2024/06/27 23:11


みなさまこんにちは。
あしたの箱の松平です。

前回の報告からまた少し時間があいてしまいましたが、うまくこれまでの流れをお伝えできるように書こうと思っています。
みなさんにお伝えしたいと思う瞬間が日々たくさんあるのに、なかなか立ち止まる時間が持てず、ちょっと焦りそうになりましたが、とにかく目の前のことに集中するよう自分に言い聞かせながらお店作りを進めてきました。
それにしても、のんびり屋の私には苦行のような一ヶ月でした。お店を作るって、ほんとに決めないといけないことがたくさんあって、自分がなかなか決められない一面を持っているという新しい発見も、あったりしました。


5月14日に無事契約が完了して、すぐにお店のイメージを具体的なものに落とし込んでいく作業に取り掛かりました。それが思ったより大変な作業で、自分のイメージを掴もうとすればするほど、どれがいいのかわからなくなるという妄想のループにはまり、毎日朝から晩までピンタレストの沼に溺れる日々でした。あれもいいなこれもいいなといった、気持ち悪いほどの優柔不断さに自分でもうんざりしてしまうくらいでした。
明確なお店のイメージが自分にはあると思っていたのに、それは単にピントの全く合っていない写真のようなものだったということです。


自分がわかっていると思っていることって実は、「なんとなくこんな感じ」くらいで引き出しにしまわれていて、それって言葉にしたり絵に描いたり、カタチにしてみようとした時に初めて具体化という洗礼を受けるような感じなのかなと思います。カタチのある世界(現実)とカタチのない世界(頭の中)の狭間に自分は立っていて、人によってどちらに振れてるのかというのはありそうですが、みなさんはどうですか?わたしは間違いなく妄想に振り切れてる方だと痛感しました。ほとんど勘で生きてきたわたしにとって、これは何色で幅は何センチなのか?と聞かれるようなことって、もしかしたら人生の中でほとんどやって来なかったのかもしれません。


そんなことをぼんやり考えていると、今回お店作りを一緒にやってくれることになった宮本くんに「エーコさんまだ色決めてないんすか!いい加減にしてください!」と電話で怒られる次第。



ぼんやりし過ぎている私のイメージを一つ一つ現実に落とし込んでくれる神様みたいな宮本くん。
怒ると怖い。


あしたの箱のお店作りを引き受けてくれることになった宮本くんは、以前から友人伝いに存在は知っていて、もしかしたら一回くらいは話したことがあるかも?というくらいでしたが、真鶴には彼の仕事を見れる場所が何ヶ所かありました。それでちょうど店舗が決まるか決まらないかくらいのタイミングで彼が我が家に来る機会があって、その時に、「あ、宮本くんだな」と思って、その後すぐにお願いすることにしました。

彼が東京からやって来た最初の日にお店を見てまず、もともとのお店のまんま残っていた店内をいったんゼロに戻すという作業を1日でやってくれました。それは定食屋さんだった店内の記憶を一つ一つ剥がしていくような作業で、記憶とともに色もカタチもどんどん消えて、夜には何もないただの空間になっていました。


そのゼロになった空間に立ってみて、わたしの頭の中の混乱がやっと静まった感じがしました。そういうことか!とわたしはちょっとびっくりしました。色が多過ぎたのか。そうしたらぼんやりと始めの色が見えてきたのでした。始めの色というのは、この場所自体が持っている色のようなもので、それは実際には景色も含めてグラデーションの集まりだったりと無数にあるんですが、全体として一つのトーンのようなものがありました。みなさんもそういった経験がおありではないでしょうか。この感じがうまく伝わるといいですが。そしてその色のようなものを、その時うまく宮本くんとも共有できた感じがして、やっと一つのとっかかりを見つけることができた日でした。それはとても嬉しい時間でした。


いろんなことを決める前に、最速でゼロの状態にしてくれた宮本くんは、人の感性というものをよく理解している人なんだなと感じましたし、物事を動かす原理のようなものもよくわかっている人なんだろうと思いました。実際に手を動かしてカタチを作る人の在り方みたいなものをそこに感じました。それは料理をする人のそれとは全く違う種類のものだと思います。



場所が実際に持っている色というのは時間帯によって移り変わったりもするし、
一色ではないですが、全体として流れている一つのトーンのようなものがある気がします。色のように感じられたり、音のように感じられたりする人もいるかもしれません。



そんな風にしてあしたの箱のお店作りは始まりました。
ここまでたどり着くのに、ほんとにいろんなことがありました。恵比寿のビル街の一角でカレー屋をやっていた時は、こんな半島の先の海の真ん前でお店を作るなんて想像もしませんでした。あまりの忙しさに店裏に座り込み、ビルの隙間から見えるパズルのピースのような空を見上げていた時、ふと自分がこんなところにいることがとても不思議に思えたことがありました。その時も、今と同じように、今ここにいることの不思議を感じているわたしがいたことを思い出して、いつでも人生って予測のつかないもので、当たり前なんだけどそれってすごく面白いことだと思いました。その予測のつかない未来のために、いつでも予定は空けておくべきだなと思ったわたしでした笑。


宮本くんが作ったゼロ地点から始まり、少しづつお店の輪郭が見えてくるまでに、ほんとにものすごく時間がかかりました。わたしの沈黙に気長に付き合ってくれた宮本くんをはじめ友人たちにこの場をお借りして感謝を伝えたいと思います。みんな本気で半分ブチ切れてました笑!
気長に待ってくれていたこれを読んでくれているみなさまにも愛を込めて。
ほんとにありがとう。
なんとか山場は越えた気がします!


次回もすぐにアップします。
これからお店がカタチになっていきます。
引き続きお付き合いいただけたらとても嬉しいです。


夕暮れがとても美しい琴ヶ浜


お隣の民宿「正徳丸」のお母さんと娘のマキちゃんが時々差し入れを持って来てくれたりします。

妙蓮寺で不動産業と町おこしをしている酒井さん。みんなふらりと覗きに来てくれて嬉しい。

真鶴の美味しいお惣菜屋さん「TAKE-O」のオーナーあっちゃんはよく覗きに来てくれる。