BOOKARTを始めてから一番多く聞かれる質問が、「なんで眼鏡のブランドをやろうと思ったのですか?」です。
私はもともと眼鏡は愚か、ジュエリーやアパレルブランドの経験すらない、フリーランスのグラフィックデザイナー(ポスターやパンフレットなどを作るお仕事)でした。
BOOKARTはブランド立ち上げ当初から、「読書」をテーマに内面の美しさを満たすためのジュエリーとしての眼鏡をデザインしてきました。
今でこそ、通常の眼鏡やファッションアイテムとしてお客様にご愛用いただいていますが、ブランド立ち上げ当初は「リーディンググラス」のブランドとしてスタートしました。
デザイナーと言っても、グラフィックデザイナーは主にクライアントのお仕事を手伝う立場にあることが多いです。
そんな中、いつかは自分のブランドを持ってみたいなという、漠然とした想いを持っていました。
そんなある日、実家の母が複数の老眼鏡を使い分けていることに気が付きました。「これは持ち運び用」「これは家で本を読む時用」といった具合です。
実際の母の「家で本を読む時用」の眼鏡は今のBOOKARTの眼鏡とは違い、とても味気ないものでしたが、「本を読む時用」という特別感がどこか私の心を踊らせました。
海外ドラマ、Sex and the City の中で主人公のキャリーが、就寝前の読書の時間に年上の彼氏の老眼鏡を借りるシーンがあります。大人の女性が歳をとっていくことがとても愛おしく感じられるシーンでした。
画像はHBO放送のドラマSex and the Cityより
それが、「なぜ眼鏡のブランドをやろうと思ったか」の最初のきっかけでした。
せっかく自分だけの時間のために使うものですから、他人の目線を気にした当たり障りのないものではなく、とびきり心踊るデザインにしました。
BOOKARTが「日記をつけるときの万年筆」や「お気に入りのランジェリー」のように、誰かのちょっと特別な存在になればいいな、と願っています。