2024/03/11 13:26

NHKのテレビ番組【趣味の園芸 やさいの時間】でおなじみの【木村正典講師】より応援メッセージを頂きましたのでご紹介いたします。
プロジェクトを進めるにあたり大変励みになります。
木村先生、ありがとうございます。

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近年、地球規模での気候変動や生物多様性喪失が問題視され、国際的にもESG投資やSDGsへの取り組みが推進されています。
私たちの日常生活も環境問題を抜きに暮らせない時代になっており、脱プラスチックやエシカル消費、5R(Refuse、Reduce、Reuse、Repair、Recycle)によってごみを減らすなど、身近にできることから、自然環境に寄り添った、生態系の一員としてのエコロジカルな暮らしが求められています。
また、石油化学物質を多用してきた反省から、それらに頼り過ぎない、自然とつながるナチュラル思考のスローライフへのシフトも進んでおり、ハーブを利用して自然とつながり、地球環境を回復するエコロジカルなハーバルライフが求められています。

ハーブには香り成分や薬用成分、辛味成分、色素などの有効成分(二次代謝産物)があり、私たちはその有効成分の恩恵を受けるために利用しています。
そのような成分は、植物にとっては病害虫や紫外線から身を守ったり、訪花昆虫や天敵を誘引したりするなど、まわりの生き物とつながって豊かな生態系を構築するためのコミュニケーション物質であり、ハーブは病害虫を含めた環境適応力の高いものが多く見られます。
そのハーブを利用することで、自然とのつながりを体得し、健康維持や豊かな暮らしと社会づくりを実現することができます。

ツバキ(Camellia japonica L.)は、日本原産で、観賞はもとより、日本酒の醸造や紫根染めの媒染剤に欠かせない木灰原料となるほか、材木を工芸品に、花を食用に、葉・花・果実を薬用に、種子を圧搾して得られるツバキオイル(椿油)を食用油や機械油、整髪料、養毛剤、あかりの燃料などにと、古くからさまざまに利用されてきた日本の伝統的なハーブです。
このうち、ツバキオイルにはオレイン酸を85%程度と、オリーブオイルの75%を上回る量が含まれ、肌刺激が少なく、悪玉のLDLコレステロールを減少させることなどが知られています。
ツバキオイルは今では生産量が激減してなかなか手の届かない高級品となったことから、一般には、サザンカなどの近縁種のオイルが混ぜられたり、中国などの海外産ツバキオイルが混ぜられたりしています。
近年では、ツバキオイルはマイナーであり、一般には、ホホバオイルやマカダミアナッツオイル、オリーブオイル、アボカドオイルなどの輸入オイルがほとんどを占めています。

佐賀県唐津市の加唐島は、『日本書紀』に「椿の島」と記されている、歴史のあるヤブツバキ(ツバキの自生種)の自生地です。
また、ツバキオイルの製造方法も、脱脂・脱臭・脱色を行わない、搾ったそのままのオイルということで、化学物質を使用しない極めてナチュラルでエコロジカルなオイルです。
このような歴史ある自然製法の国産オイルを使うということは、国内のオイル産業振興に貢献するだけでなく、輸入品に比べて輸送に伴う二酸化炭素排出を抑えられることから、地球環境にも貢献できる、地球にも人にも優しい暮らしを送ることに結びつくと言えるでしょう。

まずは、この貴重な優れたオイルの生産を軌道に乗せ、多くの人に使っていただくことが大切です。
このような地域や活動を応援することが、地球環境を回復するとともに、豊かな社会を作ることになり、さらに私たちが健康でエコロジカルなハーバルライフを送ることにつながります。
今回のクラウドファンディングでは、当面の設備資金のみならず、その後の島のサステイナブルでエコロジカルな環境と暮らしをも視野に入れて計画されています。
是非、多くの方にご協力いただいて、このような離島における地域振興や地球環境に貢献する事業の成功事例になることを願っています。

木村正典博士(農学)
日本メディカルハーブ協会理事・事務局長
NHK趣味の園芸やさいの時間講師
元東京農業大学准教授