「バックトゥザ・フーちゃんⅡ」に出演する子どもさんたちが津島地区の三瓶春江さん宅を訪れたという東京新聞の記事を読んだ時、静かな感動を覚えました。津島は今の日本が失いかけている「人」として大切なものが色濃く残っていた特別な地区の一つでした。開拓という苦難の歴史を背景に育まれた人間関係。当たり前に声かけあい、助け合い、村祭りを楽しみ、農作業を手伝い合う、何ものにも代え難い「共同体」だったのです。それなのに突然住まいを奪い、人間関係を断ち切り、別れを強いて尊厳まで奪う、それが原発事故です。その現実を目の当たりにした子どもさんたちの小さな胸に灯った怒り、その怒りは、事故から学び、安全な未来を切り開こうとする「明るい怒り」です。それは「怒りの話芸」と言われる講談にも通じます。このミュージカルを全国に届けたい、そのためにも北とぴあでの公演を大成功させようではありませんか。応援どうぞよろしくお願いします。
神田香織
講談師
いわき市出身