■ごあいさつ
オーケストラ・プロジェクトは、現在、日本で唯一といってよい、新作オーケストラ曲の発表を自主公演で行っている作曲家グループです。
この21世紀の現代に、新作のオーケストラ曲?と思われる方もいらっしゃると思いますが、現在、日本では何と毎年100曲近い新作オーケストラ曲が生まれています。
そのほとんどが、いわゆる現代音楽スタイルのために難解と思われがちで、残念ながら多くの支持を頂きにくいのも事実です。
そのため、現代音楽のコンサートは経済的に成り立たないことがほとんどです。
特にオーケストラの公演は多くの演奏者や大きなホールを必要とするので、かかる経費も他のコンサート以上に莫大なものとなり、経済的な困難さは更に増します。
そのようなオーケストラ公演を、私たちは自主公演で開催するという、とても無謀なことを行っています。
どうしてそのような大それたことを行うのでしょうか?
その答えは「オーケストラ曲を作曲したいから、そして、それをみんなに聴いてもらいたいから」としか言いようがありません。
オーケストラ曲は作曲自体に多くの時間と大変な労力がかかりますが、その上、自主公演のため多大な経費もかかり、更には事務的なことも私たち4人の出品者でやらなくてはならないなど、実現に向けては多くのハードルがあります。
でも、そのような多くの困難を乗り越え、作品が実際の音になった時の感動は何ものにも代えがたいものです。
そして、新しい作品が生まれ空気を振るわす瞬間を皆さんと共有し、多くの人たちに聴いて頂けることこそが最大の喜びなのです。
ぜひ、新しい作品が生まれる瞬間に立ち会ってください‼
そして、私たち作曲家の創造の現場を目撃してください‼
そして、よかったら私たちの活動をご支援ください‼
700万円近い予算規模のオーケストラ公演は、皆さまからの援助がないと活動の継続が困難となります。どうか皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。
オーケストラ・プロジェクト2018 フェイスブックページ
https://www.facebook.com/20180905orchestra/
■この企画について
このコンサートでは、作曲家が書き下ろしたオーケストラ作品を初演しますが、すべての作品がどこでも演奏されたことがなく、初めて披露するので、コンサートにいらっしゃる皆様にとって何が起こるか分からないという期待感をもって、お聴きいただけることと思います。
さて、出品作曲者4名のプロフィールと、今回の作品について演奏順に紹介します。
阿部亮太郎は1962年に東京で生まれ、東京藝術大学大学院を修了しました。日本交響楽振興財団作曲賞で入賞、委嘱作品として、民音現代作曲音楽祭、東京佼成ウインドオーケストラ、東京混声合唱団などの著名な団体から委嘱を受けています。現在、上越教育大学教授として後進の指導に当たっています。
〈漆黒の網目〉についての作曲者自身によるコメントは、以下の通りです。
何となく時が過ぎてしまうようなあり方ではなく、時には怖れや慄きに近いくらい覚醒し続け、「表現されたもの」そのものと摩擦を起こしながら進むようなあり方。予兆と余韻の中から“世界”の中で生きていることそのものの手触りを感じ取ろうという作品です。
小山和彦は、国立音楽大学作曲学科を卒業時に有馬賞を受賞し、その後東京藝術大学大学院を修了しました。第56,57回日本音楽コンクールで入選と第2位入賞などの受賞歴があります。現在は、宮城学院女子大学教授と国立音楽大学非常勤講師をしています。
ピアノ協奏曲第3番についての作曲者自身よるコメントは、以下の通りです。
今回のオーケストラ・プロジェクトでは3曲目となるピアノ協奏曲を初演します。一柳慧氏はピアノ協奏曲を6曲書いていますが、近年では3曲以上のピアノ協奏曲を書いた作曲家は他にあまり見当たりません。ピアノの可能性と、演奏者のパフォーマンスがどのように引き出されるのかも注目してみてください。
山内雅弘は、東京藝術大学大学院を修了しました。朝日作曲賞受賞作「架空の伝説のための前奏曲」は2006年全日本吹奏楽コンクール課題曲となり、第2回東京佼成ウインドオーケストラ作曲コンクール第1位、第21回芥川作曲賞受賞などの受賞歴を持っています。現在、東京学芸大学教授として後進の指導に当たっています。
山内雅弘 ツイッター https://twitter.com/compMY
フェイスブック https://www.facebook.com/yama756912
参考音源:管弦楽のための協奏曲(2012)
https://www.youtube.com/watch?v=HnjJ-0fqe6g
主題の無いパッサカリア〜オーケストラのための(2016)
https://www.youtube.com/watch?v=OaScmsy3lb8
〈SPANDA〜ヴィブラフォンとオーケストラのための〉の作曲者自身によるコメントは、以下の通りです。
今回の曲は大変珍しいヴィブラフォン協奏曲です。しかも自分で鍵盤を加工し微分音(半音の半分)低くした世界に一つしかないヴィブラフォンを使用しています。どのような音がするかはぜひ会場にてお確かめ下さい‼
森垣桂一は、1953年に東京で生まれました。東京藝術大学、パリ国立高等音楽院、サンクトペテルブルグ音楽院で作曲、音楽理論、指揮法を学んでいます。第42回日本音楽コンクール作曲部門第1位、平成12年度芸術優秀賞受賞、ヴィオッティ国際音楽コンクール入賞などの受賞歴があります。現在、国立音楽大学特任教授、東京藝術大学、東京音楽大学講師として後進の指導に当たっています。日本現代音楽協会では、副会長と理事を勤め、また日本作曲家協議会会員でもあります。
参考音源: ヴァイオリン協奏曲第2番(2016)
https://www.youtube.com/watch?v=4vsTuI9nSJI
<交響曲>(2018)の作曲者自身によるコメントは、以下の通りです。
<交響曲>(2018)は、21世紀を生きる作曲家として「現代」を刻印した作品となるように作曲しました。交響曲の「伝統」と関連を持っているのは、潜在的な基本原理のみです。この作品が様々な人々の間で、現代の音楽について話し合うためのきっかけとなることを希望しています。
演奏は日本有数のオーケストラである東京交響楽団です。
指揮者は大井剛史氏で、現代音楽作品の指揮に定評があり、芥川作曲賞作品選考会でも数回指揮を担当しています。近年は東京佼成ウインドオーケストラの正指揮者も務めています。
大井剛史 公式ツイッター https://twitter.com/takeshiooi
また、2018年のコンサートでは、独奏者に西村翔太郎氏(ピアノ)と會田瑞樹氏(ヴィブラフォン)をお迎えします。
西村翔太郎氏は、東京藝術大学・同大学院を首席で卒業・修了、在学中に安宅賞、クロイツァー賞などを受賞しました。コンクールでの活躍もめざましく、第14回東京音楽コンクールピアノ部門第2位だけではなく、多くのコンクールで入賞しています。現在イタリアのイモラ国際ピアノアカデミーに在籍しています。
西村翔太郎 公式ホームページ https://shotaronishimura.jimdo.com/
會田瑞樹氏は、武蔵野音楽大学大学院修士課程を修了しています。学部三年次に日本現代音楽協会主催第9回現代音楽演奏コンクール「競楽Ⅸ」において第2位に入賞して以来、演奏活動はめざましくISCM(国際現代音楽協会)世界音楽の日・北京大会などに参加するなど、国境を越えた幅広い活躍が期待されています。
會田瑞樹 公式ホームページ http://mizukiaita.tabigeinin.com/
ツイッター https://twitter.com/marimperc
フェイスブック https://www.facebook.com/mizuki.aita.5
若く、エネルギッシュな活躍をしている二人の演奏者は、コンサートではバイタリティー溢れるパフォーマンスを披露することでしょう。
■このプロジェクトで実現したいこと
コンサートでは、阿部 亮太郎、小山和彦、山内雅弘、森垣桂一の4名の作曲家が、東京オペラシティコンサートホールでオーケストラ作品を初演します。
今回は特に「新たな耳で世界を拓く」というテーマを掲げました。
2018年はちょうどドビュッシーの没後100年にあたります。ドビュッシーはその素晴らしい耳によって新しい音の世界を開拓し、その後の作曲家にも大きな影響を与えました。その100年後の現代に生きる私たち4人の作曲家も、ドビュッシーとは作風の違いこそあれ、常に新たな耳で自己の音世界を拡げ、聴衆にも新たな音体験を提供したいと願っています。
ドビュッシー没後100年を機に、ドビュッシーの「新たな耳」に改めて思いを寄せることで、この演奏会を我々が未来へ向けた新たな創作のステージを始める契機としたいと考えています。
今回の演奏会のプログラムは以下の通りです(演奏順)
4人の作曲家によるプレ・トーク
阿部 亮太郎: 漆黒の網目
小山 和彦: ピアノ協奏曲第3番
~休憩~
山内 雅弘: SPANDA〜ヴィブラフォンとオーケストラのための
森垣 桂一: 交響曲 (2018)
素敵なチラシも完成しました!!
今回の演奏会の特色として、演奏の前に4人の作曲家がプレ・トークを行います。そこで作曲者自らが今回の曲を分かりやすく解説することは、作品を聴く際の助けになることと思います。「作品を発表する」ということに加え、作品・現代音楽への理解を多角的に深めてもらうための有意義な活動となることを目指したいと思います。
現在鋭意作曲中! スケッチや作曲途中の楽譜です。やがて現実の音になる瞬間を待っています。
そして、これが完成したスコアとパート譜。いよいよリハーサルで音になります。
■これまでの活動
オーケストラ・プロジェクトは、毎年4名の作曲家がチームを組み、オーケストラ作品を初演します。1979年より始められたこのコンサートは、今年で33回目を数えます。
本団体は、1997年および1999年の公演では、文化庁芸術祭優秀賞を受賞し、1979年度公演作品からは尾高賞受賞作品が、2005, 2010年度では芥川作曲賞の受賞作品が生まれるなど、団体として、また個人の作品としても高い評価を得ています。ちなみに、今回出品する山内雅弘は、「宙の形象 −ピアノとオーケストラのための」で芥川作曲賞を受賞しています。
今回も使います‼ 珍しい打楽器の数々!
■資金の使い道
指揮者、独奏者、オーケストラの出演料、会場費、チラシやプログラムの印刷費、雑誌広告などの広報費、録音、その他コンサートの運営に必要な経費として使わせていただきます。
作曲者みずから楽器に触り、新しい音を探ります。
■リターンについて
◎招待券2名様分
全てのご支援に対するリターンです。
ご家族、ご友人をお誘いの上、4人の作曲家の新作が生まれる瞬間をぜひとも目撃しにいらして下さい。
※全て自由席で、好きな席にお座り頂けます。
◎当日配布のプログラム、およびホームページにお名前を掲載
全てのご支援に対するリターンです。
ご支援頂いたことに感謝するため、またそのことを他の方に告知するために、当日配布のプログラム、およびFace bookにお名前を掲載させて頂きます。
※お申し込み時に必ず備考欄にお名前をご記入ください。
※お名前のご記入がない場合は、CAMPFIREにて使用されているハンドルネームを使用させて頂きますのでご了承ください。
※また特定の人物を比喩するお名前や公序良俗に反するお名前は掲載をお断りする場合がありますのでご注意ください。
◎プログラムを進呈 (当日、演奏会に来られなかった方のみ)
当日、演奏会に来られなかった方に対して、プログラムを後日郵送させて頂きます。
※10000円以上のご支援については、演奏会の参加、不参加にかかわらず、後日、作曲者のサインつきプログラムを郵送いたします。
※発送時期は2018年10月です。
◎4人の作曲者のサインつきプログラムを進呈
10000円以上ご支援頂いた方へのリターンです。
僭越ですが、我々4人の直筆サインつきのプログラムを1部お贈りします。また、30000円のリターンでは、更に2人の独奏者、指揮者の直筆サインも加わります。これは当日配布されるプログラムとは別に、後日郵送させて頂きます。
※発送時期は2018年10月です。
◎当日の録音を進呈(音声ファイルかCDのいずれかを選択)
10000円以上ご支援頂いた方へのリターンです。
当日の4人の作曲家の新作全曲を収録した録音をお贈りいたします。
※音声ファイルかCD-Rのいずれかをお選び頂けます。
※お申し込み時に備考欄に「音声ファイル希望」「CD希望」のようにご記入ください。
※音声ファイルはMP3形式で、演奏会終了後に音源のダウンロードリンクをお知らせいたしますので、ダウンロードしてお楽しみください。
CDは音源をCD-Rにコピーしたものを郵送いたします。
※いずれも提供時期は2018年10月です。
◎山内雅弘オーケストラ作品集CD(限定数60枚)か會田瑞樹CD(限定数ファースト・アルバム20枚、サード・アルバム30枚)のいずれかを進呈
山内雅弘オーケストラ作品集
會田瑞樹 ファースト・アルバム with…
會田瑞樹 サード・アルバム 五線紙上の恋人
※10000円並びに20000円のご支援には、この中から1枚、30000円のご支援には2枚お選び頂けます。
お申し込み時に備考欄にご希望のCDをご記入下さい。
※発送時期は2018年10月です。
◎当日の作品の中の、ご希望曲のスコアpdfを進呈
当日の演奏をお聴きになって、気に入られた作品のスコアを贈呈いたします。スコアはオーケストラ曲のいわば設計図です。どうしたらこのような音がするのか、といった秘密が分かります。
※10000円のご支援では1曲、20000円のご支援では2曲、30000円のご支援では3曲をお選び頂けます。
※どの曲を希望されるかは、演奏会終了後にメールにて確認させて頂きます。
ダウンロードリンクをお知らせいたしますので、ダウンロードしてお楽しみください。
※提供時期は2018年10月です。
◎オーケストラリハーサル(9月3日、4日、ゲネプロ)見学の権利
リハーサルで、曲がだんだんと形になっていくプロセスを見ることができる、またとない機会です。
※9月3日と4日はミューザ川崎、ゲネプロは東京オペラシティコンサートホールです。
※9月3日と4日については、どちらか1日、または両日でも構いません。
リハーサルの時間帯、スケジュール等はメールにてご連絡いたします。
その時間帯の中で自由に好きな時間にお越し頂けます。
◎当日演奏会終了後の打ち上げへのご招待
演奏会終了後の打ち上げにご参加頂けます。もちろん打ち上げ代金はリターン代に含まれています。
※場所は未定ですが、東京オペラシティ内の料理店になる予定です。
気軽な雰囲気の中で作曲者や演奏者とお話しができます。
◎お礼状
演奏会終了後に感謝の気持ちを込めたお礼状をお送りします。
■さいごに
現在、作曲家がオーケストラのための新作を発表する機会はますます少なくなっていますが、21世紀の今こそ、この「オーケストラ」という媒体で新たな創作に挑戦し、そこから次の世界を切り開いていくことが日本の作曲家にとって重要なテーマであると考えています。
しかし、オーケストラ作品の演奏会の実現には莫大な費用がかかります。このコンサートは作曲家の自主公演のため、費用は4人の出品作曲家の自己負担となっており、個人の資金だけでは活動の継続がたいへん困難な状況です。しかも、助成団体による助成金も年々減ってきています。
この演奏会を実現し成功させるためには、皆さんの応援を切に必要としています。どうかご支援のほど、よろしくお願いいたします。
最新の活動報告
もっと見る演奏会が無事に終了しました
2018/09/06 21:15お陰をもちまして、オーケストラ・プロジェクト2018は昨日、無事に終了いたしました。 多くのお客様にご来場頂き、大井剛史さんの明快な指揮による東京交響楽団の素晴らしい演奏、独奏者の西村翔太郎さん、會田瑞樹さんの熱演で会場はおおいに盛り上がりました。 クラウドファンディングでご支援下さった皆さまには改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました! ゲネプロの様子 演奏会終了後の打ち上げにて 左から指揮者の大井剛史さん、ヴィブラフォン独奏の會田瑞樹さん、出品作曲家の山内雅弘さん 同じく演奏会終了後の打ち上げにて 今回の独奏者、會田瑞樹さんと西村翔太郎さん もっと見る
クラウドファンディングが終了しました
2018/08/11 07:05オーケストラ・プロジェクトのクラウドファンディングは、昨日で無事に終了しました。 最終的な支援総額は1,383,838円となりました。目標額が100万円でしたので、目標達成率138パーセントという結果です。 開始した当初は目標を達成できるのか不安でしたが、無事に目標を達成するどころか予想をはるかに上回る結果となり、とても驚くとともに感激いたしております。 これもひとえに皆さまのご支援、ご協力のお陰です。心から感謝申し上げます。 今後は皆さまから頂いたご支援を力として、演奏会の成功へ向けて頑張ってまいりたいと思いますので、今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。 オーケストラ・プロジェクト2018 もっと見る
ヴィブラフォンの會田瑞樹さんからメッセージを頂きました
2018/08/09 11:19今回のオーケストラ・プロジェクトにご出演頂く、ヴィブラフォン独奏の會田瑞樹さんからメッセージを頂きました。 この度、オーケストラプロジェクト史上初のクラウド・ファンディングが締め切りを前に目標額を達成いたしましたこと、お力添えをいただいた皆様に心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。 現代の音楽をもっともっと多くの方々に、そして身近なものとしていきたいと願い続ける僕にとって、これだけ多くの皆様から反響をいただいたことに、感謝の思いでいっぱいです。そしてこのご恩は演奏でお返ししたいと、と強い気持ちでおります。 この度初演させていただきます、山内雅弘先生作曲による《SPANDA ーヴィブラフォンとオーケストラのためのー》は、まさにここ数年の小生の活動の集大成といっても過言ではない作品です。 山内雅弘先生との出会いは、2010年オーケストラプロジェクトで初演された《宙の形像》の初演を聞きにいったことから始まります。1音目から感じた、強い衝動を今でもはっきりと思い出します。二台のピアノが複雑に絡み合いながら一つの極点へと向かって行く様は、僕が敬愛する作曲家、八村義夫のピアノとオーケストラのための《錯乱の論理》の志向をさらに推し進めた形であると実感したのでした。以来、僕には夢ができました。いつか、山内先生にヴィブラフォンのための協奏曲を作曲していただきたい、と。 数日後、恐れ多くも山内先生にそのような内容を書いたメールをお送りしました。ありがたいことにすぐにお返事をいただいた上に、今後作曲予定の新作管弦楽作品の打楽器パートの音出しを是非担当してほしいという夢のような依頼まで頂いたのでした。以後数年間度々山内先生にお会いして実際の音出しを担い、そのあとは夜遅くまで美酒を共にする時間を得ることができました。 大学を卒業し、不退転の決意を込めて2015年に東京文化会館でリサイタルを開催いたしました。その時に山内雅弘先生に委嘱して、打楽器独奏のための《SPANDA》を作曲して頂きました。 https://www.youtube.com/watch?v=3YOTAiMVUXY 金属打楽器の音の変質をテーマに描かれたこの作品は、今回のヴィブラフォン協奏曲の萌芽とも言える音楽です。 そして2018年、ついにオーケストラとヴィブラフォンのための《SPANDA》が結実する時を迎えました。 実現にあたり、山内先生からまずいただいた指令は、「もう一台、変調用のためのヴィブラフォンを用意してほしい」ということでした。実際に音盤を削るので、通常の調律からは離れた楽器を「作る」という作業からこの作品は始まりました。プロフェッショナル・パーカッションの皆様のご協力を得て楽器は見つかり、山内先生の研究室に運び込まれ、作曲は順調に進んでいきました。 第一稿ヴィブラフォン独奏パート譜を五月中旬に頂き、作品の骨格が見えて来ました。通奏で20分の作品ですが大きく分けると3部構成になっています。 第一部は二台のヴィブラフォンから訥々と断片が歌われ、それらが堆積すると噴出するような勢いあるパッセージが描かれます。その後、打楽器独奏のための《SPANDA》でも印象深く奏でられる調性感を伴った牧歌的な旋律が歌われます。二台のヴィブラフォンが持つ異なった調性感が聴く者を幻惑しながら、作品の骨格を示すコラールが硬質なマレットで敷き詰められると、一つの高潮を迎えます。 第二部は一転して静謐な時の中で、ヴィブラフォンによる美しい和声が独奏によってひそやかに語られます。カデンツァ風の緩徐楽章と位置付けることもできます。 第三部はこれまでのエネルギーが一つの「到達点」へと向かって一気呵成に進んでいきます。奏者の技巧が極限まで試され、調性と無調が拮抗と融和を繰り返しながら、二台のヴィブラフォンが熱く咆哮します。 是非多くの方々にこの作品を聞いて頂きたいと思っております。 9月5日は東京オペラシティコンサートホールにて心からお待ちしております。また、クラウド・ファンディングも残りあと数日となりました。さらなるご支援にご協力をお願い申し上げたく、何卒よろしくお願い申し上げます! 會田 瑞樹 もっと見る
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