
2025年12月9日、福岡市内の施設にお住まいのALS患者様(70代男性)のもとへ、ヴァイオリンとギターによる演奏をお届けしました。(再訪問)
演者:尾崎めぐみ(ヴァイオリン)、KAWAKAMI(ギター)
参加者:ALS患者様、ご友人1名、ENOTNスタッフ1名
場所:福岡市内 施設個室
演奏はヴァイオリンから始まりました。美しく張りのある音色が空間を満たし、患者様のお部屋から廊下へと広がっていき、音に包まれる時間となりました。
患者様は前回に続き、今回も呼吸が非常にお辛そうなご様子でした。それでも演奏中、額が動き、瞳がはっきりと動いたことを確認しました。音に対して、確かに反応されていることが分かりました。
2曲目からはギターが加わり、患者様がお好きなシャンソンを演奏しました。深みのある美しい和音のギターの響きに、ヴァイオリンが旋律を重ね、空間全体がひとつの風景のように立ち上がっていきました。その感覚を患者様が受け取ってくださっていることが、立ち会った私には伝わってきました。
今回の患者様は、先月に続いて2度目の訪問です。患者様は、フランスに関わる仕事を長く続けてこられた方で、前回もその背景にちなんだ楽曲を演奏しました。また、以前KAWAKAMI氏の演奏をご覧になったことがあり、ご友人の方からのご依頼を受けて、最初の訪問が実現しました。
そして今回、「もう一度聴かせてほしい」というお気持ちを受け、ヴァイオリンの尾崎めぐみさんにも加わっていただき、フランスにゆかりのある楽曲を中心に演奏を行いました。
ALSという病の進行の中で、音に対して反応され、意思が表れたこと、そしてそれがほんのわずかでも身体の巡りにつながるようなことがあれば、私たちにとってこれ以上の喜びはありません。
この訪問は、私たちにとっても非常に重みのある出来事でした。
12月9日、すべての出来事に感謝いたします。
(この報告は、状況をやわらげて語るものではなく、現場で起きた事実を記録するものだと考えています。)







