昨年3月末、3泊4日の日程で青商会学園が開催された。
全国のコッポンオリたちおよそ50名が茨城朝鮮初中高級学校に集結した。
居住する地域にウリハッキョがない子どもたちや学生たちにも、ウリ民族教育を体験させてあげたいという中央青商会の願いがこめられた。
運転資金をクラウドファンディングで募るという初挑戦に戸惑いながらも、中央青商会の呼び掛けにたくさんの同胞、そして日本の友人たちが呼応してくれ、募集締め切り間近に目標を達成した。当初、夏休みの開催を予定していたが、新型コロナウィルスの影響で翌年3月に延期。
様々な困難を抜けて、晴れて3月26日の開校式を迎えた。
私も青商会学園のスタッフとして3泊4日を共に過ごすことになった。
最初の任務は、名古屋駅から茨城朝鮮初中高級学校の最寄駅である水戸駅までの引率。
名古屋駅で5人の学生たちと出会い、そのまま新幹線に乗り込む。
大興奮の学生たちは落ち着きがない(笑)
「お菓子をこぼさないように!」「話すときは小さな声で!」
何度このセリフを言ったことやら。
迷子にならぬよう常に目を光らせ、手もつないだ。
水戸駅に到着した時には、ヘトヘトだった。
茨城朝鮮初中高級学校に到着した時には、ほぼ全員の参加者が集まっていた。
そこらへんで元気よく遊ぶ姿が微笑ましくも、「3泊4日大丈夫かな」と不安を感じた私。
はじめてのクラスルームで、お互いの自己紹介を始める。
興奮で叫んでしまう学生。外に出て行ってしまう学生。
といった光景が各クラスで見られ、「3泊4日無理だ」と確信する私。
担任を受け持った朝鮮大学校の学生たちも、てんてこまい。
続けて行われた講義は、「コリアンとして生きること」が題材、講師も年齢層を理解し、分かりやすく丁寧に聞かせてくれた。
しかし所々で落ち着きがない…
講師も講義が終わったころには、やり切った感でヘトヘトであったことを思い出す。
しかし子供というのは不思議である。
色々と予想を覆してくれる。いい意味でも悪い意味でも。
そう感じたのは、初日目の夜のこと。
各ブースに分かれて、ウリマル、ウリノレ、民族打楽器、踊りなどの民族文化体験の時間。
恐る恐る各ブースを覗いてみた。
一生懸命だった。
校舎内に響いた学生たちの「ウリノレ」に色んな感情が芽生え始めた。
そして翌朝にもある変化が。
食堂で「モッケッスンミダ」「コマッスンミダ」と食堂のオモニたちに挨拶する学生たち。
「もう覚えたのか。」
昨日出会ったばかりの全国の学生たち。
翌日にすっかり打ち解けて、元気に一緒に遊んだ。
教室内では全体による「ウリマル会話」学習が行われた。
最初は騒がしかったが、回を重ねるごとに集中度が増し、ペアとなり前で堂々とウリマル会話を披露する姿に、胸があつくなった。
焼肉も一緒に食べ、水族館も見学し、運動会も楽しんだ。
運動会で勝利して抱き合いながら喜ぶ学生もいれば、悔し涙を流す学生もいた。
24時間を一緒に過ごす過程で絆が生まれた。
そして民族教育を体験する過程で、コリアンを意識した。
青商会学園を全面的にサポートした朝鮮大学校の学生たち。
朝から晩まで学生たちと過ごした。一緒に勉強をして、ご飯を食べて、お風呂にも入り、寝るまで面倒を見た。
寝静まってから、参加者の保護者たちへ連絡のメール。
大変な3泊4日だったであろう。
しかし朝大生たちは弱音を吐かず、最後まで任務を果たした。
学生たちに「素晴らしい想い出」をつくってほしいという願いと決意が、きっとかれらを動かしたのだろう。
学生たちの成長に感動し、朝大生たちの献身さに胸を打たれた私の気持ちは次第に「まだ帰りたくない」気持ちへと変化した。
なんだかんだ3泊4日の日程はあっという間だった。
クライマックスは最終日の発表会。
この日程で学んだことの成果を発表する集大成の発表会。
舞台の前で堂々とウリマル、ウリノレ、ウリチュムを披露する姿に、私は開始1分で号泣してしまった。
最後は全員で、この学園の校歌である「青商会学園の歌」を大合唱した。
涙腺崩壊であった。
青商会学園は無事終了した。
それぞれの帰路につく全国の学生たち。
別れ間際に連絡先を交換した。
お互い抱き合って別れを惜しむ姿。
バスが出発するまで最後まで手を振る朝大生たち。
帰りの新幹線内、俗に言う「青商会学園ホームシック」にかかってしまった私は、学園期間に撮影した約500枚の写真を眺めた。
「青商会学園」は終わったのだと。
名古屋駅に到着すると、保護者たちがお迎えに来てくれた。
久しぶりの再会を喜ぶ学生たち。
保護者たちの表情も笑顔で柔らかかった。
「3泊4日、貴重な体験をさせてくれてありがとうございました」。
この言葉に全てが報われたような気がした。
感動的だった青商会学園の第2回目が来年3月に行われる。
昨年参加した学生たちの中で何名かは、すでに参加を表明している。
青商会学園で仲良くなった学生たちどうし、頻繁に連絡も取っているようだ。
あの時間が戻ってくると考えたら、楽しみで仕方がない。
しかし、これをつくり出すのは大人たちの仕事だ。
運営、企画を全うするのは主催の中央青商会だ。
やるしかない。
そして今年も、学園開催に向けたクラウドファンディングに挑戦することとなった。
青商会学園の素晴らしさを伝えるためにも、全力を尽くすしかない。
青商会学園は世界にひとつしかない学園。
ウリハッキョがない地域に居住する学生たちを中心に、第2回目もたくさんの学生たちが集まり、最高の民族教育を堪能できたらと思う。