あいさつ はじめまして
このプロジェクトをご覧いただきまして、ありがとうございます。いわき市中之作にて「豊田設計事務所」を営んでいる豊田善幸です。今回、地域の空き家活用のひとつとして、海辺の暮らし体験・地域交流施設の機能をもつ「ゲストハウス」をつくることを進めています。そのゲストハウスの内装をみなさまと一緒にDIYにて行なうため、内装資材費用をご支援いただきたく、クラウドファンディングにチャレンジしました。どうぞよろしくお願いいたします。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。
目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
私は、一級建築士として夫婦で建築の図面を書く仕事をしている傍ら、中之作のまちづくりの活動をしております。そのまちづくりの活動「中之作プロジェクト」は、東日本大震災の津波に耐えた港町の風景を次の世代に残したいという思いから始まり、その一環でレンタル古民家「清航館」やシェアハウス「コウノヤ」といった古民家・空き家の保存・再生の一部をDIY(Do It Yourselfの略:「自分自身でやる」の意)で行なってきました。
中之作・折戸地区の抱える課題
そして、空き家は、誰のものだろう?
今、私が住んでいる中之作はかつて漁業が盛んな港町でしたが、高齢化・過疎化が進んでいます。この10年で30世帯減少し、人口は760人から630人になっています。
また、独居老人も増えています。そういう世帯は辛うじて世帯数としては残っていますが、これから一気に減るのではないかという不安があります。高齢化・過疎化が進み、課題となってくるのは人口減少だけではなく、空き家の増加と地域コミュニティの希薄化です。
震災をきっかけに中之作での空き家再生を続けてきて、この地域は変わり始めています。
地域の方から私に建物を託される事例が増えているのです。これは、「豊田に任せると変な使い方をしない」、「入居者が地域に迷惑をかける心配がない」という信頼関係が築けてきたからだと思います。
ただ、この地域では、世帯数が30軒減少する間に、空き家再生の物件数は5件にとどまっています。空き家の増加に対して再生・活用数は全く追いついていないのが現状です。
空き家になった建物は、ほとんど放置されています。
そして、その空き家の所有者はこの地域に住んでいません。そんな建物の活用方法について、所有者が動くのを待つのではなく、地域で知恵を絞って活用していく必要もあるのだろうと考えるようになりました。
例えば、空き家を借家に改修する場合、設計者や施工者は改修工事を終えれば仕事は終わりで、その建物に入居者があるかまでは考えません。建物所有者が全てのリスクを背負うのが一般的です。家賃相場が高い駅前の一等地と比べてたいした家賃が見込めない過疎地域で、遠方に住む所有者がそんな投資をするはずもありません。
地域にある空き家再生の投資リスクは、「関係するみんなで分散する」のがベストなのではないでしょうか?
今回、ゲストハウスにする建物も、10年ほど前にリノベーションのお話をいただいていました。ですが一旦保留にして、カフェ・月見亭やシェアハウス・コウノヤの改修・再生のあとで、「じゃあ、次やりますか」とその建物を見に行ったら、床下に雨水が流れ込んだ影響で白アリ被害に遭いました。設計の仕事をしているにもかかわらず、10年で一気に傷みが進んだ建物を目の当たりにして反省しました。空き家の劣化は、想像以上に速いのです。
これは心してかからないと、地域の空き家は短期間で大量のゴミになってしまうでしょう。そういう危機感から、空き家再生物件を増やす取り組みが必要だと考えるようになりました。
建築家が自分の住むまちを暮らしやすくするためにできることは?
建築家が自分の住むまちを暮らしやすくするためにするべきことは、建物所有者の再生リスクを分散することだと考えます。
具体的には、空き家再生の設計料や工事での利益を建物への投資にまわし、所有者の負うリスクを減らすことです。地域の課題として、今ある空き家に住人がもっと関わるべきと言い出すなら、このぐらいの覚悟が必要です。
この取組みは、自分の住む町の将来を自分のこととしてイメージできなければ、始めることは無理でしょう。
突然入居者が退去した場合には急いで次の入居者を探さなければ採算が見込めないし、設備機器の老朽化など予期せぬ出費のリスクなどを含めると、投資の回収はかなり骨の折れるものになります。
でも、持続可能な心地よい暮らしを目指すために、地域をデザインできる能力を持つ建築家は積極的に自分の住むまちの未来に関わり続けなければならないという信念を貫いていくつもりです。
自分の暮らす地域が限界集落となって消滅してしまう前に建築家ができることが、「空き家再生を自分のこととしてリスクを背負うこと」なのです。
その強い思いに地域の方や支援者が応えてくれることを期待しています。
海辺の豊かな暮らしや文化を体験し、
地域と交流できるゲストハウス
過疎地域に子育て世代が移り住んだなら、これほど素晴らしいことはありません。しかし、おなじ課題を持った地域が日本中で若い移住者を求めて様々な取り組みを進めている中で、中之作ができることはなんでしょう。
この地域には既に空き家再生の成功事例があり、地域の理解が得られているという点では、ほんの少しだけ条件がいいと言えます。けれども、まだまだ子育て世代や若い起業家に選ばれる持続可能な地域にはなっていません。
ここ中之作は、穏やかな港のそばにあり、古い港町の文化やコミュニティ、海での様々なアクティビティを楽しめる素敵な地域だと確信していますが、何のきっかけもなしにディープな田舎に寄ってくる【希少種】とも呼べる方々は簡単に見つからないかもしれません。しかし、中之作プロジェクトで整備したシェアハウスの住人も、カフェのオーナーも、空き家をオフィスとして起業したデザイナーさんも、移住先を斡旋した地域おこし協力隊一家も、別々の地域からやってきて中之作を好きになり、みなさん地域の一員として田舎暮らしを楽しんでいます。
おもしろそうな地域には、おもしろい若者や起業家が集まってくる手応えを感じています。
まずはその地域の豊かな暮らしや文化を体験し、地域に住む方々と交流ができる場があれば、どんな雰囲気なのか・どんな人がいるのかを肌で感じてもらえると思います。そのために、地域に住む人も、外からやってきた人も、軽やかな気持ちで立ち寄り、交われる場として必要なのがゲストハウスなのです。
これから空き家再生を続けていくためにも、ゲストハウスはこの地域に今、最も必要なコンテンツとなります。
今リノベーションを進めているゲストハウスの名称は「enoto (えのと)」です。榎戸(えのきど)という地区にあることもそうですが、聞こえ方で「縁の戸」、「江の音」等、港町の暮らしをイメージしてもらえる名称になっています。ただ寝泊まりするだけでなく、地域内外の人が楽しく交われる場所になってほしいという想いも込めて、「泊まれる港の交民館」、という副題を考えました。
地域の人の集まる場、
かつ宿泊した人との接点の場
ゲストハウスの茶の間の一部屋や外に貼り出したウッドデッキは、近所の人たちがお茶を飲みに集まったり、様々なおもしろい活動の拠点にできる場所にする予定です。地域のためのミニ図書室、中之作の暮らしを発信するポッドキャスト収録、地域の人も宿泊客も交えたBBQ・・・。可能性は無限大です。それがあることで、地域の人が積極的に対話し、宿泊した人との交流を楽しんだりする接点のひとつになるといいなと考えています。
清航館も地域の人に開放しているので、定期的に近所の人たちが集まってお食事会を開催しています。
清航館の館長がヤギの「うみ」くんになって、今まで清航館に来たことがないおじいちゃんが「孫が遊びに来たから、ヤギ見してもらっていいか」と訪ねてきたり、近所の人たちがにんじんの皮をむいたのを持ってきてくれたり、草刈りしている最中に首輪が外れてどこかを歩いているのを発見した近所の方が、慌てて呼びに来てくれたりします(笑)。
地域の人や今までしゃべったことない人とつないでくれる、優秀な館長です。
「ちいさな所有者意識」の集まりが、
建物を長持ちさせる
中之作での空き家再生の手法は、毎回「住民参加型のDIY」を用いています。
なぜそうしているかというと、自分たちの手で空き家を再生する・自分たち好みの家に直していける手応えとものづくりの楽しさを体験してもらえればいいなと思っているからです。
また、住民参加型であることで交流の場にもなり、地域コミュニティの希薄化を防ぐことにもつながると思っています。
今回工事をお願いしている工務店さんには内装工事の手前までやっていただき、内装等の最後の仕上げは移住希望の方や、地元の方に参加してもらってDIYで仕上げる予定です。
清航館西側の土壁は、割った竹を組んで下地を作り、その上に土、砂、藁を捏ね混ぜた泥を塗りました。乾燥後に表面を整え、土壁が完成します。素人の手作業はプロのような仕上がりにはならないものの、出来上がるとどこか味があり、独特の魅力にあふれた建物に仕上がるのです。
最初はものづくりの楽しさを味わってもらうイベントのひとつとして企画したのですが、完成後も参加した人が定期的に遊びに来てくれます。自分たちがつくった壁や塗装した床はどうなってるかな、と。これは、自分が関わった・参加した建物だ、という「ちいさな所有者意識」が、芽生えているのかもしれません。ほんのささいなところでも関わってくれる人が多いほど、建物を大切に思う人数が増え、その人たちによって建物は長持ちするのではないかなと感じています。
今回は大規模な改修工事を含むため、建物の構造部分は大工さんに、電気配線や給排水設備配管などはそれぞれプロの業者に依頼しています。素人が関われるのは最後の仕上げの部分です。左官で壁を仕上げる作業や、床材を張る作業などを行います。空き家再生を目指している方には、ぜひ参加してほしい工事です。
今回いただいたご支援は、現在リノベーションを進めている「ゲストハウス」の内装をみなさまと仕上げるための資材の費用に充てさせていただきます。
みなさまからのご支援、どうぞよろしくお願いいたします。
ご支援の使い道とスケジュール
【資金内訳】
・改装工事内装資材費(家具・左官・塗料・デッキ材料等):100万円
【スケジュール】
・11月:クラウドファンディングスタート
・11月下旬:工事完了
・12月上旬ごろ~2月:内装DIY期間
・3月中旬ごろ:ゲストハウス「enoto」プレ・オープン
応援してくれるひと
今回のチャレンジにあたって、応援メッセージを頂戴したので掲載させていただきます。
最後に
今回のゲストハウス整備のDIYに参加してくれた方の中に、中之作への移住者がきっといます。これは夢でも理想でもなく、これまでの空き家再生で得た確信です。受け入れる側の私たちもそのつもりで対応します。
完成後の施設は普段はゲストハウスとして運営しますが、「泊まれる港の交民館」として、地域のイベントや別の空き家再生DIYを開催する場所としても活用します。DIY作業の汗を流し、夜遅くまで中之作のこれからについて語り合える場所ができることで、参加してくれた方とより深い関係づくりが可能となります。作業だけでは味わえなかった朝の港町の景色や地域の方との交流など、ゲストハウス整備後のたくさんの交流体験にも期待していただければと思います。
< 豊田設計事務所 >
〒970-0313 福島県いわき市中之作字川岸10
TEL:0246-55-8177
< 清航館>
〒970-0313 福島県いわき市中之作字川岸10
TEL:0246-55-8177
< 月見亭 >
〒970-0313 福島県いわき市中之作字川岸10
TEL:0246-55-8177
【本プロジェクトは「企業ひと技応援ファンド」の取組です】
「企業ひと技応援ファンド」事業は、いわき市・いわき産学官ネットワーク協会・いわき信用組合・いわき商工会議所が連携し、次世代に継承すべき技術・サービス・商品を持つ事業者、ポストコロナに対応するため新しいビジネスモデル構築に取り組む事業者をサポートするために企画されたものです。今回、私たちを、新しい時代に「残したい・伝えたい」企業として選んでいただきましたので、是非とも皆様のお力をお貸しください。ぜひとも応援をよろしくお願いいたします。(事務局・いわき商工会議所)
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