◆はじめに・ご挨拶
このプロジェクトを運営する、有限会社 富士勇和産業の長田友和と申します。
静岡県御殿場市で、「茅(かや)」にまつわる事業を中心に様々な仕事を行っています。同時に日本茅葺き文化協会会員・静岡県文化財保存協会会員でもあり、貴重な「茅文化」を残すための活動も行っています。
◆このプロジェクトで実現したいこと
私たちは本業と並行しながら、茅文化を残すための活動に取り組んでいます。
今回のプロジェクトは、まだ「茅」や「茅文化」を知らなかった方が「茅」を知るきっかけになり、体験する機会になることを目標にしています。文化や伝統を繋げていくためにまずはできるだけ多くの人に茅の現状を知っていただきたいと考えています。
◆「茅(かや)」とは?
茅(かや)は、茅葺屋根を葺く材料として使用される稲科の多年草の総称で、主にススキが多く使用されています。世界遺産にも登録されている岐阜県・白川郷の「合掌造り」の茅葺屋根がイメージしやすいかもしれません。そして「茅の採取」や「茅葺」自体も、日本が誇る伝統技術としてユネスコ無形文化遺産に登録されています。
実は白川郷をはじめ、川崎市立日本民家園、鎌倉、京都美山など、国内の様々な場所で御殿場の茅が使われております。
◆なぜ「御殿場」が茅の産地になり、文化が受け継がれる場になったのか?
皆さんは「御殿場(ごてんば)」をご存じでしょうか?富士山のふもとにある町で、有名なアウトレットに訪れたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
富士山の麓に広がる4,000ヘクタール以上のススキ草原が御殿場の”茅場(かやば)”で、国内にある茅場としては本州最大の面積を誇ります。視界にどこまでもススキがひろがりその先に富士山がそびえ立つ、他にはない風景がある私たちの仕事場です。
茅場は状態を維持するために「野焼き」という作業が必要で、御殿場では毎年2月に行います。一度茅場を焼くことで低木や雑草などの侵入拡大を防ぎ、燃える過程で発生した灰が肥料となり、そこからまた良質な茅が育ちます。御殿場は富士山・箱根・愛鷹山と三方を山に囲まれた盆地で、駿河湾から吹き上がる湿った空気が3つの山を吹きまわるうちに雨や霧を生み出し多湿的な気候を作ります。標高が高い高原都市であるために涼しさも兼ね備えた御殿場は、冷涼多湿な環境を好む茅にとって最善な土地なのです。御殿場で生まれた茅が、全国各地の貴重な文化財で使われている理由の一つでもあります。
◆茅文化を残す事が“二酸化炭素削減”につながる
実は日本以外でも、オランダやデンマークなどヨーロッパ諸国では環境問題・そして人にやさしい住居になるという理由から積極的に茅を使った住居がいまでも建築されており、SDGsの目線で世界では注目されている素材なのです。
茅はスギなどの植林よりもCo2の吸収量が多いと言われており、茅を屋根に葺く事で、屋根の寿命である約30年間は屋根に炭素が固定され、温室効果ガス削減につながります。古くなった茅は肥料として使われ、やがて土に還ります。無駄なく循環して使うことができるだけでなく、環境に良い効果をもたらす茅は「自然が生んだ究極のエコ素材」なのです。
また、茅場は水源を涵養し、山野草や昆虫、野鳥などの宝庫です。茅場を維持し、茅の循環的利用を続けることで、二酸化炭素の削減、生物多様性の維持にも大きく貢献することができます。
◆このままでは廃れてしまう。江戸時代から御殿場に続く「茅文化」
しかし現在、茅文化は衰退の危機に瀕しています。
<茅刈り職人や茅葺職人など茅に関係する職を受け継ぐ人が少なくなっている>
国内にある茅葺き建造物はピークからはかなり減っているものの、それでもすべてを維持し続けるにはいまの10~20倍以上の職人の数が必要ともいわれています。御殿場の茅刈り職人も半数以上が60代を超えていて、新たな世代の刈り手を育成することが急務だと感じています。
<茅の活用用途が限られる>
建築基準法によって茅葺屋根の建設には規制があり、新しい建物に使用することは簡単ではありません。アートやインテリアグッズに活用される事例も増えてきていますが、まだまだその活用範囲は狭いのが事実です。茅場となる草原も農業の近代化や植林に伴い面積が減っており、茅場の維持も取り組まなければならないことのひとつです。
<茅や茅文化が知られていない>
以前御殿場市の人に茅を知っているかというアンケートをしたところ、回答した市内居住者の84%が茅を”知らない”、という結果がありました。「知られていない」ことが一番の課題であると危機感を持った私たちは、茅に触れてもらうワークショップを開催するなどして、少しでも認知度を高める活動を行っています。
しかし、先に述べたように茅の文化を伝えられる職人の数は減ってきており、本業で全国を飛び回りながら実施できる回数や人数には限界があり、多くの人に伝えきれていないのが現状です。
◆資金の用途について
まずはより多くの人に茅を知ってもらうこと、そしてそれが茅の用途拡大につながり、”将来の茅職人“育成に向けての第一歩になっていくと考えています。
そこで今回はご支援いただいた資金をベースに、これまで挑戦できていなかった「茅の体験機会」のテスト運用・実施を行います。
たとえば私たちの“仕事”をより深く知ってもらえるような「実際に茅場に入る体験の提供」や、遠方の方でも御殿場の茅に興味をもっていただけるような「茅製品の開発」「茅事業に携われる企画」を準備しています。
今後は私たち自身で継続して実施していくことを見据えた上で、「茅の体験機会」をリターン品として提供し、どういった体験に興味関心を持っていただけるのかを試しながら、よりよい機会の創出につなげていきたいと考えています。
設定いたしましたリターン品の金額(ご支援額)は共通して以下のように活用させていただきます。
・その体験を提供するために必要最低限の材料費、場所代など
・今後自社でオリジナルの体験機会※提供を検討していくための資金
※後継者育成に焦点を当て、大学教授などと連携し学びも含めた継続参加形式のプログラムや、御殿場市内のこどもたちへの教育機会などを検討中
具体的な体験機会の内容については、次の「リターン品の紹介」でご説明します。
◆リターン品のご紹介
いずれも今回のプロジェクトのために新たに考案した体験です!
私たちだからこそ提供できる体験もありますので、ぜひご参加ください。
なお、現地での参加が必要な体験については、移動は含まれておりません。当日はご自身で集合場所にお越しいただく必要がございます。
イメージ画像やその他注意事項などはそれぞれのリターン品ページもご確認下さい。
通常許可された事業者しか入ることができない御殿場市内の富士山麓の茅場で、特別に茅刈りができる体験です。茅刈りの様子を撮影し、画家※が絵画にしてプレゼントいたします。茅でほうきを作るワークショップもお楽しみいただけます。※本間勇(ほんまいさむ)
ごてんば市民芸術祭では入賞するなどプロの芸術家からも評価を受ける、市内で活動する画家です。油絵の手法で雰囲気のある作品を手掛けています。
<人数> 1組様予定
※こちらのリターンはご支援1件につき最大3名様まで参加可能です。
※10歳以上からご参加いただけます。中学生以下は大人の同伴が必須です。
<実施時期>
茅刈り&ほうき作り:2024年11月中旬~12月上旬の土日(所要時間約半日)
茅刈の様子の絵:茅刈体験中に撮影した写真を見ながら製作
製作期間に3か月ほどいただき、完成次第郵送でお届け
通常許可された事業者しか入ることができない御殿場の茅場で、特別に茅刈りができる体験です。茅でほうきを作るワークショップもお楽しみいただけます。御殿場プレミアム・アウトレット内にある「HOTEL CLAD」に宿泊し、遠方にお住まいの方も御殿場の魅力をたっぷり満喫できるプランです。
<人数> 1組様予定
※こちらのリターンはご支援1件につき最大3名様まで参加可能です。
※10歳以上からご参加いただけます。中学生以下は大人の同伴が必須です。
※宿泊は1部屋のご提供です。3名様の場合はソファベッドをご用意いたします。
※宿泊日についてはご自身での手配となり、有効期限内であれば必ずしも茅刈り体験の日と合わせる必要はありません。ただし宿泊券の利用については特定日を除外します。
<実施時期>
茅刈り&ほうき作り:2024年11月中旬~12月上旬の土日(所要時間約半日)
「秩父宮記念公園(御殿場市)」にて、茅を使った建物の虫よけを行うための「いぶし」の作業を見学いただきます。作業をご覧いただいた後は、園内で栽培された野菜を使った軽食をお楽しみいただき、茅のほうき作り体験を行います。<人数> 20名様予定(各日最大5名様×4日間の開催)
※こちらのリターンはご支援1件につき、1名様の参加権となります。
※10歳以上のお子様からご参加可能ですが、中学生以下の場合大人の同伴をお願いします。
その場合②のリターンを必要人数分ご支援いただく必要がございます。
※日程は開催日に合わせてご希望を調整させていただきます。
<実施時期> 2024年8月~9月の火曜日(所要時間約半日)
※基本火曜日の平日開催ですが、祝日や公園開催のイベントに応じて変動の可能性があります。
毎年行われる白川郷集落での茅葺き作業をご支援いただくセットです。ご支援のお礼に、白川郷での茅葺の際に屋根に支援者様のお名前入りのタグをのせた状態で撮影します。屋根に使うためにひとまとめにした茅=「茅束」のミニチュアサイズを、白川郷に使った茅と同じ茅で製作します。「ミニ茅束」に撮影に使ったお名前タグをつけて、写真と一緒にお届けします。
<人数> 25名様予定
※茅につける名前は支援者お1人分です
※白川郷集落の屋根に、お名前のタグは残りません。
<時期> 2024年9月~12月
※茅葺き作業は長期にわたり行うため、写真と茅束の準備ができ次第お送りします。
※ミニ茅束のサイズは30cm前後です。
富士山GoGoエフエムにて毎週土曜日12:00~12:30に放送される「茅取物語」にて、本リターンの支援者のお名前や応援メッセージをご紹介します。
御殿場・小山町の一部をエリアとするコミュニティFMですが、パソコンやスマホからサイマルラジオなどでお聴きいただくことができます。(周波数86.3FM)
<人数>15名様予定
<時期>2024年5月放送回より毎月3名様ずつご紹介
※事前収録を行い、その月は4週同じ内容を放送します。
※放送月が決定次第メールでお知らせいたします。
茅職人しか見られない茅場の風景写真と、お家で楽しめる茅製品をお届けします。茅製品はコースター2枚を予定しています。
<人数> 25名様予定
<時期> 2024年10月発送予定
茅の形をそのまま活かしたデザインで、オブジェのようにも見えます。玄関先やベランダなどちょっとしたスペースのお掃除に便利!
<人数> 10名様予定
<時期> 2024年10月発送予定
柄からほうきの先まで20cmほどのハンディサイズで、机の上や階段など細かいところのお掃除に向いています。
<人数> 15名様予定
<時期> 2024年10月発送予定
茅製ほうきと茅製ほうき(ミニ)をそれぞれ1本ずつセットでお得!
<人数> 10名様予定
<時期> 2024年10月発送予定
50cmほどの高さのテント型のランプシェードです。簡易LEDライトも付属しますのですぐにお楽しみいただけます。茅ならではの雰囲気と光で癒される商品です。※茅は可燃性のため、お手持ちのライトに変更する場合はLEDライトの使用をおすすめします。
<人数> 10名様予定
<時期> 2024年10月発送予定
◆応援メッセージ
普段私たちと一緒に茅に関わる仲間から、応援のメッセージをいただきました。
私は1年に数回、各地で茅のワークショップを行っています。茅に触れた人々からは「懐かしい」「落ち着く」などの言葉が出て表情が和む事が多いです。ストレス社会の中で癒しを求める人も多いです。現代社会の急速な変化に私達の遺伝子は混乱しているのでは無いでしょうか?数百年、数千年と私達の先祖も触っていたであろう『茅』を大切にし後世に伝えていく事が大切だと考えます。
白川郷の合掌屋根には、御殿場産の茅が多く使用されています。御殿場での茅刈り職人の減少による茅不足は、白川郷の合掌造りの維持にも大きく影響してきています。このクラウドファンディングがきっかけとなり一人でも多くの皆さんに茅について知って頂き、茅刈りに携わる人が増えて行って欲しいと願っています。私達白川郷の茅葺き職人もこのクラウドファンディングを応援しています。
◆目標金額・スケジュール
【目標金額】80万円
【資金の使い道】茅文化体験の提供と今後のプログラム検討
【具体的な資金用途】
リターン準備費 約40万円
諸経費 約30万円
CAMPFIRE手数料+税 約10万円
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計 80万円
◆最後に改めて、私たちが「茅」にかける思い
私たちが普段作業している広大な御殿場の茅場です。 こんなにもたくさんの茅があるのに、その5%ほどしか活用ができていません。毎年茅刈りが終わると、次の年の茅を育てるために野焼きを行いますが、「もっと茅を刈りたかった!活用したかった!」とそんな気持ちで焼かれていく茅を見ています。
もっと茅を知ってくれる人がいれば、もっと刈り手がいれば、もっと茅の使い道が広がれば、いろいろな方法で活躍させることができると考えています。
自分の刈った茅が白川郷のような世界遺産や各地の古民家を支える材料になるというこの仕事にとてもやりがいと誇りを感じています。ぜひこのクラウドファンディングを通して、茅を知ってくれる人、茅に触れる人、茅に関わる仕事に興味を持ってくれる人が増やせたらうれしいです。
日本が誇る「茅文化」、そして御殿場の茅を守るための活動にあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
本プロジェクトは御殿場市の新たな魅力を創出・発信するクラウドファンディングプラットフォーム「ワク!ワク!御殿場」のプロジェクトです。
最新の活動報告
もっと見る支援募集期間終了!みなさまありがとうございました
2024/03/25 12:00こんにちは!プロジェクトオーナーの富士勇和産業・長田です。3月22日(金)に本プロジェクトの募集期間が終了いたしました。クラウドファンディングという手段は私たちにとって初めての挑戦でしたが、420,000円という大きなご支援が集まりました!御殿場市内はもちろん、静岡県ではない都道府県から、そして同業者の方、様々な方から応援の気持ちをいただき、大変うれしく思っております。このプロジェクトを通して御殿場の茅や私たちの仕事に関心を持ってくださった方には感謝の気持ちとして必ずリターンをお返ししたいという想いで、本プロジェクトは「All-in」形式でスタートしております。集まった支援金は皆様にリターンとして茅に触れていただく機会をご提供することと、私たちが今後茅文化を知っていただくための新しい活動費に活用させていただきます。リターンにつきましては、ご支援内容により発送時期をそれぞれ設定させていただいております。準備ができましたら早めにお届けする場合もございますので、順次ご連絡させていただきます。まもなく春になりますが、私たちは白川をはじめ、東北から中国地方まで各地の茅葺きへ御殿場の茅を出荷していて、夏頃までこの出荷が続きます。今後もさまざまな場所で茅文化を広めていけるよう活動してまいりますので、引き続き見守っていただけますと幸いです。ご支援いただきありがとうございました! もっと見る
残り1日です!ラストスパート!
2024/03/21 18:00こんにちは、プロジェクトオーナーの長田です。みなさま、改めまして本日までご支援ありがとうございます!支援募集期間はついに残り1日となりました。私たちにとっては初めてのクラウドファンディングへの挑戦でしたが、たくさんの方々にあたたかいご支援をいただき本当にうれしく思います。最後までぜひ見守っていただけますと幸いです。ラストスパート、よろしくお願いします! もっと見る
残り3日です!
2024/03/20 12:00こんにちは、プロジェクトオーナーの長田です。みなさま、改めましてご支援ありがとうございます!支援募集期間は残り3日となりました。すでに多くの方々からご支援をいただいており、自分たちの今までの活動だけでは出会えなかった方たちにプロジェクトを通じて御殿場の茅を知っていただけたと思うと嬉しく感じております。 まだまだご支援募集しておりますので、お知り合いへのご紹介もぜひよろしくお願いいたします!! また先週末の相模大野駅での御殿場市様のPRイベントにて、茅オブジェをご覧いただいた皆様、ありがとうございました。最終日は御殿場市のマスコットキャラクター「ごてんばこめこちゃん」も登場し、盛り上げてくれました!少しの時間ですが茅職人も現場に立ち、声をかけてくださった方に直接御殿場の茅のご紹介をすることができました。プロジェクトは残りわずかとなりましたが、どうぞ引き続きよろしくお願いします!! もっと見る
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