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西屋の茅葺屋根を改修し、再び美しい原風景を取り戻したい!

歴史ある温泉地で唯一火災を免れた茅葺の宿。日本人の心に普遍的な懐かしさを呼び起こす古き良き佇まいを、何とか未来に残していきたい。近代化が加速する中、茅葺建築の維持がどんどん難しくなりつつある現状を一人でも多くの方に知って頂きたい。そんな思いから、意を決してクラウドファンディングを立ち上げました。

現在の支援総額

7,521,029

188%

目標金額は4,000,000円

支援者数

315

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2024/05/01に募集を開始し、 315人の支援により 7,521,029円の資金を集め、 2024/05/31に募集を終了しました

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西屋の茅葺屋根を改修し、再び美しい原風景を取り戻したい!

現在の支援総額

7,521,029

188%達成

終了

目標金額4,000,000

支援者数315

このプロジェクトは、2024/05/01に募集を開始し、 315人の支援により 7,521,029円の資金を集め、 2024/05/31に募集を終了しました

歴史ある温泉地で唯一火災を免れた茅葺の宿。日本人の心に普遍的な懐かしさを呼び起こす古き良き佇まいを、何とか未来に残していきたい。近代化が加速する中、茅葺建築の維持がどんどん難しくなりつつある現状を一人でも多くの方に知って頂きたい。そんな思いから、意を決してクラウドファンディングを立ち上げました。

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11月中旬、来年の茅葺屋根改修の材料となる茅を刈り取る作業を見学するため、福島県南会津郡下郷町の大内宿を尋ねました。
(トップの写真…西屋女将と屋根葺き職人さん。大内宿の町並み資料館の前にて。)

大内宿は、茅葺母屋の重厚な佇まいが街道に軒を連ねるかつての宿場町で、福島県屈指の有名な観光地です。その昔懐かしい景色を求めて国内外から数多くのお客様が訪れるほか、来年西屋の屋根改修でお世話になる屋根葺き職人さんが、普段メンテナンスを手掛けている場所でもあります。

①大内宿の町並み

訪れたのは紅葉が終わりかけの時期でしたが、週末ということもあり、通りは非常に多くのお客さんでにぎわっていました。海外からの観光客も多く、山間の長閑な集落ながら、そこだけ非常に活気にあふれていたのが非常に印象的でした。

一転して夜や早朝は人の波が嘘のように消え失せ、静かな時間が流れていました。特に朝方、外灯だけが仄かに灯る街道を一人歩いただけで、はるか遠い昔の時代にタイムスリップしたような不思議な気持ちが味わえました。

昔の人もきっとこんな景色を眺めていたのでしょう。大内宿の中に宿を取ったおかげで、深い感動を味わうことができました。


②茅場


大内宿の郊外にはなだらかな丘陵地が広がっています。
(写真奥が大内宿)


一帯は田畑や茅場となっており、よく手入れされた茅が沢山穂を延ばしていました。
ここで刈られた茅の一部は来年西屋に届けられる予定のものもあるそうです。西屋の周辺にはもうまとまった茅場はありません。雨風から建物を守ってくれている屋根の茅、その故郷のひとつをようやくこの目で里を拝むことができて、とても感慨深い気持ちになりました。

屋根葺きに使う茅は穂が太くまっすぐでなければいけません。ただ伸びるままに放置していてはだめで、春や秋など定期的に刈り込みをする必要があります。機械が入らない場所なので大変な手間ですが、訪れた日は沢山の地元の皆さんが近くの茅場で茅刈を行っていました。普段は別の仕事を持っている方も、休日になるとこうして共同作業にこぞって集まります。
ちょうど大内宿に泊まった翌日には、朝5時過ぎに茅刈と雪囲いの共同作業を予定通り行うというアナウンスが聞こえました。音につられて様子を見に行くと、既に沢山の住人の皆さんが集会場に集まって作業を開始するところでした。
すっかり住人がいなくなってしまった白布温泉ではまず見られない活気ある光景に、正直羨ましさすら感じました。


③抱えているもの

大内宿は国が選定した重要伝統的建造物群保存地区のため、屋根の改修の際には補助金が出ます。来年西屋で予定しているさし茅(古く傷んだ部分だけを葺き替える)では補助が出ないそうなので、大内宿では十数年に一度、順番で継続的に丸ごと葺き替えが行えているそうです。

(葺き替えて間もない屋根(左)と年数の経った茅葺屋根が並んでいる様子)

ところで、茅葺屋根の「茅」というのは固有の植物名ではありません。
主にススキを原材料としており、米の収穫を終えた秋の終わり頃に長く伸びた穂を刈込み、束にして冬の間乾燥させ、翌年の葺き替えに使用しています。

(大内宿の屋根葺きに使われる茅の保管庫。2階の一区画だけで55~60弾の茅が縦に詰められています。)

茅の束には呼称があり、直径10センチほどに括ったものを4つで1束→6束にまとめたものを1段(弾)と呼び、これが屋根ふきに必要な茅の単位となります。12年前に西屋が全面の茅を葺き替えたときは、およそ250段ほどの茅を使用しました。一軒の屋根を支えるのにどれほど大量の茅が必要かがおよそ想像できるかと思います。

「大内宿といえども、補助金がなければ維持は難しい」。
お店の方も話していました。そのくらい、葺き替えはじめ古い建物の維持にかかる費用はバカにならないのです。1軒だけではとても支えきれません。地域の人々の相互扶助や行政の力添えがあってはじめて、この懐かしく美しい景観が保たれるわけです。

大内宿にはまだ地域としての絆が、この土地を守ろうという強い意志が保たれています。
しかしそんな大内宿でも、残念ながら少しずつ人口が減っているそうです。全国的に少子高齢化が進んでいるわけですから無理もありません。ただ、問題はそこだけではありません。燃料費の他杉皮などの材料費もまた値上がり傾向にあり、場所を問わず、時代が進むごとに茅葺屋根を維持していくのが難しくなりつつある現実がそこにはあります。
西屋も決して手綱を緩めることはできません。
一度手を離してしまえば、二度と戻ってはこないものです。
そんな古き良き景観をこれからどのようにして守っていくか、同じ立場の方々や専門家、地域社会にも広く現状を共有して頂き、一緒に考えていかなくてはならないと改めて思いました。

(大内宿から帰ってきたときに撮影した、晩秋の西屋。)

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