Check our Terms and Privacy Policy.

かごを編む 鳥越のすず竹細工と共に・柴田恵

岩手県北部、一戸町鳥越地区。この地で守られてきた「すず竹細工」は日用品でありながら端正な作りを身上としてきた。民藝ブームの再燃、歴史を塗り変える事実の確認、材料のスズタケの枯渇、担い手の減少、今、それを取り巻く環境は大きな分岐点にある。作り手・柴田恵を通して「すず竹細工」の魅力に迫る本を作りたい。

CAMPFIREクラウドファンディングアワード

現在の支援総額

3,770,500

117%

目標金額は3,200,000円

支援者数

176

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2023/10/02に募集を開始し、 176人の支援により 3,770,500円の資金を集め、 2023/11/30に募集を終了しました

エンタメ領域特化型クラファン

手数料0円から実施可能。 企画からリターン配送まで、すべてお任せのプランもあります!

このプロジェクトを見た人はこちらもチェックしています

かごを編む 鳥越のすず竹細工と共に・柴田恵

CAMPFIREクラウドファンディングアワード

現在の支援総額

3,770,500

117%達成

終了

目標金額3,200,000

支援者数176

このプロジェクトは、2023/10/02に募集を開始し、 176人の支援により 3,770,500円の資金を集め、 2023/11/30に募集を終了しました

岩手県北部、一戸町鳥越地区。この地で守られてきた「すず竹細工」は日用品でありながら端正な作りを身上としてきた。民藝ブームの再燃、歴史を塗り変える事実の確認、材料のスズタケの枯渇、担い手の減少、今、それを取り巻く環境は大きな分岐点にある。作り手・柴田恵を通して「すず竹細工」の魅力に迫る本を作りたい。

このプロジェクトを見た人はこちらもチェックしています

自己紹介

*galleryKEIAN外観

galleryKEIANの堀惠栄子です。
都内・文京区でギャラリーケイアンを開いて、来年2024年で10年になります。
編むことから生まれる手仕事、主に国内外のかごをご紹介してまいりました。

これまでCAMPFIREのクラウドファンデイング を利用させていただき、「宮崎・日之影町の竹細工職人、廣島一夫の仕事」展覧会の開催と図録の作成、そして「秋田・中川原信一のあけび籠」本の出版のプロジェクトを立ち上げ、皆さまのご支援のお陰で無事に企画を実施することができました。あらためて心より御礼申し上げます。


このプロジェクトで実現したいこと

今回は岩手県・一戸町鳥越地区で長い歴史を持つ「すず竹細工」についての本の出版のプロジェクトです。

一戸町鳥越地区
画面左奥にこの地区の守本尊、
鳥越観音の鳥居が見える

岩手県北部、内陸に位置する一戸町鳥越は山がちで、耕作できる土地が少ない場所です。したがって、「すず竹細工」はそれを補う現金収入を得るための重要な糧でした。鳥越のほとんどの家が「すず竹細工」に携わり、家族で大切に守り伝えてきました。昭和26年には6000万円の売り上げを記録、農村工業の副業として日本一になったこともあります。その後、昭和30年あたりをピークに衰退していくのですが、それは安価なプラスチック素材の出現などの影響で、日本の自然素材のかごの多くが同じような運命を辿ることになり、「すず竹細工」も例外ではありませんでした。しかしながら、その使い勝手の良さと、誠実なものづくりの努力があって、今日まで生き残ってきました。



材料のスズタケは、竹といっても直径1cmにも満たない細さで、皮をつけたまま成長するので植物としては笹の仲間に分類されます。これを四つ割りにして使いますが、かごに編むとしなやかで丈夫、市場かごや行李としても重宝されてきました。四つ割りにしたひごをさらに薄くこそげたひごを使って作られるものは、日用品でありながら美しく艶やかな表情のあるものになります。
スズタケを割ってひごにして保管する

美しい編み目
先人の残した座布団の表
さらに振り返って、鳥越の「すず竹細工」は平安時代からという説がありました。それにはこの地の守本尊、鳥越観音にまつわる言い伝えが関わっています。しかしながら、近年、周辺の遺跡(御所野)の発掘調査が進み、縄文時代からスズタケを用いて多様な編み方のものが作られていたことがわかってきました。

数千年という長期にわたって、人々の暮らしに寄り添ってきた「すず竹細工」 この地に生まれ育ち、これを守り伝えようとしている作り手・柴田恵を通して、その魅力を伝える本を出版したいと考えました。


プロジェクト立ち上げの背景

*2021年「柴田恵・竹のめぐみ展」

「すず竹細工」は一見華奢に思えるのですが、実際に使ってみると軽くて丈夫。そのギャップにまず誰もが驚かされます。
そして、この美しい黄金色と丁寧な仕上げが多くの人を引きつけてきました。

柴田恵は父方、母方の祖父母の代から鳥越で「すず竹細工」に携わってきた家系に育ちました。特に母方は名人といわれた人を何人も輩出しています。今では多くの人が「すず竹細工」そして鳥越から離れていったために、彼女は地元の数少ない生き証人であり、また優れた技術を有する特別な存在です。私が初めてお会いしたのは20年ほど前で、鳥越もみじ交遊舎という場所で後身の指導にあたられていました。その後、ギャラリーでは2015年、2021年「柴田恵、竹のめぐみ展」という企画でご一緒させていただいたり、Mスタイルバッグというオリジナルのかごを考案していただきました。彼女のもの作りに対して妥協しないストイックな姿勢にはいつも頭が下がります。一見か弱そうに見えて、強い信念を持っている、すず竹細工=柴田恵と思えるのです。
いつか「すず竹細工」と柴田恵の本を作りたい、出会いから漠然と温めてきた想いがありました。

Mスタイルバッグ
松本で大正時代に輸出用に作られていたみすず細工をモデルに制作
松本のM、みすず細工のM、柴田恵のめぐみのM
3つの頭文字からとって
Mスタイルバッグと名付けました。

朗報として、ここ数年、100年前に柳宗悦らによって提唱された「民藝」に再びスポットが当たっています。2021年〜22年に東京国立近代美術館では「柳宗悦没後60周年記念展 民藝の100年」展が開催され、20代、30代の若者を含む多くの観客を集めました。さらに、今年7月から大阪・中之島美術館を皮切りに始まった「民藝 MINGEI」展が全国を巡回予定です。そして、この展覧会では柳が認めた「鳥越のすず竹細工」と柴田恵の仕事が詳しく紹介されています。民藝という導入から多くの方が実物をご覧いただき、理解を深めていただける絶好の機会を迎えています。

*民藝展、図録


一方、2020年ごろから始まって、鳥越地区のほぼ全域のスズタケが枯れています。
真竹が60年、100年周期で枯れるという話はよく知られています。鳥越に伝わる記録によると、江戸時代の天明期(1781〜1789年)と明治35年(1902年)に「竹、開花し枯死」とあり、ほぼ120年周期、まさにその時期が来たといえる状況です。
竹類が一定の周期でなぜ枯れるのか、そのメカニズムはわかっていません。枯れたスズタケはもろく使いものになりません。でも、幾度となく繰り返された危機的状況を乗り越えてきたからこそ、「すず竹細工」は生き残ってきたともいえます。
ただ、今の状況は深刻です。熟練の作り手の高齢化、そこに材料が手に入らないという事態が追い打ちをかけて廃業を決める人が相次いでいます。加えて地元の若い担い手が育っていないという事実。手早く仕事をこなしていた熟練の職人がいたからこそ、安価に手に入っていた笊などが姿を消そうとしています。枯れたものが再生し、また竹細工の材料として使えるようになるには20年かかるとも言われています。スズタケの再生が先か、伝統継承が途絶えるのが先か、今まさに鳥越の「すず竹細工」は崖っぷちなのです。

枯れたスズタケの群生地

枯れた中にスズタケの赤ちゃん

好材料もあり、一方待ったなしの厳しい状況もあり、いまやらなければ、おそらくもうできないのではないかという思いでこの企画の実現に向けて一歩踏み出すことにいたしました。

現在の準備状況

残念ながら、まだ出版社は決まっていません。(ただ今、交渉中です)
出版業界はいま大変厳しい状況にあります。
本が売れないことに加えて、ウクライナ情勢の影響で紙代が高騰しています。
2018年に上梓した『中川原信一のあけび籠』の時よりも一段と厳しい状況です。

しかしながら、取り巻く状況を鑑み、このタイミングを逃さずに実現に向けて動いてまいります。
というわけで、撮影・取材のため8月末に鳥越に行ってまいりました。
なるべく美しいかごの写真を沢山見ていただけるものにしたい、そこでカメラマンには大変ご活躍の在本彌生さんにお声掛しました。かごが大好きという在本さんは二つ返事でOKしてくださいました。本のデザインは『中川原信一のあけび籠』で美しい装丁をしてくださった縄田智子さん。チームすず竹は素晴らしいメンバーで始動しています。

写真、在本彌生(*マークは除く)
在本彌生プロフィール
東京生まれ。大学卒業後外資系航空会社で乗務員として勤務、乗客の勧めで写真を撮り始める。
2003年に初個展『綯い交ぜ』開催、2006年よりフリーランスの写真家として本格的に活動を開始、雑誌、書籍、展覧会で作品を発表している。衣食住にまつわる文化背景の中にある美を写真に収めるべく、世界を奔走している。
写真集に『MAGICAL TRANSIT DAYS』(アートビートパブリッシャーズ)
『わたしの獣たち』(青幻舎)
『熊を彫る人』(小学館)など。

リターンについて

*本の出版は2024年3月中を目指します。リターンも3月中にお渡し予定です。

*金額に関わらず、ご支援くださった皆さまのお名前を本に掲載させていただきます。
(お名前掲載に関して、ニックネームやローマ字表記などのご希望がございましたら、申込み備考欄にご記入ください。
 また、掲載をご希望されない場合も、同じく備考欄にその旨お知らせくださいますようお願い申し上げます。) 

*材料のスズタケの確保は大変厳しい状況ながら、この本のためにということで、「すず竹細工」をリターンでご用意いただきます。この後の状況を考えるとますます「すず竹細工」は貴重なものになると思いますので、ぜひこの機会をお見逃しなく。


スケジュール

2023年 8月 鳥越取材・撮影
     9月   クラウドファンデイング 
       立ち上げ
       取材・撮影
    10月 鳥越取材・撮影
    11月 クラウドファンデイング 終了
    12月 編集作業

2024年 3月 出版予定、リターン発送


資金の使い道


制作費:約90万円
取材費:約70万円
リターン費:約100万円
手数料(17%+税):約60万円


最後に

すず竹細工に限らず、かご作りのようにわずかな道具と根気強い意思を持って手を動かす仕事は、効率主義の世の中では
どんどん置いてきぼりにされてしまいます。時給としての対価を得ようなどとしても虚しく、もっと楽に稼げる世界に多くの人が行ってしまう、だから地元に担い手が育たない、それは鳥越だけに限りません。しかしながら、環境を破壊することなく、たとえうち捨てても地に返り、縄文・遥か数千年前から私たちの相棒であった「かご」を、ここで私たちの世紀で手放して欲しくはない。そのために私ができることがあるならば、非力ではありますが、なんでもしたいと思うのです。次の世代に胸を張って残せるものを大切に守りたいのです。その一助になることを願って。

このプロジェクトにご賛同いただける方を心よりお待ちいたしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。



<募集方式について>
本プロジェクトはAll-or-Nothing方式です。目標金額に達した場合に、計画を実行し、リターンをお届けします。

最新の活動報告

もっと見る
  • 当初の刊行予定からは、ひと月ほど遅れてしまいましたがようやく本を出版することができました。書店発売は5月10日、ネット予約はすでに始まっています。本のタイトルはクラウドファンデイング のタイトルをそのまま採用いたしました。本が売れない時代ですが、あわよくば長く読み継いでいただきたいです。この場をお借りして、このプロジェクトに関わってくださった全ての皆さまサイトの関係者、興味を持ってご覧いただいた方まで御礼申し上げます。ありがとうございました。心からの感謝を込めて。galleryKEIAN 堀 惠栄子 もっと見る

  • 有料記事がプレゼントされました! 11月28日 18:54まで全文お読みいただけます。材料の「スズタケ」が枯死 柳宗悦も好んだ岩手・鳥越の竹細工が危機:朝日新聞デジタルhttps://digital.asahi.com/articles/ASRCW4JTFRCWUCVL01K.html?ptoken=01HG83737R0YF5JH42T1Q83ZRF もっと見る

  • 出版社がようやく決まりました!このクラウドファンデイング は皆様のご支援で順調な経過を辿っておりましたし、取材も滞りなく進んでおりましたので、出版社の件が最大の難関でした。今月末の締め切り前にご報告できて、本当に安堵しております。来春の刊行に向け、まっしぐらです。引き続き、応援よろしくお願いいたします。 もっと見る

コメント

もっと見る

投稿するには ログイン が必要です。

プロジェクトオーナーの承認後に掲載されます。承認された内容を削除することはできません。


    同じカテゴリーの人気プロジェクト

    あなたにおすすめのプロジェクト