●ストーリー
どんなに鮮明だった夢の記憶も、目が覚め時が経てば曖昧に消えてしまう。
あなたは幽かな記憶の残滓を頼りに、失いかけた夢の記憶を復元しようと試みる。
●遊び方
・準備
①札を6枚×13(A~M)列、伏せて並べる
②賽を振り、A列目の出た数枚目の札を表に返しトークンを置く。M列目まで繰り返す。
・目標
札を開き、札に記された道を繋ぎ、トークンが乗っている札を全て繋げる
・探索
①伏せられている札2枚を表に返す。内1枚は既に開けられている札に隣接したものでなくてはならない。
②2枚が同じ数字、又は大アルカナが含まれていた場合はペアとなり接続へ移る。
③ペアにならなかった場合、伏せて戻し探索を繰り返す。複数人で遊んでいる場合は交代する。
・接続
札がペアになった時、その2枚の札の位置は入れ替えても良い。
表にした札の向きは自由に決定して良いが、その手番以降変更することはできない。
トークンが乗っている札はいつでも自由に向きを変えることができる。
札の位置と向きを決定し、探索を繰り返す。複数人で遊んでいる場合は交代する。
トークンが乗った札全てに道が繋がるか、道を繋げる札が無くなるまで続ける。
●解説
札はそれぞれが夢の内容を象徴している。
トークンが置かれた札は微かに残った夢の記憶。これを起点に札を開いて行く事で、夢の記憶を思い出して行く様子を表している。
札の入れ替えはその2枚が同質の内容の記憶であった事を示している。
記憶の繋がりは平面的なものでは無く、立体的なものであると考える。一見関連の無いものでも、あるきっかけから芋蔓式に記憶が引き出される事がある。
札の上下によって解釈を変えるタロットと、道を繋げる為に札を回すルールは相性が良かった。自身の意思とは無関係に目まぐるしく展開する夢の物語を思い起こさせる。
●特徴
大アルカナがジョーカーの役割を果たしますが、その数の多さから、ゲームの進行は通常の神経衰弱に比べかなりスムーズになる点が多いです。
数を覚える、というよりは道の形を覚えておいて、偶然ジョーカーが引かれるのを待つ、というような雑なプレイでもゲームが進行するのは魅力と思います。
神経衰弱が苦手でも次々と札が開かれ画面が広がって行く快感を体験できます。
神経衰弱は記憶力を競うゲームですが、このゲームは札を集めて数を競うものではなく協力して道を繋げて行く内容の為、開かれていく札の繋がりから物語を夢想する事を楽しむようなものになればと考えています。
●発案
夢を好み、よくテーマに制作を行っています。
よく夢を見るのですが、夢を見ている最中ははっきりと記憶している内容も、目を覚ました直後には多くが薄れてしまいます。
残った僅かな記憶を頼りに夢の内容を思い返すのですが、その様子と神経衰弱のルールが重なり本作を制作するきっかけとなりました。
札はタロットを基にするものとしました。1枚1枚が象徴的で、それぞれの内容が夢の話のように大きなうねりを作る事を期待しました。
夢の内容は心理の深層から浮かぶものとして、または自身の外から受ける啓示として、古くから占いと強い関わりを持ってきました。
タロットを用いたゲームというものがあまり一般的ではない点も惹かれました。
トランプに近しいものという印象はありますが、タロット独自の遊び方、というものはなかなか見つかりにくいものと思います。
タロットとして扱うことができ、ゲームとして遊べ、その内容も絵札と関係が深いものとなっています。