、宮本さんの応援メッセージを転載します。●木工芸作家 京都美術工芸大学特任教授 宮本貞治さん41年前 に旧友のマスターから「僕の店に黒田辰秋が制作した進々堂*のようなテーブルが欲しい」と頼まれました。当時、私は29歳で、黒田の内弟子中でしたが、3カ月の時間をもらい滋賀の工房で制作しました。私にとっての第一作になりました。店の存続を心配しましたが、学生たちが集う場所になるのは感慨無量です。ご協力をお願い申し上げます。*京都大学近くにある昭和5年創業の喫茶店「進々堂京大北門前」クラウドファンディングは、200万円のネクストゴールを掲げて継続中です!募集終了まで残り17日、この取り組みをぜひ多くの人に知らせていただければ幸いです。https://camp-fire.jp/projects/view/670744Your再開後には、宮本さんをお招きして、このテーブルにまつわるお話を聞かせていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。2023年7月23日Your再始動プロジェクト もっと見る
Your再始動に向けた進捗のご報告(2023年7月17日)
2023/07/17 12:11こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
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