2023/10/05 12:00

今度という今度は自分に絶望しました。

大学生に入ってから私にとってラブホテルは大好きな場所でした。それなのに私は、私の守るべき矜持を守れませんでした。女子大生ラブホライターとして、ラブホテルの記事を書くためだけに、セックスもしないのに恋人をラブホテルに連れていくことばかりしていたのです。

今、目の前に突如現れた昭和ラブホテルの入り口。きっとこれは、神様が私に用意をしてくれた反省部屋の扉。それを開くことに迷いはありませんでした。

最近の私は、あれほど好きだったラブホテルに恋人と行かなくなってしまいました。無理矢理行っても、そこは以前のように非日常と背徳感を覚えるラブホテルではなく、ただのベッドがある少し装飾が多めな部屋に過ぎません。

大人は、秘密をどこに隠すのでしょうか。誰にも見せない日記の中か、音楽の歌詞の中か、あるいはカメラの中でしょうか。私にとって、それはラブホテルでした。つまり、私にとってのラブホテルとは、本来、秘密基地のような場所だったのです。

先日、私の友達にしては割とプラティカルな友達と、将来どんな家に住みたいかという話をしていていました。友達が「豪邸に住みたい!」と言い始め、それなら私は、「見た目はボロボロで、一見普通の狭い部屋の中にあるクローゼットの扉を開けたら実はすごい豪邸だったっていう家を作りたい。地下には一流のコックがいるとか」と言いました。


続く


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時田桜さん
profile
1999年8月生まれ。2023年3月に東京大学教養学部卒業(学科総代)後、2023年4月から、東京大学大学院在学中。
2019年の大学入学後から、恋愛や家族、性に関する話題を中心にエッセイブログを書き始める(https://note.com/sakurachan_kyo/n/n4ec9e4fc3f21)。
2020年〜2021年には、ラブホテルの魅力を語った記事が、note主催のクリエイターコンテストで6000人以上の中から最優秀賞を受賞したのをきっかけに、ウェブメディアcakesで『ラブホはわたしのワンダーランド』を連載(https://note.com/sakurachan_kyo/n/n6e4c2d39f0ff)
2021年に内野未唯らと渋谷のラブホテル街を盛り上げる活動を始める。2022年から、渋谷QWSにてラブホテルに関するプロジェクトに参加。2023年には、ラブホテルの弱電を扱う会社に支援してもらいながら、ラブホテルオーナーを目標に掲げてラブホテルの記事を書いている(https://note.com/sakurachan_kyo/n/n969bd1b47dc6)
好きなものは平成ギャル、筑駒、山田詠美、レトロな服や小物、映像の世紀、数学

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