
JTEF事務局長の坂元雅行です。
私たちのプロジェクトが行われる場所は、トラやアジアゾウが暮らす森林に指定された保護地域、それと隣り合う農村地帯です。農村の人々がとくに意識せずに暮らしていると、ゾウやトラと必然的に衝突してしまう・・・そんな場所です。今回のプロジェクトは、効果的に人・動物間の衝突を未然に防止できるよう、保護地域とその周辺の管理に当たる森林局スタッフをパワーアップしようとするものです。
森林帯に食い込むように農村が配置され、トラやゾウと人々が隣り合って暮らす。
最前線にいる森林局スタッフは、必ずしも野生動物に関する知識が十分ではありません。また、被害を受けている農村の人々とのコミュニケーションには改善の余地が大きいこともしばしばです。そこで、専門的知識と経験のあるNGOが、物言わぬトラやゾウのため、地域住民と森林局の間に入って、問題解決の体制づくりをコーディネートすることが多いのです。
インド野生生物トラストWildlife Trust of India (WTI)はまさにそのような方針を持ち、実績を重ねてきたNGOです。その使命は、インドの野生生物、特に絶滅のおそれのある種とその危機に瀕する生息地を、地域コミュニティー(住民)と政府との協働によって保全することにあります。
1998年創立当初は3名でスタートしたWTIも、25年余りを経て国内各地域に常駐するスタッフも入れると100名を超える陣容となりました。スタッフは、野生動物の研究者、獣医、法律家などの専門家も含み、インドの野生生物保全のために革新的・先駆的な取組みを目指しています。本部は、インドの首都デリー郊外にあります。
WTIがインド全域で展開する野生動物保全プロジェクト
私たち(戸川久美:JTEF理事長、坂元雅行:JTEF事務局長)は、トラ・ゾウ保護基金(JTEF)が設立された2009年より前となる、創立時以来、WTIを「現地パートナー」として共同プロジェクトを実施してきました。JTEFとWTIは深い信頼関係で結ばれています。
2024年2月、ケララ州のプロジェクト実施場所を視察(戸川、坂元、WTIの現地・本部スタッフ。右から2番目はWTI代表のビベック・メノン氏)




