前段:自分を表に出せないRくんが直面した問題意識はこちらをご一読ください。 「姉ちゃんと同じで本番に弱いタイプ」 東京の入試は、公立校の前に、私立高校の入試が行われます。経済的な理由で私立高校を選択できない彼がこぼした愚痴が、私は忘れられません。 「友達に『何で私立と併願しないの?』とか『私立単願だからもう自分は決まったようなものだ』とか言われる」 「皆ずるいよ、俺は失敗できないのに」 家族のため、周りのために貢献できる彼の優しさが逆にプレッシャーとなってしまうのを危惧していた私たちにとって、彼が模試を受けられたことは大きな機会提供になったと考えています。 Rくん自身、いつも「姉ちゃんと同じで本番に弱いタイプ」と話していました。でも、本当に本番に弱いのかと思うと、決してそんなことはなかったのではと思います。彼がそう苦手意識を持っていたのは、そういった場を体験する機会が少なく、周りに比べれば慣れていなかったことが原因だったのではスタッフは見ていました。 だからこそ、模試受験という、知らない人と試験を受ける空気を体験できたことは、“Rくんの高校受験”にとって貴重な機会になったのです。 幸いにして、Rくんは第一志望の都立高校に合格することが出来ました。小学生のときから彼を知る職員から「小5のキャンプで、お母さんが恋しくてしくしく泣いていたあのRが卒業かぁー」と言われて恥ずかしそうにしながらも、「今度高校の制服着て見せに来ます」と言って卒業していきました。 高校受験は人生の一大イベント。 一生に一度のチャンスを十分に準備して迎えることができたかどうか。それが子どもたちにとってのその後の人生にも確かに影響していきます。 今年も子どもたちに模試受験の機会を創出できればうれしいです。 ご支援・ご協力のほど、お願い申し上げます。 ++++++++++++++++++++++クラウドファンディング挑戦中です!ご支援・ご協力のほどお願いい申し上げます。 「あたりまえ」が未来を創る。子どもたちの自立を1年かけて「しっかり」応援したい
家族に迷惑をかけられない。 学習支援スタッフの権田です。 Rくんが学習スペースに初めて訪れたのは小学4年生のときでした。ひとり親の家庭だったこともあり、経済的な余裕はなく、日中働いている母親を助ける為に、学校以外の時間は家事を手伝ったり、小さい弟の面倒を見ていたりしていました。 当時から彼の家事スキルは高く、大人顔負けです。 中学に進学すると野球部に入り、仲間にも恵まれ、充実した学校生活を過ごしていたRくん。2年生のとき、急に「部活を続けられないかもしれない」とぼやきました。それは、彼の優しさから発せられた言葉でした。 Rくんは2歳年上のお姉さんが受験勉強と家の手伝いを両立させるため、2年生のとき部活を諦めざるをえない状況にあったことを知っていました。お姉さんのときとはずいぶん状況も変わっていたので、「野球を続けたい」という強い気持ちを家族は尊重して退部せずに済みましたが、Rくんがお姉さんにだけ負荷がかかっている状況は、彼の中で納得しきれないままだったと思います。 3年生になると、Rくんのことで、お姉さんが私たちのところにやってきました。都立受験を目指しているはずなのに、家ではとても消極的な様子を心配して、「弟のやる気がない」と私たちに相談しにきてくれたのです。 実は、Rくんは私たちにその「やる気のなさ」を話してくれていました。彼が悩んでいたのは、野球部のときと同様に、家族への負荷を恐れていたからだったのです。 家族から受験用のテキストを買いなよとか、模試受けなよと勧められても、彼の頭には家計のことがちらついて、素直にそれを受け取ることができていなかったのです。 弟のことを思っていろいろ提案してくれるお姉さんや家族の声掛けがプレッシャーになってしまったようで、一時期、家から逃げるように学習スペースに通っていたこともあります。 そんなとき当日、ある助成金を活用して模試受験の機会を作ることができ、Rくんにも「模試受験をサポートできるよ」と伝えたところ、彼は「本当に助かります」と嬉しそうに話してくれました。 模試を受験したくてもできない。野球をやらせてもらっていた自分がこれ以上、家に負荷をかけてはいけない。そんな優しさから自ら抑圧していた状況を打破することができたのです。 高校入試を迎えたRくんの続きはこちら ++++++++++++++++++++++クラウドファンディング挑戦中です!ご支援・ご協力のほどお願いい申し上げます。 「あたりまえ」が未来を創る。子どもたちの自立を1年かけて「しっかり」応援したい
●前段:サマーキャンプにかける想いについてはこちら●中段:Hくんが見せてくれたサマーキャンプの価値についてはこちら そんな新たな社会関係を手に入れたHくんにとって、最も良かったなと思うことは、彼のまわりで「高校受験」の話題が出てくるようになったことです。 Hくんにとって高校受験、進路についてはあまり自分ごととして捉えられていない様子でした。学校に通えていれば自然とそういった話も出てくるし、先生からも声をかけられたりで、「考えたくない」という子はいても、話が出てこないという子はそう多くありません。 「友達ができた」という支援的価値 周りと話す機会が増えたことは、彼が手に入れられる情報が増えることに直結します。それは“支援”の視点からみても良質な変化のひとつです。 Hくんは、「中学2年生」という年代の子の話題をキャッチできるようになりました。それは、彼くらいの年齢の子が今、知っておくべきこと、考えるべきことにアンテナが張り巡らせていきます。 週に1,2度、それも数時間しか会えない私たちだけでは起こせない、彼が自ら情報を取り、社会の関わりの中で自己決定をしていくために必要なことが整ったのです。その結果、これまで、ほとんど出てこなかった受験について、進路について当然のように私たちに語るようになりました。 さまざまな家庭環境で育つ子どもたちですが、キャンプを通じて培った絆が、将来のイマジネーションを喚起させ、自立に近づく一歩を作り出します。 Hくんを挙げてお話しましたが、似たような事例がたくさん見てきました。 サマーキャンプ自体は非日常のこと。しかし、その非日常が彼らの「あたりまえ」を創出しています。今年もこういったイベントを実施できるよう、ご支援・ご協力のほどお願い申し上げます。 ++++++++++++++++++++++クラウドファンディング挑戦中です!ご支援・ご協力のほどお願いい申し上げます。 「あたりまえ」が未来を創る。子どもたちの自立を1年かけて「しっかり」応援したい
●前段:サマーキャンプにかける想いについてはこちら 共有できる思い出ができた サマーキャンプは山梨県にある丹波山村というところで毎年行っています。東京から離れすぎていない場所にも関わらず、自然あふれる…というより自然しかない(誉め言葉)ので、普段、東京に住む彼らにとって、その風景は新鮮そのものです。 そんな丹波山村でのキャンプをどんなものにするか、子どもたちと一緒に考えます。企画から一緒にやることで、彼らが創意工夫をする機会を作ることはもちろん、自分たちで作り上げることによる自己肯定感の向上も期待しています。 Hくんはまさにそんな機会を作ったことで新たな自分を見つけました。 事前準備の日、彼が見せたのは、他の子ども達と同じようにグループ内に落ち着いて座り、周囲の子たちに自分の意見を伝えることが出来ている姿でした。「同級生とは話が合わない」とあまり語らない彼が、積極的に場を作り上げていました。 思えば、Hくんの兄弟は年が離れており、普段はお兄さんの後ろをついていくだけになりがちな彼にとって、自分の話したことが聞いてもらえ、反映される機会は新鮮なことだったのでしょう。 それから、学習教室を通じた世界はきっと大きく変わっていったのだと思います。 キャンプの間は「体を動かすことが好き」な彼の長所が目いっぱい発揮され、同じグループで行動したメンバーだけでなく、今までは話さないでいた子や大人と「普通に話す」ことができるようになっていたのです。 その後、教室には必ず顔を出し、“あのキャンプ”を共にした仲間たちと思い出を話せる関係が作られたのです。 めでたし、めでたし…としたいのですが、そうするとHくんの感動秘話で終わってしまいます…(笑)Hくんのキャンプ体験は、帰ってきてから大きな転機となりました。 続きはこちら ++++++++++++++++++++++クラウドファンディング挑戦中です!ご支援・ご協力のほどお願いい申し上げます。 「あたりまえ」が未来を創る。子どもたちの自立を1年かけて「しっかり」応援したい
子どもたちに多方向からアプローチする 学習支援スタッフの若森です。 子どもたちが定期的に通ってくれるよう、彼らのモチベーションを作りに趣向を凝らしています。話題についていくために流行を追いかけたり、ゲームやアニメに手をだしてみたりと、日々の努力は欠かせません(笑) そうやって彼らに合わせることも大切ですが、こちらから仕掛けていくことも重要なアクションです。 例えば、キャンプやバーベキュー、プログラミングの体験など…子どもたちがやりたいからできるというものでもないことは積極的に実現してきました。それは、彼らの今いるところからでは見えない世界がたくさんあると思っているからです。 どのイベントにしても、関心を持ってくれる子、つまらなそうにしてる子、いろいろいますが、自分の得意不得意の気づきを得て、彼らのやる気には大きな変化が見られました。 その中でも私が子どもたちにやってよかったなあ…と今も思い出すのは去年のサマーキャンプです。そのなかでもHくんという子のお話をお伝えできればと思います。 「気が合わないから話さない」 当時、学校を休みがちで、なぜか小学生の後輩に慕われているHくんは、中学2年生のときに私たちのところにやってきました。 「同級生とは気が合わないから話そうとは思わない」「勉強はしない」などと言い切って、学習教室にくるのも稀なHくん。サマーキャンプの開催が決まったときも、本人はあまり乗り気な様子ではありませんでした。私たちはなんとか彼を口説いて(笑)参加してくれることになりました。 そのとき私たちはまだ当日きて、友達を作ってくれたら、これから教室にも通いやすくなるのでは…と思う程度だったのですが、、サマーキャンプから、私たちの知らない彼が垣間見えました。 本来の自分を出すことができた彼の姿はまた次の記事に続きます。 続きはこちら ++++++++++++++++++++++クラウドファンディング挑戦中です!ご支援・ご協力のほどお願いい申し上げます。 「あたりまえ」が未来を創る。子どもたちの自立を1年かけて「しっかり」応援したい