ちばユースセンターPRISMは、2024年9月にオープンした千葉県で2番目の中高生向け施設です*。PRISMは、こども若者の「やってみたい!」を応援したい大人たちが集い、こども若者が今すぐに何かを実現するための居場所です。他校の人やさまざまな年代の人とおしゃべりしたり、ゲームをしたり、新しい企画を準備してみたり、ハンモックで寝てみたり…。
PRISMではどんなことができるのか、どんなふうに作ってきたのか、これからどうしていきたいのかを写真とともにご紹介します♪
「ちばユースセンターPRISM」が実現したい居場所のかたち
PRISMはこども若者だけの空間ではなく、いろいろな人が関われる場所です。こども若者だけでなく、こども若者に関わった地域の大人たちも、エネルギーをもらって明日からまた頑張ろうと思えたり、新しいアイデアが生まれてきたり。お互いがよりハッピーになれる場をSpiceとして提供していきます!
「ちばユースセンターPRISM」ってどんな場所?
「ちばユースセンターPRISM」は、
やりたいことをやりたいと言える、そしてやりたいことを「今」やるための場所です。
何かに巻き込まれながら、自分のやりたいことを選び、自分のやりたいことがわかり、なりたい自分に近づいていく。自分のなかにある「これをやりたい! という欲求」を大切にできる、ユースのための居場所。そして、自分の当たり前が揺さぶられ、多様なロールモデルとなる人たちと出会える、地域の居場所。
あるひとにとっては止まり木になり、あるひとたちにとっては交差点となる、そのひとたちに合わせて変化し続ける居場所です。
居場所に支えられた高校時代
みなさん、初めまして!
一般社団法人Spice代表理事の郡司 日奈乃(ぐんじ ひなの)です。PRISMの運営代表です。
なぜ、私がPRISMを立ち上げることになったのかというと、それは、私がこどもの時からずっと地域の中に居場所があり、やりたいことを思いっきりやれたという経験があったからです。
私は、千葉県船橋市に生まれ、高校・大学・大学院の11年間を西千葉(千葉市稲毛区〜中央区)で過ごしてきました。幼少期には子ども会に所属し、ジュニアリーダーとして活動する傍ら、吹奏楽部や管弦楽部に所属し、部活動に励んでいました。
小学生の時は子どもの会の参加者として、少し年齢が上のお兄さんお姉さんに囲まれながら思いっきりたくさんの遊びに参加しました。
高校生になってからは運営する側としても関わる様に。うまくいかない時は、どう振る舞ったらいいのか、何のために、どんなふうに頑張ればいいのか。ジュニアリーダーやサークルの仲間たちやプロジェクトの先輩などから、いろんなことを教えてもらいました。
自分のやりたいことに挑戦できて、周りの人にサポートしてもらい、応援される。
そうした居場所でいろいろな方と出会うなかで、自分の得意なことや好きなことに気がつき、極めることの面白さにどんどんのめり込んでいきました。
今、自分がここで頑張っていること、頑張りたいと思えることを、一緒に協力してくれるメンバーの心強さ、温かく見守ってくれる地域の大人の皆さんに支えられてクラファン公開日である1月25日に26歳になりました。
これからは私が挑戦する背中を見せて、こども若者たちと一緒にこの社会に「スパイスを与えていく」存在になり、そして自分が育ったこの地域に恩返しをしていきたいです!
教育を志す先輩との出会い
教育に貢献したいという気持ちを持つなかで、研究室で4つ上の先輩である 小牧瞳さん と立ち上げたのが「一般社団法人Spice」です。
二人で、「いつかこども若者ための居場所作りたいよね〜」と話していたのが2022年冬。
多動気味な私たちのタッグで2023年4月に一般社団法人Spiceを立ち上げ、2024年3月にはのちにPRISMとなる賃貸の契約開始の運びとなりました。
私と小牧さんは、「子どもや若者が困った時に、行動できるような人になってほしい」という願いが共通してあります。私もそのように動きながら、願いを叶えるために「実践と理論を往復しながら頑張りたい」というところが合致していました。高校生から「仲がいいの?」と聞かれると、二人で遊びに行ったこととかないしどうなんだろ…とか思っちゃうこともありますが(笑)、ビジネスパートナーとして最高の組み合わせだと思っています!
【参考】 SpiceのHPはコチラ
こども若者のための居場所を作りたいという高校生・社会人との出会い
桃太郎のような話ですが、決意してから本当に奇跡に近い形でユースセンター設立に向けて関わってくれる10代、20代と出会えました。一人は「自分もこども若者の居場所づくりに興味がある」という高校生3年生のまよちゃんで。2024年2月に千葉市子ども基本条例の検討委員会で出会いました。もう一人、社会人の大西さんとは2022年12月に若者団体への経済支援を議員に求めるための勉強会で出会いました。
2024年2月から、私と小牧さんとまよちゃんと大西さんで、ユースセンター運営チームを発足。当時18歳・24歳・27歳・28歳という4名で、不安もありながら、それ以上の期待と、両方を感じながらスタートしました。
それから、ユースセンターの場所としての名前を「PRISM」と決め、掃除をしたり、引越しシーズンで引っ越す人から家具を頂いたりしながら、急ピッチで準備を進めていきました。
二人なしにPRISMをスタートさせることは不可能でした。今までもこれからもお互いに支え、支えられの関係で頑張っていきたいなと思います。
無個性に悩んでいた大学院生との出会い-居場所が自分を変えるきっかけになった-
「ちばユースセンターPRISM」を立ち上げる中で、「自分もユースセンターを立ち上げたいかもしれない」という若者と2024年7月に出会い、10月現在、新たに船橋でユースセンター立ち上げに向けて動いている、かみいしゅうとさん。SpiceやPRISMの様子を見てもらいながら、別団体の方で頑張っています。
彼は、無個性だった自分が変われたのは、こども食堂との出会いがあったからであり、そうした挑戦できる場所を作ることが自分のような他のこども若者にも必要なはずと話してくれました。
前向きにユースセンターという居場所を作ることに向けて頑張っている姿に、勇気をもらっています。
こども若者を取り巻く環境
ここまで、このクラファンを始めるまでに出会えた大切な仲間たちを紹介してきました。ここからは少し真面目な雰囲気になりますが、こどもや若者がどのような環境にあるのか、日本全体の状況を見てみましょう。
こども家庭庁の調査によると、こども・若者の5人に1人(18.7%)が「家(普段寝起きをしている場所)や学校(授業や部活、クラブ活動)以外に、『ここに居たい』と感じる居場所」が「欲しいのに、ない」と感じています**。また、居場所がない理由については、「住んでいる地域にそのような場所がないため」が最も多く、年齢が上がるにつれて、その回答率は上昇しています。
また、内閣府の調査によると、「居場所」と思える場所が多くあるこどもほど、自己肯定感やチャレンジ精神などの前向きな感情がもてる傾向にあることが内閣府の調査でわかってきています***。
こども・若者が自分に自信をもち、未来に希望をもって成長するためには、自分らしく過ごせる居場所が、地域に存在していることがとても重要であると考えます。
そこで着目したのが、「ユースセンター」です。ユースセンターとは、家でも学校でもない、こども若者たちが自由に過ごすことができる「第三の居場所(サードプレイス)」となる施設のことです。
ですが、千葉県千葉市にはありません。だからこそ、10代・20代のこども若者の挑戦を後押しできるユースセンターを千葉県千葉市に作りたいのです。
こども若者の「本当にやりたいこと」を大人は聞けているか
私は就活の経験があるのですが、日本では企業に就職したい場合、「will(want)、can、must」の分析を求められます。つまり、「will(want)」=あなたがやりたいこと、「can」=あなたができること、「must」=あなたが(社会側から見て)求められていることの3つです。
この3つがちょうど重なるところ(下の図の赤いところ)が、あなたが仕事にすべき領域とされています。
私はこれまで多くの子ども若者(そして大人も)出会うなかで、自分のやりたいことをすぐに一言で言えるこども若者や大人と出会えることは奇跡に近い経験でした。何ができなければならない状況なのかはすぐ言えるけれど、自分が何をしたいのかは一言ではっきりと言えない。これが私たちの出会ってきた少くないこども若者の現状です。
無気力ながらに学校に通うこどもや、抑圧されていることが当たり前である環境におかれている若者に出会うと、本当にあなたのやりたいことを聞かれるよりも先に、「社会側があなたにいろんなことを求めてしまったんだね」と、大人として申し訳ないという気持ちに度々なりました。
私も小牧さんも偶然恵まれて、授業づくりや人と関わることが好きで、新しいことに挑戦する気持ちを持ち続けることができ、そして社会がこども若者の意見表明を求める時代になったこと。さまざまな奇跡が重なりながら、一般社団法人Spiceの事業が成り立っています。
こうなるまでには、私たち自身がプレイヤーとして本当にやりたいことに打ち込める環境を用意してくれた大人たちがいて、できることが増えるようトレーニングしてくれた大人たちがいたことに20代前半でようやく気づくことができました。
もう一つ、昔と違うこども若者の現状があります。
それは、本当に目の前のことで忙しいということ。
・受験で忙しい
・部活で忙しい
・バイトで忙しい
・塾/習い事で忙しい
・授業で忙しい
けれども、なぜ忙しいかをもう少し掘り下げて考えると、「よりよい将来のために」勉強せよ、活動せよ、こども若者のうちは我慢する時期で、遊ぶ暇などなく、十分な余暇時間や自分自身と対話する時間がほとんど残っていないような状況ではないでしょうか。
たたでさえも忙しいのに、いっぱいいっぱいなのに。いつか将来に役立つはずだからといろんなことを、大人から要求されている。そして、誰の手も借りずに「ひとり」で応えなくてはいけないと思っているこども・若者がたくさんいます。そんな状況、私たち大人でも潰れちゃうと思いませんか?
だからこそ、心身ともに成長途中のこども若者が大人と「一緒に」何かを「自分主導で」「つくる」プロセスが大事なのだと考えています。
私たち大人も、「大学に進学したらやりたい」「仕事が落ち着いたらやりたい」など、自分の「やりたい」という本当の気持ちはその時、その時、ここにあるのに、それを後回しにして生きてしまっていないか?と、大人自身が立ち止まって問い直す必要があるのではないでしょうか。
やりたいことを問われる機会に触れる。やりたいことをトコトン時間も忘れて打ち込んでみる。時間をかけて自分のやりたいという気持ちを耕していく。そういう場所を、それぞれの地域に、丁寧にこども若者と作っていくことが大事だと考えています。
このクラファンで目指したいこと
①PRISMのファンを増やす 目標100人
②こども若者主催・発信のワークショップ実施 目標3回
③机や小上がりの工事費用の調達
④思わず入りたくなる外装デザインと居心地の良くなる内装デザイン
クラファンで得た資金の使用用途
すでに高校生企画でアクセサリー体験のできるブースを実施したり、床にDIYでタイルを貼ったりしてきました。こうした費用の補填や、これからこども若者の声から生まれた企画の実現や工事等に使っていきます。
PRISMの方向性を地域のこども若者たちとともに作ってきた
PRISMの歴史は、一般社団法人Spice立ち上げの2023年3月までさかのぼります。いつかできたらいいね、を今やろうと言い始めたのが5月。賃貸契約を開始した2024年3月から半年かけてオープンの準備を進めてきました。PRISMのこれからの未来を皆さんと作っていきたいと思っています!
リターン品のご紹介
個人の方向けのリターン品と法人向けのリターン品をご用意しています。詳細は活動報告にてご紹介します!ご不明な点等ございましたらメッセージ機能でご連絡いただけますと幸いです。
さいごに
一般社団法人Spice Spice代表理事 小牧よりメッセージ
私は小さい頃から、本人が何かを願っていて、それが実現するように微力ながら関わるということに自分が携われたとき、心からハッピーになれました。私自身、みんなが当たり前のようにできる生活力が著しく低く、本当に悩んだこともありました。でも、いろんな人がそれぞれの方法で私に知恵をくれたり一緒にやってくれたりしたおかげで、学びながらできることが少しずつ増えてきました。
成長したり学んだり変化したりすることは、時に過去の自分を否定することでもあり、後戻りできないことでもあり、怖いことです。でも、わかりきっている今をやり過ごしながら見えない未来を生きるより、不安でも楽しい方に、そして自分の願いが叶えられるように動ける人生を選択できた方が、ドタバタしながらも豊かになるような気がしています。
社会から求められることに敏感になってしまっている今のこども若者たちに、健やかに、安心して、一歩踏み出せるような場所を提供することが自分の使命だと感じています。どうぞ応援よろしくお願いします!
本プロジェクトは、千葉開府900周年の「人づくり」理念に賛同し、千葉県千葉市のこれからを担うこどもや若者に挑戦できる場所を提供するものです。
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注釈
*施設の利用を始めたのは2024年3月、ユースセンターの機能を備えたのが9月です。
**こども家庭庁(2023)こどもの居場所づくりに関する調査研究 報告書概要、p.15
***内閣府(2022)令和3年度 子ども・若者の状況及び 子ども・若者育成支援施策の実施状況 (令和4年版子供・若者白書)、p.11