今回の旅ではたくさんの濃密な出会いがあったが、この雑誌の特集編集に長年携わってこられたプロデューサーさんとの出会いが際立って思い出深い。お電話をいただき滞在している家の近くまで車できていただき、この近くにいい喫茶店がありますので、そこに行きましょうと10分ちょっと走ったところにある店を紹介いただいた。古い倉庫を改装した雰囲気のある店は少し照明が暗くて、しかしとても落ち着く店だった。札幌の喫茶店文化はよく語られているが、雰囲気あるなと、いっぺんに気に入ってしまった。コーヒーを頼んだ後、改めて名刺交換をした。須田さんからいろいろ聞いていますと切り出し、すぐに本論に入った。この特集を組む経緯や苦労など興味深い話があった。まさに何故私たちが岡本おさみ音楽記念碑を建てたいかという理念に近い話が次々と出てきた。素晴らしい編集でまるで、私たちが取り組んでいる内容を何年も前から実践されている事実に圧倒された。あの時代、60年代、70年代の文化がどのように生まれ、育ち、そして壊れていったのかと話が続いていった。それは2人の青春時代へ遡っていくものとなった。岡本おさみさんは何を書こうとしていたのかとなっていった。私の方がかなり年上なので、あの時代への質問を
受けるかたちで進んでいった。気がつけば2時間をとっくに過ぎていて、終わりのみえない話が続いた。結論などないが何となく終わり、また車で送っていただきお別れをした。とてもいい時間だった。