クラウドファンディング【『ゲッベルスと私』の「ホロコースト証言シリーズ」3部作を社会に残したい】をご支援してくださった皆さま、本当にありがとうございます。ここまで多くの方々にプロジェクトを支援して頂けたことをとても嬉しく思うのと同時に、改めて、プロジェクトの社会的意義について私たち自身考えさせられました。
このプロジェクトは、『メンゲレと私』の出演者(証言者)で、テルアビブ在住のダニエル・ハノッホさんを来日招聘して、日本劇場で自らの経験を語ってもらう事を一つの目標として取り組んでいましたが、既にご報告をさせて頂いた通り、ダニエルさんのご自宅での不慮の事故によって、残念ながら来日は叶わなくなってしまいました。ダニエルさんの容態は、一時期よりは改善しているそうですが、もう自宅から出ることが出来なくなってしまったそうです。
その後、私たちは、ダニエルさんの来日招聘の代替案として、ダニエルさんのお孫さんのアンナ・シャニ・ハノッホさん(19歳)の来日招聘の調整に動いていました。アンナさんは、現在、テルアビブ大学の哲学科の2年生で、祖父が経験したホロコーストの記憶を、自分たちとさらに若い世代に伝えるために活動しています。9月29日にウィーンで開催された『メンゲレと私(原題A Boy’s Life)』のプレミア上映では、ダニエルさんの代わりに自らウィーンの聴衆に向けてスピーチをしました。アンナさんも来日に前向きであると、監督たちから聞いていました。
しかし、10月7日に突如、イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃しました。イスラエルもすぐに報復を宣言し、ハマスが実効支配するガザ地区への攻撃を開始しました。この戦争状態によって、アンナさんの来日招聘も難しくなりつつあります。
ハマスの奇襲が起きた時、私たちは山形で開催されていたドキュメンタリー映画祭に参加していました。現地はこの話題で持ちきりとなり、来日していたある映画監督から、あなたはどちらのスタンスで戦争を考えているかと尋ねられました。(ニュアンスとしては、イスラエル側なのかという問いでした)
このプロジェクトでイスラエルのダニエルさんやアンナさんを来日招聘しようとしている立場として、スタンスを明確にする必要があるとするならば、私たちは、今現在危機に晒されているガザとイスラエルの人々に寄り添いたいと思っています。
アンナさんの来日については現段階では未定となりますが、状況が変わり、来日できることになれば、その時はアンナさんを日本の劇場に招き、『メンゲレと私』を観て頂いた方々と、祖父ダニエルさんのことや、戦争について、イスラエルの若者としての意見をお話し頂きたいと思っています。
今は何よりも、この戦争が一刻も早く終結する事を願っています。
また状況に変化がありましたら、ご報告します。
『ホロコースト証言シリーズ』運営事務局(有田・矢本)