プロジェクトのはじまりと実現したいこと
「Alter、捨てる以外の可能性」。
クリエイティブチーム「スタジオオーア」は、フードウェイストから新しいサーキュレーションの取り組み「Alter」をはじめ、食品残渣を有効活用することでより持続可能な未来を築くことを目指しています。
世界で捨てられる食べ物の量は年間25億トンと推計されており、その中には、食品として加工できない「隠れ食品ロス」が課題になっています。そこで、私たちは、さまざまな理由で捨てられる規格外の野菜、果物の残渣をプロダクトやインストレーションとして再生し、新しいサーキュレーションを作り出すことを目的としています。
より多くの人々にアップサイクルデザインの認知を広げ、フードウェイストとの関わり方や持続可能な自然資源の新しいサーキュレーションシステムを促すために、プロジェクトをはじめました。
▼目指す新しいサーキュレーションの形。
Alterの海藻由来の素材
1年間をかけて、スタジオオーアは、海藻(アルギン酸ナトリウム)から100%植物由来のバイオレジンを開発しました。さまざまな食材廃棄物に適合し、プロダクトやニーズ合わせて色味や素材感をカスタマイズできることが素材の特徴となっています。
Alterの素材は、0.1mm~の薄いシートから、固体までデザイン制作可能です。ビニールのような素材は、水に強く、透過率が高い性質を持ちながら、生分解性の新素材となります。また、野菜や果物の残渣を混ぜることで、一般的な海藻由来の素材より強くなり、豊富な色味や触感のバリエーションを作り出すことが可能です。
▼アボカドの皮を再生したAlterの素材。透明感とアボカドの赤みが特徴です。
▼多様なフードウェイストをアップサイクルし、素材のバリエーションが豊富です。
アップサイクルデザイン
プロジェクトAlterは、デザインの力で社会課題を解決し、新しいサーキュレーションを推進するため、半年前からデザインリサーチをはじめ、プロトタイプデザイン開発してきました。
▼デザインリサーチ:茶殻を花瓶として再生しました。
今回は、より多くの方にフードウェイストから作られた素材を知っていただき、触っていただくため、工芸職人とのコラボレーションでオリジナルのプロダクトを制作しました。
・丸亀うちわ
香川県丸亀市で生産される伝統的工芸品の丸亀うちわ。小判うちわの骨組みは竹で、面の部分はAlterの海藻素材を使用しています。色のバリエーションは、海藻の藍染め、みかんの皮とアボカドの皮による3種類を用意しています。
・組子アートフレーム
組子を現代のライフスタイルに落とし込むことを得意とする、種村木工製作所と協働でアップサイクルのアートフレームをデザインしました。
組子のデザインは、プログラミングによる「Gradient-XY」をテーマに、行と列ごとに一定の法則で線幅を徐々に変化させ、縦横方向のグラデーションの印象をダイナミックにしたものです。今回は、海藻の藍染めとみかん+ワイン粕の2種類のアートフレームを用意しています。
アップサイクルデザインの可能性を広げ、フードウェイストの削減に協賛、応援をぜひお願いします。
スタジオオーアについて
2023年6月にスタート。清水レイコが率いるアップサイクルデザインをテーマとするクリエイティブラボ。清水は、長年海外に暮らし、海外のプラスチック課題への取り組みを知り、マテリアルデザインを学び、フードウェイストをはじめとする次世代の製法を研究・活用し、手触り・香り・色彩など、自然素材の魅力をほのかに感じさせるものづくりを行っています。
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