2024/03/25 15:18

皆さんこんにちは、岸岡です。いきなりですが、もう七年になるStrip Jointの歴史を振り返らせてください。

最初の数年は、根拠のない焦燥感を胸に、闇雲に走り続けていた時期でした。バンドとして、ソングライターとして、いや、一人の人間としてのアイデンティティを打ち立てるために、何かを叩きつける。誰かにそれをぶつける。そういうやり方しかできなかった時代です。

その頃は短いスパンで何度もアイデンティティの破壊と再生を繰り返していて、それは主に僕一人の個人的な内省に起因するものでした。何曲も、アレンジやサウンドを根本的に変えてしまって、同じ曲なのに何バージョンも存在して、元のバージョンの演奏の仕方は忘れてしまう、なんてことすら、よくありました。

そんな最初の時期が過ぎ、少し活動が落ち着いていた時期に、複数あったバージョンの、いわばマスターのようなものを整理していく作業を、半年以上かけてやったことがありました。その間はみんなでスタジオにも入らず、孤独に過去の重荷を整理するような作業をしていたことを覚えています。それが、僕らが最初に作ったアルバムの原型になったデモたちです。

一枚目のアルバムは、そういう意味で、僕の中では、徹底的に集大成的なものであり、死の瞬間に向けて一刻一刻と走っていくための規範のようなものであり、幾重にも積層した若さと過ちの痛々しい記録であったかなと思うわけです。早い話、すごく個人的なものなんだよなと。

で、今回のアルバムは、曲数は多くないですが、もうちょっとそういうしんどい感じもなく(いや、結構煮詰まったりしたけど、でもいやな感じではなかった)、みんなで少しずつ組み立てていったものだなと思います。だから、特に、今しかできない作品を作れた!みたいな思い入れはない(笑)。

もちろん、日本語に変わって、それからジャンルレス感が増したり、そういう変化はあるんだけれど、これはむしろ今のこのバンドならではのゆるやかな変化の表現形であり、ふわりと吹いてきた季節風をパッと両手で、十本の指で、しっかりと捕まえた瞬間なのかなと思う。

 今回の作品はCDだけではなくて、(例によって)小冊子がついてきており、そんな空気感の全てがそこに詰まっている、はず。だから、ぜひこの僕らの今をこのフィジカルの作品を通して届けられると良いな。挨拶は以上です。

応援、本当にありがとうございます。