戦場の軍隊に従い、幌車を引きながら商売をする母とその家族の戯曲「胆っ玉おっ母とその子どもたち」。この公演の宣伝美術のデザインに携わったのは、はるか昔(2008年シアター1010 西川信廣演出・草笛光子主演)。そして今回「子どもの十字軍」の絵本。ブレヒトと再び出会いの機会をいただいた。戦争の中でもひとの暮らしはある。絶望の中でも今日という日をとにかく生きなくてはならない。大人であっても子どもであっても。思い出した!「肝っ玉」の中で軍の奇襲を知った娘のカトリンは、子どもたちを救おうと町に急を告げる太鼓を屋根の上で打ち鳴らし続けて射殺されるのだった。「子どもの十字軍」の子どもが川べりで叩く太鼓は、カトリンが残した太鼓だったのかもしれないね。「子どもの十字軍」(ベルトルト・ブレヒト作 はらだたけひで訳)の子どもたちには名前がない。隊長の子、作戦担当の子、お母さん役の11歳の少女、ビロードのえりの服を着たユダヤ人の子。役割りや年齢や着ている服の説明はあるけれど「その子の名前」はない。だから、かわいそうな○○ちゃんの話しではない。○○ちゃんだけの話しではない。誰でもが隊長になるかもしれない。わたしも隊長になるかもしれない。行くべき道がわからず、降りしきる雪の中で途方に暮れるかもしれない。https://twitter.com/kanekoyu/status/1679360229501448193?s=46&t=Lox3Aa_spB57vopttoXlPw