2024/03/14 11:48


「牧ノ原のお茶」を仕上げてくれている「茶匠」と言われる職人達についてご紹介してみたいと思います。


茶舗 牧ノ原の深蒸し茶の工場は、静岡県島田市にあります。

その「仕上げ工場」では、どんな作業が行われているのか?

キーマンとなる2人の「職人」について書いていきますね。



まずは「火入れ職人」ローストマイスター!


牧ノ原の深蒸し茶には「青っぽさ」を引き出した「弱火」のお茶から「香ばしさ」を引き出した「強火」のお茶まで様々な特徴をもったお茶がありますが、その「火入れ」を担当するのがこの「職人」です。


工場には2種類の「火入れ機」があります。

上の画像の機械が「火入れ機」なんですが、これは「オチアイ式」と言われる電気式の火入れ機で、通称「オチアイ」と呼んでます。

カンタンにいってしまうと「電子レンジ」みたいなもので、電気的に熱を加えていく感じの機械ですね。


電気式と言うと「誰でもスイッチひとつでカンタン火入れ!」みたいなイメージを持たれるかもしれませんが、いやいやいや。(^_^;)

ボクもこの機械の操作をやらせてもらったことありますが、機械に投入する茶葉の量、スピード、そして温度のコントロールと、まぁ~簡単じゃありません。

さらに、この機械は3台あるんですが、それぞれ「クセ」みたいなものがあるので、それらを熟知したうえで「火入れ」を安定的に行い、目指す「味」に仕上げていくのはまさに「職人技」です。


こちらは、もう全国的にもここにしかないのでは?という直火式の「ヨコヤマ式火入れ機」。

通称「ヨコヤマ」です。

「電気式」になっている「ヨコヤマ式」のものはまだ現存しているようですが、画像の「重油バーナー」を使ったものは恐らくここにしかないと思います。


コーヒーに似ているかもしれませんが、やはり「直火」のローストは難しい分、味わいも深いです。


この機械では、とにかく「温度コントロール」が神業です。

それは、茶葉の量、水分、気温、湿度など様々な条件によって「同じ火入れ」が至難の技であること、それらを「感覚的」に判断しながらコントロールできるのは、現在では彼しかいません。


「電気式」は「中」から火が入るのに対して、「直火式」は「外」から火が入るイメージです。

この機械の使い分けができるのも、彼の「職人」としてのレベルの高さを表しています。



次に「ブレンド職人」ブレンドマイスター!


実は、味を作っていく上で、この「職人」の存在が一番の「要」なんです。

牧ノ原として仕上げたい「味」に対して、素材となる「荒茶」を吟味して、火を入れたらどんな味わいを引き出せるのかを「イメージ」しながら選び、組み合わせていきます。

ここにはもちろんボクも関わらせて貰っています。


お茶は植物であるが故、毎年同じ「味」になるわけがありませんし、価格とのバランスもあります。

一つの銘柄に対して、ブレンドする「荒茶」は、十数種類の時もあれば、数十種類に及ぶ時もあります。

単に多くの「荒茶」をブレンドすればいいってもんじゃありません。


「荒茶」の状態で色々飲んでいく中で「コレどう?使えそうじゃない?」とか「コレ牧ノ原っぽいねー」とかやり取りしてます。

さらに、ブレンドしてからまとめて火入れするのか、別々に火入れした後にブレンドするのか、「荒茶」の状態に合わせて温度帯をどの辺りにするのか、などなど、彼の感覚・センスなしでは仕上げられません。


お茶を仕上げていく中で、「感覚」とか「イメージ」の共有がかかせないのですが、そここそ一番難しいところで、ボクらの会話は一般の方々からは理解されないだろうな~と思います。(笑)

だって「もうちょっとPOPにしたいね~」とか「味が暗いね。明るさだそう!」とか「トンガリがあっていいね!」とか「これだと丸すぎるね。も少し角つけよう」とか、そんな感じのやりとりですから。。(笑)



そんなやり取りで解かり合えますし、しっかり目指した味わいに仕上げられるのは、彼らだからこそなんです!

どこのメーカーでもいい、誰でもいいって訳にはいかないんですねぇ~。


アタマの中のイメージを共有して具現化する。

具現化したものを更にアレンジしていく。


ひとつの「作品としてのお茶」を創り出すという意味では、お茶づくりはアートだとボクは思っています。