『地球を翔けた異風者 古賀武夫伝』より、いのちのまつりについて書かれた部分を抜粋してご紹介いたします。この章は、草場一壽さんの目線で書かれています。カッコ内は、引用者が補足しました。
第十八章 いのちのまつり
いのちのまつり
平成十二年五月、佐賀県で西鉄バスジャック事件が起きた。十七歳の少年が人質の乗客三人を牛刀で切りつけ、女性が一人死亡した。その三年前には神戸での連続児童殺人事件。いじめの問題も含め、子どもたちが起こす事件が後を絶たなかった。彼らの心の中でいったい何が起きているのか。評論家はああだこうだいうけれど、どうもそれとは違う。だが自分ではうまく説明できない。いのちの大切さ、いのちの尊厳。それをどうにか伝えたくて、(草場一壽は)絵本を作ってみることを思いついた。
陶彩画を製作するかたわら、少しずつ原稿を書き進めていった。そうして手作りの絵本が完成したのが平成十六年。表紙に、沖縄の方言で「いのちのまつり」を意味する「ヌチヌグスージ」のタイトルをつけ、(草場が絵を指導していた保育園の)卒園記念に園児らに配った。それで済むはずだったが、(草場の)工房のスタッフから自費出版して売り込もうと声が上がった。いちばん大きな声を上げたのは、原作を読んで感動した武夫だった。
「かずひさ、すごか。おいがやりたかったとは、いのちのまつりばい。こればい。おいが売っばい!」
『地球を翔けた異風者 古賀武夫伝』p278-279
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