この度は一里山・今井病院の全自動化学発光酵素免疫装置HISCL5000の導入のためのクラウドファンディングに、過分なご支援を賜りまして誠に有難うございました。皆様方の温かいご支援に、あらためて心より厚く御礼申し上げます。 9月には検査室に機器が導入され、待望の検査が可能となりました。検査の依頼も数十例実績ができ徐々に依頼数も増加の傾向にあります。 アルツハイマー病は、脳内に「アミロイドβ(Aβ)」や「タウ」と呼ばれるたんぱく質が徐々に蓄積して、神経細胞が傷つき、脳が委縮し記憶力や判断力が低下すると考えられています。血液中のAβ値を測定し、脳内のAβ脳蓄積状態を調査することにより、今後のアルツハイマー病の診断や臨床の参考値となります。検査は病院のホームページからWeb申込となっています。
アルツハイマー病は20年以上かけて脳に蓄積したAβが原因で発症すると言われています。認知症の新薬 レカネマブは脳内に蓄積したAβを取り除き、症状の進行を抑えることが期待されている画期的な薬剤です。日本の大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が開発し、近く厚生労働省が正式に承認する見通しで、年内にも患者に使われるものとみられています。 これまで既存の認知症の薬は認知症症状がある患者全員に対して投与することが可能でした。しかしながら新薬レカネマブ投与を受けることができる患者は、脳内にAβ蓄積が確認された患者のみです。現在脳内Aβ蓄積を調べる方法として一般診療として認められているのは、アミロイドPETと髄液検査による髄液中Aβ測定のみです。アミロイド PETをできる施設は限られており、費用は10万円以上かかります。髄液検査は手技的に熟練者でなければ施行できなく、若干の危険を伴う侵襲的な検査です。これらの検査を受けて新薬レカネマブ投与を受けることができる患者は幸せかもしれませんが、Aβ蓄積が認められない患者は治療を受けることができません。多額の出費またはリスクを背負って受けた検査が無駄になります。 今回クラウドファンディングで購入する最新機種HISCL5000と最近認可されたAβ検出試薬を用いれば、採血検査のみで脳内蓄積Aβ量を知ることができます。HSCL5000はこれまで流通してきた検査機器ですが、Aβ検出試薬の性質が非常に繊細なので、現状においては最近開発された新機種でしかこの検査に対応できていません。従ってこの検査に対応できる機関は限られてきます。臨床検査としてまだ認可を受けていませんので自費での検査となります。この検査試薬の価格は一人12,000円くらいですが、私共の施設では税込20,000円でこの検査を行います。日常検査で気軽に自身の脳の健康状態を知ることができる検査施設をつくります。またこの検査機器を用いて新しい治療法開発を目指します。私共小さな施設での達成は困難です。このプロジェクトを成功させるためには皆様の多大なご支援が必用です。ご声援を何卒よろしくお願いします。一里山・今井病院院長 今井文博