ASC世界認証は毎月の水質調査や底質調査を行い、生態系や環境に配慮し、地域や国際的なルールに則すなど、厳格な条件を満たす養殖業に与えられる認証で、世界では約15年の歴史があります。「オリンピックの調達水産物については、ASCやMSCなどのグローバル認証が推奨される」との調達規則が設けられており、その流れで世界に遅れをとっている日本でも東京オリンピックの前から国際認証は少しずつ広まったように感じます。しかし、世界でASC認証を取得している養殖場は約2000件に対し、日本は42件と国内の認証普及は未だ十分とは言えません。(2023年時点)日本国内で、「認証の魚っていいよね!安心だよね!」と魚を選ぶ消費者の方々が増えたら、食卓に並ぶ魚がどのような人からどういう風に育てられたのかより関心を持っていただけたら、魚を育てる生産者たちの意識も格段と上がると思います。環境にもより気を配るでしょう。魚が育つ大事な海にタバコのポイ捨てをする人も皆無になると思います。トレーサビリティも明確で、本当の意味でより損をしない購買ができるようにもなるとも思います。EUやアメリカでは持続可能な水産業を促進するために、政府が認証取得を奨励し、認証取得のコスト負担を軽減してくれている国際認証。しかし日本には残念ながらありません。漁業者やトレースを守る私たち業者からからすれば決して安いものではない認証。それでも未来の価値を創っていくために自力でも共々に頑張りたいのです。ただ、未来を変えていくのは、養殖者や私たちの力だけではまだまだ足りません。食に関する方々や消費者の方々の力がとても必要となります。今回取り組ませていただいたクラウドファンディングは、一人でも多くの方々に、「しまうら真鯛」を通して海の現状や養殖の在り方、島浦の自然や歴史にふれていただき、次世代へつなげるあり方を一緒に考えるきっかけを得るためのものでした。多くの方にこうした次世代につながるお魚を選んでもらうほどに、持続可能な漁業に取り組む漁業者が増え、人と海と自然が健全に共存する未来が叶っていくことになるのでしょう。今日がクラファンの最終日。多くの方々の応援に感謝して、立ち止まる事なく前へ進みたいとおもいます。ありがとう御座います。『九州築地』築地加代子