捜査似顔絵は、証言者の口頭説明により作成していきます。例えば「目はどんな感じでしたか?」と質問すると、ほとんどの人が「普通です。」と答えます。普通って、どれ?人の特徴はみんな違うはずなので、普通と言われたら描きようがありません。だから、似顔絵は描く技術と共に、聞き出す力も求められるのです。話を聞き出すのは警察のオハコのはず。どのように質問していくかを事前に練っておくことが必要です。ぶっつけ本番になりがちな似顔絵作成ですが、質問事項を予め用意するぐらいの準備は必要ですね。
私のところに「どうしたら似顔絵捜査官になれますか?」という質問が時々きます。絵の上手い人を似顔絵専門として採用するというイメージでしょうか?答えは、既に警察官になっている者の中から選ぶのです。似顔絵捜査官だけでなく、音楽隊、機動隊、警察犬の訓練師なども警察官、あるいは警察職員の中から選ばれます。なので、どうしたら似顔絵捜査官になれるかという質問に対してはまずは警察官の試験に合格してくださいという答えになります。似顔絵を作成することは、かなり特殊技能だと思います。それなのに、最初から絵の得意な人を専門職として雇用せず、身内の中から選ぶことに無理はないでしょうか?だからこそ、似顔絵捜査官に任命された後のバックアップが必要なのです。任命されてすぐに上手くなる者などいません。任命したきりで、後は自分で練習しろでは、あまりにも似顔絵捜査官が可哀想。闇雲に練習しても、効率がよくないので、上手くなるまでに時間が帰りますかってしまいます。どうか、プロのアドレスを伝えさせてもらえないでしょうか。このプロジェクトにはそんな思いも入っています。
広島県警 安佐北警察署で似顔絵講習会を開催しました。似顔絵担当者だけでなく、全署員を対象とした講習会です。似顔絵に関わったことがない人がほとんどでしたので、基礎的な描き方や描く手順などを講習してきました。大勢の方に参加していただき、机の間を巡ってアドバイスするので大変でした。似顔絵の技術向上は元より、更に似顔絵捜査に興味を持っていただれば嬉しいです。似顔絵がとても有効な捜査手法であることも力説してきました。大いに盛り上がっていただきありがとうございました。
全ての犯人の似顔絵が作成できるわけではありません。作成できるのは、犯人の顔を見ている場合だけ。多くの犯罪の中で頻繁に作成されているのが性犯罪なんです。どうせ捕まらないと泣き寝入りせず、警察で似顔絵を作成してもらいましょう。卑劣な犯人を野放しにできません。精度の良い似顔絵を描いてもらうため講習をしていきます。
少し前のドラマで、絵の下手な婦警さんが描いた似顔絵で犯人が逮捕されるというのがありました。そんなこと実際にあるのでしょうか?ずばり答えは、あります。似顔絵というのは、特徴をとらえさえすれば絵が下手でも似ます。似顔絵が似ていれば犯人は捕まるというわけです。しかし、ビギナーズラックの可能性は大きいですね。似顔絵は、偶然に似ちゃうことがあるんです。そう、偶然特徴をとらえちゃう。毎回できるかというと、そんなに甘くはないのでね。経験の積み重ねで似せることがコンスタントに上手くなります。つまり練習です。このへんは、センスだけではのりきれないので、たくさん練習しましょうね。