この学校で5年間を過ごし、いっとき離れていましたが、この春6年目を過ごすために戻ってきました。この学校の建物を設計したチェコ出身の建築家アントニン・レーモンドさんに、私は当然会ったことはありません。しかし、レーモンドさんには90年の歴史を超えてこの学校で出会い、たくさんの恩恵をいただきました。最高峰と言われるモダニズム建築の研究者たちから、建築のご講義を直接受けたこと。若き研究者と一緒に、この学校から発見されたレーモンドの設計図の分析をしたこと。レーモンドが興し、100年後の今も威光を放っている設計事務所の会長から、数えきれないほどの教えをいただいたこと。このホールをこんな素敵な食堂に改築した設計士たちと一緒に、この学校を探索したこと。出身中高の修道女会が、レーモンドの建築を修道女会の日本本部として大事に使っていたこと。こんなにたくさんのご縁に導かれ、学び、心を震わせた経験が、2025年の田村かすみにつながっています。学校を離れていた間に、私は一般社団法人Dynamic Heritage(動的遺産)を立ち上げました。レーモンドさんが私に送ってくださった全ての贈り物のおかげで、6月14日広島県東広島市で「シェアオフィス来音」を開業します。広島に残してきた家族のルーツ。そして、人生を送る間に築いてきたご縁。その遺産のおかげで、この事業が成立します。私のチカラではありません。Dynamic Heritage。遺産を活かしきる。これがこの学校で学んだ最も大事なことです。






