はじめに
こんにちは!小瀬古文庫です。「擬態デザイン」をコンセプトに活動しています。この8月に京都・向日市に移転し、夫婦での活動となりました。アートブックや出版物などのデザインを手掛けるとともに、オリジナルのアートブックマガジンgitaiを発行し、実験的な表現を国内外の独立書店やアートブックフェアを通して発表してきました。前回のクラウドファンディング(惑星発見器)をきっかけに活動の範囲が広がり、グラフィック作品の制作・展示やデザイントイの開発、ワークショップの開催など、視覚にまつわるデザインプロジェクトに広く携わっています。
https://koseko.asia/about/
2012 武蔵野美術大学大学院にて知覚とデザインについて研究
2016 小瀬古文庫としてアートブック活動を開始
2021 擬態デザイナーとして独立
2023 京都府向日市に拠点を移転、二人体制となる
擬態デザインについての詳細はこちらのnoteにまとめています。
プロジェクトをやろうと思った理由&これまでの活動
パンデミックで長らく停滞していたZINE出版活動を本格再開するべく、新マガジンの創刊、gitai新刊の発行、海外アートブックフェアの参加などの準備をしています。それに伴う出版費用や渡航費・滞在費など応援いただきたくクラウドファンディングを行うこととしました。
2021~2022 立体作品やデザイントイの開発など、コロナ下での新たな模索
2020年まではアートブックの出版がメインでした。パンデミックの期間は混雑してしまうためアートブックフェアも無く、海外に行くこともままならない、活動を再考させられる期間でした。そこで2021年〜2022年は様々な方向性を模索しました。その中でユーザーが擬態デザインを体験できるツール(惑星発見器)や擬態デザインを活かした立体作品、そこからのワークショップなど、新たな可能性を見出してきました。
2023前期|出版の再認識
その中で、京都・宇治のくすおか義肢さんで惑星採集をした時のZINEを作る機会がありました。その記録が形となって残ることで、後日工房の方々に紹介していただけたり、自分自身でも別の場所で紹介するようになり、本づくりをきっかけに関係性が変わっていくダイナミズムを味わいました。他にも、ワークショップやイベントで、これ出版に繋げたら可能性が広がりそうと感じる時もいくつかありました。このように時間や場所を超えてつながっていく感覚が、出版の魅力であり、自身が出版をしている理由を再認識しました。
くすおか義肢さんでの擬態デザインZINE
2023後期|出版活動再始動へ!
アートブックフェアや海外の往来も再開し、これを機に出版活動を再始動したいと思うようになりました。気軽に持ち運びできる収納性、平易な価格で手にすることができる価格性、時間軸で考えを残すことができる保存性、この魅力こそが自身の活動の源泉であり、編集は大変だけれどワクワクする。やはり「小瀬古文庫」なのだと。なので、それまでは年に一回の発行でしたが、今年はもっと出す!と決めました。ZINEから生まれる新たな関係性を見てみたい!という欲求が生まれました。
費用の問題
それと同時に、費用が掛かります。アートブックフェアでは出展費、渡航費、滞在費がかかり、出版にも印刷費が発生します。そして、京都への移転(詳しくはこちら→ https://koseko.stores.jp/news/64b7ae23b0a3020046457469 )もあり、一人で全部を工面するには負担が大きいため、クラウドファンディングをさせていただくことになりました。応援どうぞよろしくお願いいたします!
実現したいこと
新たなマガジン410(視点)の創刊を計画しています。「イメージのアップサイクル」をコンセプトに、イメージのアップサイクルとは、キズやヨゴレといったイメージ素材のマイナス要因を再利用する手法で、物質ではなく視覚的要素におけるアップサイクルとして、この造語を定義しました。詳しくは創刊号の内容を交えながら紹介したいと思います。
① ZINE「410 創刊号 デザインと天文学・京都」
創刊号では古くから息づく京都のものづくりにスポットライトを当てます。何度も使い込んでボロボロのハンマー、加工機の塗装の剥げや錆、長年雨風に晒された蔵の壁のしみや土埃など、、、工房にはこれまで素材化されてこなかった、職人さんの仕事の痕跡が残ります。
かつて私たちはこれをキズや汚れとして、写真や映像に収めることなく切り捨ててきました。ノイズとされてきた要素を画像素材としてアップサイクルし、新たな発見を可視化するのが、創刊号のテーマです。
今回のリサーチにあたって、自作したデザイントイ「惑星発見器」を使いました。素材に当てると中央部分が惑星に見立てられるレンズです。工房の様々なノイズに惑星発見器を当て、惑星のイメージとして第二の人生を歩みます。
特集1.FACTORY PLANETS KYOTO|京都ワクセイ図鑑
京都の工房の風景のノイズを惑星としてアップサイクルする
創刊号の特集では、実際に京都の工房で惑星発見器を使ってその場所のテクスチャーを採集し、惑星図鑑に見立てました。工房のノイズも魅力的な惑星のデザインになります。今回はその図鑑の一部を紹介します。
くすおか義肢さんでは、石膏、インソール材、樹脂系、革など義肢義足に使われる多様な素材が惑星となりました。これらの掠れや傷が天体の表情に見立てられます。
精緻な技術をもって自社ブランドの自転車の制作を行うVIGOREさん。フレームを組み立てる機械や金属を加工する旋盤などが惑星に見立てられ、サイバーパンクな惑星がちらほら見えてきます。
特集2. WHICH IS REAL?
実際の天体と比べてみたら
取材を進めるにつれ、惑星発見器で採集したワクセイの中に、実際の天体で似ているものがあるのでは?という疑問が出てきました。そこで天文学者・反保雄介氏のご協力で、採集したワクセイを鑑定していただきました。そして、いくつか本当に出てきました(!)。
右側の二つの天体はどちらが本物でしょう?
上の画像では藍を混ぜたインソールと衛星イオに似ているため、横並びにして比較しています。さて、どちらが本物の衛星でしょう?さらに下のページでは、もう一つの組み合わせを提示します。
このようにして、さまざまな京都のものづくりのシーンを惑星に接続していきます。擬態デザインの視点で天体とものづくりの風景を繋げてみると、新たな景色が見えてきます。特集の他には、ページごとのアートワーク連載を掲載する予定です。
② ZINE新刊「gitai 第8号 PLANETS=BAKERY」
もう一つは、gitaiの新刊を発行したいと考えています。本誌は生き物の擬態現象をグラフィックに応用する実験として、2016年より発行しているアートブックマガジンです。その最新刊、2年ぶりのグラフィック作品として「PLANETS = BAKERY」を発表します。
実在するが直接触れたり知覚できない天体を、日常であるパンとコーヒーの目線で再認識するグラフィック作品。表紙を一見するとパンケーキとアイスコーヒーが描かれていますが、元は惑星写真で、コーヒーとパンケーキに見えるよう着色したものです。
左にはパンやパンケーキに擬態する惑星写真、右には実際の惑星写真を配置し、視覚的に比較していくレイアウトとなっています。いつもの日常と壮大な宇宙の視点を見開きのもとに重ね、新たな思考を探るというコンセプトです。
1.パンケーキとコーヒー
パンケーキとコーヒーに擬態する惑星のアートワーク。火星はしっとりした食品との相性がよく、バターが染み込んだパンケーキの表情とピッタリです。アイスコーヒーのマーブル模様もよくみてみると、地球のアメリカ付近だったりします。
2.太陽系ハンバーガー
下から順に太陽系惑星が順列したハンバーガーのアートワーク。それぞれの具材のテクスチャーをよく見ながら、右側と比べてみてください。
3.太陽系のベーカリー
パンの焼き目と惑星のテクスチャーの相関性をテーマにした作品で、太陽系の各惑星をパンにパッケージし、各惑星がパンになった時にそのテクスチャーがどう見えてくるかを可視化しました。月はクレーターのボコボコがマフィンのように見えてきます。
リターンについて
①ZINE「410 創刊号 デザインと天文学・京都」
今回創刊するZINEシリーズで新たに視点をテーマに届けるマガジン。2024年1月の発行を予定しています。初回だけ32ページに増量し、限定ページを4ページ設けます。内容については上の「実現したいこと①」をご覧ください。
サイズ:A4(W210xH297mm)
ページ数:初回盤のみ32pに増量(その後は28p)
印刷:デジタル印刷
(サイン入りの場合、裏表紙に入ります)
②ZINE「gitai 第8号 PLANETS=BAKERY」
小瀬古文庫の定番シリーズ「gitai」の第8弾。上記410よりも2ヶ月早い、2023年11月の発行を予定しています。(今回2冊を含むリターンを選択された方は、リターンが11月と来年1月の2度送られます)こちらも初回だけ32ページに増量し、限定ページを4ページ設けます。内容については上の「実現したいこと②」をご覧ください。
サイズ:A4(W210xH297mm)
ページ数:初回盤のみ32pに増量(その後は28p)
印刷:デジタル印刷
(サイン入りの場合、裏表紙に入ります)
(※2020年よりシリーズをgitaiと改名、2023年にナンバリングを通算に変更しました。その関係で前回までのクラファンではナンバリングが01-03になっていますが、現在は通算の番号に変更しています。)
③アクリル標本「視点の標本『宝石』」
あらゆる素材を宝石に見立てる標本「視点の標本」を同時開発しています。前回の惑星発見器のように、色々な素材を見立てる作品ですが、見立てのツールとしての惑星発見器に対し、標本作品としての性格を強めています。アクリルの透き通った美しい仕上がり、ポラロイド風デザインによる標本性、そして当てる前後で変わる印象の変化が特徴です。今回は、そのプロトタイプをリターンにします。
サイズ:縦127x横76x厚さ9mm
材質:アクリル(UVプリント)
※実験製作中のため、開発の遅れ・サイズ等仕様が変更になる場合があります。また、制作中に細かい傷埃がつく場合があります。
視点の標本イメージ(3種ありますが今回のリターンは「宝石」のみ)
視点の標本を木材、大谷石、パンに当てたサンプル。当てる素材によって中央の宝石のデザインが変化します
④リソグラフ作品「火星と月」
3年ぶりにリソグラフによるアートワークを制作しました。パンケーキに擬態した火星と月と、オリジナルの火星と月、2枚で1対のA4リソグラフの作品です。アートブックのビジュアルとは異なり、レトロデザインのアニメ調イラストレーションを描き下ろしています。2枚を並列してキッチンや食卓に飾って、日常の食卓に宇宙空間を接続しましょう。額装するとさらにビシッと決まります。
サイズ:A4タテ(縦297x横210mm)
作品イメージ(額は付属しません)
⑤ハムの惑星アクリルグッズ
太陽系の惑星をハムに見立てたアクリルアートグッズを制作しました。地球の雲が脂身に見えてきたり、火星が高級ハムに見えてきたりするかも・・それぞれの惑星を味比べしてみてください。「地球」「太陽」「火星」「金星」4種の惑星のシズル感を高めるシルバーのパッケージに入れてお届けします。
サイズ:直径90mm x 厚さ2mm
素材:アクリル
銀色のパッケージに入れてお届け
⑥ZINE「gitai #06 PLANETS=HAM」プロトタイプエディション
gitaiという名前のマガジン風デザインに最初にリニューアルしたのがこの作品(#05まで元々はマガジン風デザインではありませんでした)。その時のプロトタイプが倉庫から出てきました。リニューアルにかなり苦労したのが思い出されます。
サイズ:A4(W210xH297mm)
ページ数:12p
印刷:デジタル印刷(サイン入りの場合、裏表紙に入ります)
⑦お名前掲載
※備考欄にお名前をご記入ください。
両方のZINEの巻末の奥付にサポーターの項目を作り、あなたのお名前を掲載します。応援いただいた皆さんのサポートによって作られていることをより可視化できればと思っています。備考欄に記入されたお名前を掲載いたします。
クレジットを入れる奥付ページのダミー(左側のページに掲載予定です)
お名前掲載における文字サイズの違いについては、下のお名前掲載欄の拡大画像で示すように、画像のように大では14Q(10ポイント)、小では8Q(5.6ポイント)程度のサイズになります。文字サイズは金額で変動し、金額が¥10,000以上が大、¥10,000未満の場合は小、となります。
(拡大画像)
⑧アートブックフェアのレポート
ZINEやリターン制作途中のレポートのほか、11月に参加する下記のアートブックイベントについてレポートします。CAMPFIREの活動報告機能で記事を投稿します。
活動報告を投稿すると、支援者とプロジェクトの「お知らせをオン」にしているユーザーに、メールにて投稿した通知が送信されます。※メール通知を「受け取らない」に設定しているユーザーには届きません。(引用元:CAMPFIRE)
・UE15(韓国・ソウル)
・Break Off Art Book Fair(台湾・台中)
応援いただいた資金の使い道
・アートブック出版費
主として、アートブックの印刷費に充てられます。店頭よりも少し高くなる形で応援していただくため、ページ数を4ページ増量して32pとし、追加のアートワークを掲載します。(第2版の通常盤からは28ページとなります)
・作品制作費
デザイントイの原料や印刷など、制作にかかるコストに充てられます。
・アートブックフェア参加費
エントリーにかかる費用のほか、当日の渡航費滞在費などに充てられます。
・リターン送料
リターンを送る時の送料に充てられます。クリックポスト+包装資材のコストがここに含まれます。
・CAMPFIREの手数料
クラウドファンディングプラットフォーム・CAMPFIREの手数料にも当てられます。
実施スケジュール
下記のスケジュール進行を予定しています。gitai#08だけ先行して発行・発送するスケジュールとなっています。
()で囲まれたイベント名はZINEに関するイベントを参考に掲載しています。
10.07 (吉祥寺ZINEフェスティバル)
10.20 gitai#08入稿
10.28 (Asia Book Market)
10.31 クラウドファンディング終了
11.02 (UE15 - Seoul Art Book Fair)*
11.05 gitai#08 先行発送開始
11.11 (デザフェス)
12.01 リターン制作
12.15 410入稿*
01.08 410(視点)発行・リターン発送開始
・スケジュールは状況により変更となる場合があります。
410の役割|観察の補助輪
擬態デザインは身近な風景を新たな目線で捉えるきっかけとして位置付けており、観察のための補助輪の役割を担っています。擬態デザインに慣れてくると、身近なものが惑星に見えてきたりします。
新マガジン・410(視点)は京都の現地でフィールドワークしながら生まれる、ノンフィクションなプロジェクトです(gitaiはフィクション的)。実際にあるノイズをアップサイクルすることで、コンテンツや画像素材のあり方を再考するきっかけにしたいと考えています。
最後に
ZINEを作るのは大変だけれど、出来事や思いが形に残り、それらが人を繋いでいく。展示やイベントは終わると時間の経過とともに忘れていきますが、本や冊子があれば、その情報を手に触れられる形で保管することができるのが魅力的だなと思っています。スタートから7周年を迎え、小さくても針のように届く出版をこれからも続けるべく、少しずつその輪を広げられればと思っています。応援どうぞよろしくお願いいたします!
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見る【NEWS】新刊・gitaiシリーズの台湾版に向けて
2024/08/25 12:34この度は、小瀬古文庫のクラウドファンディングに応援いただき、ありがとうございました!小瀬古文庫では、gitaiシリーズの台湾版の滞在制作に向けたクラウドファンディングを9月1日に開始いたします。この滞在制作の成果を、アートブックgitaiシリーズ新刊として発行します。(CAMPFIREでの公開です)現在公開前ですが、クローズドで公開しています。下記のURLよりご覧いただけます。Taiwan Geo Graphics(存在しない景勝地)プロジェクトhttps://camp-fire.jp/projects/759904/preview?token=15ixotbs&utm_campaign=cp_po_share_c_msg_projects_show独立出版・美術作家活動を台湾で成功させるべく、来年に向けて準備をしています。今回のテーマに面白いと感じたら、ご支援または拡散にご協力いただけますと幸いです! もっと見る
いよいよ視点410(視点)を発行!
2024/02/12 11:002月13日に新マガジン410(視点)の発行を迎えます。クラウドファンディング時から何点かブラッシュアップした点もあるため、紹介を兼ねて投稿いたします。新マガジン・410の仕様をアップグレードしましたより良いZINEにするべく、下記の通りアップグレードしました。①惑星発見器(Paper Edition)を付録につけました。惑星発見器で工房の視点を変えることがテーマなので、自作でき、視点の変化を実際に体験できる付録をつけた方が、より良いアートブックになると考えました。そのため、下記の通り、仕様が変更となります。BEFORE:アートブック28ページ+初回4ページAFTER:アートブック24ページ+カバー4ページ+惑星発見器付録は表紙の裏についています中の写真に当てて、視点の変化で遊んでみてください②アートブックのデザインを大きく変更しました。表紙・内容共にクラウドファンディング時よりも黒ベースで、宇宙のデザインに寄せました。クラウドファンディングの時点で、デザインが納得いかず、コンセプトから再設計しました。視覚的な視点の変え方をテーマにしているので、上記のアップグレードをかけることで、よりコンセプチュアルなマガジンにしたいと考えました。また、全リターンの発送を完了し、新マガジン410(視点)の発行クラウドファンディングプロジェクトも完了となります。応援、本当にありがとうございました!※一部、リターンが戻ってきた方には個別にご連絡しています。もし何かトラブルがありましたら、お知らせください。 もっと見る
gitai#08「ベーカリーの惑星」が完成&発送を行いました
2023/11/30 17:55gitai#08「PLANETS=BAKERY」が完成し、先行して本誌を発送いたしました(※1冊コースで新マガジン410を選択された方、直接のお渡しとなる方を除きます)。明日以降、ポストをご確認ください。また、gitai#08以外のリターンは1月のお届けとなりますので、もう少々お待ちくださいませ。下に本誌の写真を掲載しました。これまでのクラウドファンディングを通じて、デジタル印刷による小中量出版活動が少しずつ形になってきているのを感じています。改めて、ありがとうございました! もっと見る
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