私はこの日を絶対に忘れないだろう
「10年以上前に高校生だった息子を亡くしました」
チラシ配りに行ったときに、そう女性が一言。少し話せますか?そう続けて、家の中で詳しくお話しを聞くことに。
「息子の遺書には『LGBTで悩んでいたこと』が書かれていました。全く気づけませんでした。周りへ嘘をつくことへの罪悪感、孫を見せられないことに対する申し訳なさなどが書いてありました。そんなこと関係なく、生きてて欲しかった。手紙の最後にも『お母さんのせいじゃないからね。自分を責めないでね』と書いてありました。自分が辛かっただろうに、最後まで周りのことを気にして…本当に優しい子でした。」
「10年以上経って、ようやくこうして話せるようになりました。そんなとき、このイベントのことを知って、うれしかったです。このイベントをきっかけに、田舎では特にある、多数派が『普通』とされて他が『異常』とされる雰囲気が少しでも変わればいいなと。」
「こうして大事な人がすぐ近くで、LGBTで悩んでいるかもしれない。自分ごととして捉えてもらえるきっかけになればと思います。」
話を聞きながら涙があふれてきた。毅然と話されていたけども、きっとこれまでに想像もつかないような複雑な気持ちがたくさんあっただろうと。
レインボーパレードをやるとなって、肯定的な意見ばかりではなかった。でも、やっぱりやる大きな意義があると感じた。LGBT当事者の自死率はそれ以外の人と比べて、約4〜10倍になる。それだけまだまだ生きづらく、苦しむ人が多い現状だ。
こうして人知れず悩んで、命を絶ってしまう人を減らしたい。少しでも生きやすい世の中を作って「1人じゃないよ」とメッセージを発信し続けて。そう強く思った。
やる意義がある
この話を聞いて確信し、強くさせてもらったと思う。原点回帰というか。しっかり目的を忘れず進んでいきたいと心から思わさせてもらった。
そしてこうして地道に広報を続けていると、届けるべき人に届くんだなと実感した。私はこの日を絶対に忘れない。仏壇に線香をあげながら、天国にも何か届けられればいいなと思った。
私たちがやっていることは未来の子供たちが悩まないための社会作り。本当に人間は多様だともっともっと地元に広げて、こんな悲しいことは起こさないようにしたい。当事者も家族も、こんな悲しい思いをする人は二度と出てほしくない。
一緒にみんなが生きやすい未来を作っていきたい。心からそう思った日だった。出会いに感謝。そして、初めましての私にこんな大事な話をしてくださったことに感謝。
もっと生きやすい未来をみんなで一緒に作って行きましょう。
実行委員長 佐藤 みどり