学習支援担当の若森です。
不登校にある中学生は全国でおよそ10万人。クラスにひとりくらいは学校に通わずに生活している状態です。その理由は千差万別で、必ずしも学校にまた通えるようになることが支援のゴールとは考えていません。
ただ「学校に通っていない」ことが、進学に強く影響してしまうことが、不登校状態の抱える課題のひとつです。
「偏差値60なのに評定1」
Tくんは、その課題を抱えているひとりでした。
彼は小学生のときにあったいじめ経験から学校への不安が強く、中学進学後も学校には通っていません。しかし、学習意欲は高く、自宅で教科書を使って勉強を続けてきていました。教室でもボランティアスタッフにわからないところを聞いて努力をしている様子が印象的でした。
彼の努力は周囲の大人も感心してみていましたが、学校はあくまで校内での評価をつけているため、通うことができず、定期テストも受けていないTくんには評価「1」をつけざるをえません。
不登校でも努力が報われるようにしたい
彼自身、それは割り切っていましたが、自分がどれだけの能力を持っているのかわからず、評価されていない状態にありました。彼が自分にあった形で評価を受けられるようにしたい。そう考えて、私たちは模試受験を勧めてみました。
結果、Tくんは教室の中でも1番の成績で、偏差値60を超えるものもありました。彼のこれまで続けてきた努力が初めて反映された瞬間でした。
「偏差値60ってすごいよ」と褒めると「都立高校は内申が取れないから難しいと思うんですけど」と言いながらも笑顔を見せてくれました。
それが励みになったのか、そこからは今まで以上に学習に意欲的になりました。仲良くなった大学生に「自宅だとやっぱり集中しきれないこともあるんですけど、どうやって勉強したらいいでしょうか」とより積極的な姿も見られました。
第一志望校に入学することが出来たTくんに「高校でも偏差値60をキープ出来ていたら、今教えてくれている大学生と同じ大学だって目指せるよ」と伝えたときに見せてくれた明るい表情はとても素敵なものでした。
不登校であることがハンデにならないように、学校以外の評価を作ってあげたい。そうすることで、自分の進路を、可能性を信じられるよう活動をしていきたいと考えています。
今年度も子どもたちが模擬試験を受けられるよう、ご支援をお願いいたします。
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