→みんなとつながる上毛かるたとは?(3)から続きます。全ての札が彫り終わり、三輪代表の手に漆で仕上げられ、これも漆で仕上げられたヒノキの立派なケースに納められて実行委員会でお披露目され、実行委員のみんなもその造形のユニークさと、触り心地の良さに感動しています。上毛かるたを立体版にして、三輪代表の「作品」としてまず形はできたのですが、それを多くの人に体験してもらうために、どうやって普及活動をしていったらいいのか。次の課題はそこでした。上毛かるたは著作権を群馬県が持っていて、この立体版のかるたを多くの人に体験してもらうためには、まず許諾を取る必要がありました。群馬県庁の文化振興課に通って話し合い、許諾のための条件を頭を捻ってクリアし、また、多くの人に使ってもらうために複製版を作ったり、より多くの人に知ってもらうために群馬の地域芸術祭である中之条ビエンナーレに参加を決めたりと、本当に多くの方たちとの話し合いと協力の中でこのこの立体版かるたは、「みんなとつながる上毛かるた」になっていったのです。中でも、株式会社ジンズの地域共生事業部のみなさんが深くこの事業に関わってくださり、ジンズさんとメノキで、「ミルミルつながるプロジェクト」としてこのかるたの制作と普及に関わってきたという経緯があります。そのあたり、ジンズさんのHPの中でも紹介していただいています。https://park.jins.com/series/jinsnotanemaki/menoki/https://park.jins.com/series/jinsnotanemaki/menoki2/「みんなとつながる上毛かるた」のネーミング自体も、地域共生事業部の石井さんのアイディアです。こうして、この立体版かるた自体も、「みんなとつながる」ことになっていったのです。
郷土かるた の付いた活動報告
→「みんなとつながる上毛かるた」とは?(1)→「みんなとつながる上毛かるた」とは?(2)から続きます。さて、三輪代表が「自分で作ってみる!」と宣言して、ひと月もたたないゴールデンウィークの前あたり、ジンズの地域共生部の秋本さんとメノキのメンバーで三輪さんのアトリエを訪ねると、なんともう結構な数の札が彫り上がっているではありませんか!三輪代表は、彫刻家としては職人気質のある人で、とにかく仕事が早い。方針さえ決まれば自分で締め切りを作ってどんどんそれに向けて仕上げていく。視覚を失って、木を彫ることはできなくなって、今回彫るのは長年の仕事仲間の水口健さんがヒノキの板に彫っていくのですが、その前の原型を、木の板に粘土を貼って三輪代表が作り、水口さんの意見も聞きながら修正しつつ、また水口さんが彫った板を触りながら、それを再修正する、という工程で進められていました。私たちはそのクオリティの高さにびっくりしながら、その愛らしい造形に口元が緩んでしまい、また触りながら、その触り心地の良さにうっとりし、誰ともなく「これいいねえ」と思わず口から言葉が漏れ出ます。会議や実験の場では、いろんなアイディアが出つつも、今ひとつ具体的な形が見えていなかった新しい上毛かるたのイメージが、はっきりと焦点を結んだ瞬間でした。三輪代表は、うれしそうに、「さらにこれを漆で仕上げるからね!」と職人の顔で腕をまくる仕草をしています。見えていないはずの三輪代表が、私たちがモヤモヤしていて見えていなかったイメージを見えるように視覚化していく・・・それはこのかるただけに留まらず、メノキの立ち上げからずっと、どのような活動をしていくのがいいのか、みんなでああでもない、こうでもないと話しながら、モヤモヤしていたことに、三輪代表がある瞬間、すっと、形を作っていくということが何度もあり、アーティストってこういうことなんだな、と深く納得させられる体験でもありました。こうして形はできましたが、その後さまざまな苦労が待っている事を、この時はまだ私たちは知りませんでした・・・