皆さん、こんにちは!
京屋染物店の蜂谷淳平です。
マタギ研究の第一人者で、マタギの文化継承に多大な貢献をしている『東北芸術工科大学名誉教授』の田口洋美先生より、マタギもんぺプロジェクトへの応援コメントを頂きました!!
『熊も恐れぬマタギたちが一番恐れたものが、山中で汗をかく事である』という田口先生のコメントにもあるように、かつてマタギたちにとって、自らの命を守る大切な道具の一つに『マタギもんぺ』があったことが分かります。
ファッションの衣服というよりも、ギアとしての要素が強いマタギもんぺが、現代の縫製や染色技術も使いながら、更に鍛えぬかれたものとして現代に復活できたことは、脈々と続くマタギ文化の延長線上にこのプロジェクトがあることを改めて実感できるコメントです。
田口先生、ありがとうございます!
田口先生は、マタギに関する著書もいくつも出版されていますので、マタギ文化を更に深く知りたい方は、是非書籍も読んでみてください。
■田口先生から頂いた応援コメント
伝統の中に新しさを発見した若者たちがいる。マタギという中世末期から近世初期に盛岡藩や弘前藩、秋田藩などの古文書に「またき」と印された特定の狩猟者や狩猟集団を意味する名が登場する。とりわけ、「秋田の阿仁マタギは旅マタギで名を馳せた。彼らは他国の山や森を疾走し、獲た獣の肉や生薬の資源を換金して阿仁へ持ち帰ったが、豪雪山岳地帯で獲得したものは現金ばかりではなかった。衣類や保存食、故郷に送る干し肉や燻製の技術もまた厳寒の山地で鍛えられた。豪雪山岳地帯で行動する彼らが最も恐れたのは、四季を通じて山中で汗をかくこと。そのため冬場の狩り装束は軽量薄着を徹底した。春から秋の山では「マタギもんぺ」と呼ばれる古くは麻、後には木綿製の履き物を履き、山中を走るために可能な限り肌に纏わり付かず、通気性が良く、速乾性に優れたものに改良されてきた。炭焼き、木地作り、杣、木樵、渓流釣り、素潜りでの突き漁、ありとあらゆる山での仕事をこなすための履き物、それがマタギもんぺであった。山と森を疾走したマタギの山着物の伝統、「マタギもんぺ」が、現代に、よみがえる。
田口 洋美氏プロフィール
1957年茨城県生まれ。
専攻は民俗学、文化人類学、 環境学、狩猟文化研究者。「狩猟文化研究所」代表。「ブナ林と狩人の会:マタギサミット」主宰幹事。20代半ばに映画製作スタッフから研究者 へと転身し、中部東北日本の狩猟文化研究で業績をあげる。
山と人と動物を知る異色のフィールドワーカー。豊かな森林が育む生物多様性を基盤とした先人の狩猟採集活動について歴史社会的な文脈を重視しながら技術や行動といった具体的視点から研究。近年ロシア極東、シベリア地域の先住民族研究や野生動物の保護管理問題などに着手している。
主要著作:
越後三面山人記 マタギの自然観に習う, (農山漁村文化協会, 1992年2月)
マタギ 森と狩人の記録, (慶友社, 1994年4月)
マタギを追う旅 ブナ林の狩りと生活, (慶友社, 1999年7月)
越後三面山人記 マタギの自然観に習う, (農山漁村文化協会,人間選書, 2001年2月)
新編 越後三面山人記 ─マタギの自然観に習う─, (山と渓谷社,ヤマケイ文庫,2016年3月)
クマ問題を考える:野生動物生息域拡大期のリテラシー,(山と渓谷社,ヤマケイ新書,2017年5月)