自己紹介
こんにちは。
私は2025年春に札幌で「本と喫茶 NOMAD BOOKS」というブックカフェを開業予定の森田 千琴(もりた ちこと)と申します。札幌生まれ、札幌育ちの29歳です。元々は事務職をしていましたが、2024年の夏、ブックカフェ開業準備に専念するため退職しました。
現在は札幌市内の書店 Seesaw Booksさん、laboratory hacoさんで棚オーナーをしたり、一箱古本市などの本に関するイベントに参加したり、本に関するイベントを主催したりしながらブックカフェ開業に向けて準備をしているところです。
また、2025年1月からは俊カフェさん(南3西7)で、朝から昼の時間を間借りしてカフェ営業を行う予定です。
※写真はSeesaw Booksさんでの私の棚です。
社会の中で、心の居場所を求めて
なぜブックカフェを始めようと思ったのか。その理由は、自分自身が社会の中で心の居場所を見失い、悩んだ経験にあります。
現代社会では、効率性や成果が重視される一方で、私たち一人ひとりの価値観や感性が置き去りにされてしまうことがあります。仕事や生活の中で自分自身を見失い、どこか居場所がないように感じる人は少なくないのではないでしょうか。私もその一人でした。
働き始めて数年、私は職場の期待に応えようと必死でした。組織が求める人物像に近づきたい、でもどうしても上手くいかない。気づけば、私は自分ではない別の誰かになろうともがいていました。
そして、心と体が悲鳴を上げたとき、改めて「私はどう在りたいのか」という問いと向き合うきっかけが訪れたのです。
そんな時、従姉妹の結婚式で名古屋を訪れる機会がありました。いつものように旅先で街の本屋を巡り、何気なく立ち寄ったお店で、西村佳哲さんの『自分をいかして生きる』という本に出会いました。タイトルに惹かれ、手に取ったその本の中に、こんな言葉が書かれていました。
”働くことを通じて「これが私です」と示せるような、そんな媒体になる仕事を求めているんじゃないか。なにがしたいということより、それを通じてどんな自分でいたいとか、どう在りたいかといったことの方が、本人の願いの中心に近いんじゃないかと思う。”(西村佳哲『自分をいかして生きる』p.53)
自分は元々組織が求めるような人間になりたいのではなくて、困っている人々の力になりたいのでした。仕事を選ぶ時に一番大切なことは、どの職業に就きたいかではなくて、どのように生きていきたいのかということだったと気づかされました。一冊の本との出会いによって、私は自分を見つめ直す機会を与えられたのです。
そして振り返ってみれば、これまでも私を支えてくれていたのは、いつも本の中の言葉でした。不安や迷いを感じるとき、本はいつも私の心に寄り添い、自分を取り戻す手助けをしてくれました。そしてそれは、きっと他の人の心にも同じように力を与えるのではないかと信じています。
そこで私は、同じように社会の中でもどかしさを感じている人たちのために、「自分を取り戻す場所」をつくりたいと思いました。それが、カフェを併設したブックカフェという形です。本を通じて新しい価値観に触れたり、自分自身と向き合ったりできる場所。慌ただしい日常から少しだけ離れて、自分を整えるひとときを提供する場をつくりたいのです。
このプロジェクトを通じて、誰もが自分らしさを大切にできる社会の一歩を作り出すお手伝いをしたい。そんな思いで、このブックカフェを形にしようとしています。
どのようなブックカフェにしたいのか
私が目指すブックカフェは、日常の慌ただしさから離れ、自分自身と静かに向き合える時間と空間を提供する場所です。店内に入って手前は14畳の書店スペース、奥が10畳の読書室スペースとなっています。読書室ではお食事とお飲み物も提供します。
1. 静寂と集中の空間
当店の最大の特徴は、「静けさ」を大切にした設計です。読書室はお一人様専用とし、私語やPC作業は控えていただくことで、訪れる人が心穏やかに過ごせる空間を目指しています。書店スペースと読書室スペースは間仕切りで区切り、それぞれ異なる目的を持つ場所として設計します。
店内には、ピアノ曲を中心とした静かなBGMが流れ、自然と内省が促されるような雰囲気を演出したいです。また、店内の動線や仕組みも静けさを保つための工夫をします。注文は読書室に入る前にレジで完了し、店主からの声掛けは最小限に。お水はセルフサービスで、各自が好きなタイミングで利用できるようにします。さらに、食事が済んだトレイは返却口に戻す形式とし、訪れる人が自分のペースで過ごせる設計とします。
2. 自分を見つめ直すための動線計画
書店では、訪れる人が社会を知り、自分を見つめ、さらに新しい一歩を考える旅に出られるよう、テーマと動線を設計しています。
入口を入るとまず目に入るのは、社会を見つめる本棚です。社会学、言語学、人類学、政治経済、自然科学といったジャンルが並び、日常の背後にある仕組みや法則について考えるきっかけを提供します。それぞれの本が広い視野を与え、社会の中での自分を位置づける手助けとなるエリアです。
本棚を奥へ進むにつれて、テーマは社会から個人へと移行していきます。心理学や思想、音楽、文学などのジャンルが、訪れる人を自分自身の感情や価値観へと誘います。海外文学から日本文学、さらに短歌や詩へと続く棚構成は、徐々に内面を探る旅を促す仕掛けです。社会を見つめるところから始まり、最終的に自分の心の奥深くと向き合う場へとつながっていきます。
書店の一番奥にはギャラリースペースが設けられています。このギャラリーでは、展示を通じて新たな気づきを得たり、感性を刺激されたりすることで、さらに深い内省が促されます。ここでの体験は、自分の心の中にある問いに新しい視点を与えたり、静けさの中で思索を深めたりする時間を提供します。
ギャラリーを後にして目に入るのは、逆L字型の短辺に配置された棚です。ここには、日々の暮らしや創作活動に焦点を当てた本が並んでいます。この棚では、生活や表現に自分の考えや感情をどう活かせるかを考えるきっかけを提供します。例えば、「自分はどんな暮らしがしたいのか」「自分も表現活動をしてみたい」という気持ちを引き出すような本や作品が揃っています。この場所は、これまでの旅で得た考えを日常の中に取り込むためのスタート地点です。
書店全体の動線は、社会を見つめるところから始まり、自分を深く見つめ直し、そしてその気づきを日々の生活や表現に生かす旅路として設計されています。訪れる人が本を通じて新たな自分と出会い、次の一歩を踏み出すための空間となれば幸いです。
3. 心と体を整えるカフェメニュー
読書室では、心と体を癒すひとときを過ごしていただけるようなご飯とスイーツを提供する予定です。素材の味を引き立てるやさしい味つけで、心を満たしてくれるような一皿となればと思います。
(1)お食事
スコーン、スープ、ミニサラダ、ドリンクのセットを提供する予定です。スコーンは小麦アレルギーを起こしにくい、体にやさしい小麦粉を使用した素朴で豊かな味わいが特徴です。素材そのもののおいしさを引き立てるよう、甘さ控えめに仕上げています。これに加えて、かぼちゃやジャガイモ、コーンといった季節の野菜を使ったポタージュスープを週替わりでご提供します。温かくて優しいスープは、忙しい心と体をそっと癒してくれます。ミニサラダはオリーブオイルとレモンでさっぱりと味付け。トッピングに添えられたナッツやクルトンが、食感のアクセントとなります。ドリンクには、丁寧に淹れたハンドドリップコーヒーや季節に合わせたハーブティーなど、五感を落ち着かせるお飲み物を揃えます。
(2)スイーツ
自然の甘みを生かしたケーキを提供します。人参の甘みとスパイスの香りが引き立つキャロットケーキ、しっとりとした食感が特徴のバナナケーキ、そしてサツマイモとりんごの絶妙な組み合わせが楽しめるケーキなど。ドリンクとともに、静かに流れる時間の中で楽しんでいただけたらと思います。
一皿、一杯、一口が、あなたを支える小さなエネルギーとなりますように。
現在の準備状況
どういうお店かイメージを持っていただけるように、写真とともにご紹介します。
本と喫茶 NOMAD BOOKSは札幌市電「西線6条」駅から徒歩2分ほどの物件の1階に入る予定です。 店内に入って手前側は14畳の書店スペース、段差を上って奥側が10畳の読書室スペースとなっています。
近隣はお蕎麦屋さんやお菓子屋さん、トルコ料理屋さんなど小さいながらも個性的なお店が軒を連ねているエリアです。
内装、外装工事は2025年3月から実施する予定です。
リターンについて
ご支援いただいたお金は本の仕入れ代、店舗改装代に使用させていただきます。
ご支援いただける場合、リターンは以下をご用意しております。
3,000円:お礼のメール
5,000円:お礼のメール+お店のロゴ入りノート
8,000円:オリジナルブックカバー
10,000円:書店の特集棚に1冊本を置く権利(注1)
10,000円:書店で使えるチケット5,000円分
10,000円:オーナーによる選書5,000円分(タロット占いによる選書 注2)
20,000円:書店で使えるチケット10,000円分
20,000円:オーナーによる選書10,000円分(タロット占いによる選書 注2)
30,000円:ギャラリーで展覧会をする権利(注3)
注1 オープン後初めての特集棚はご支援いただいた皆様によるおすすめの本を集めた棚にしたいと考えています。スペースに限りがあるため、本は文庫本や新書などから選んでいただければと思います。
注2 オーナーは学生時代に占い師をしていました。今回タロットで支援者様の現状を占い、お悩みに合った選書をし、結果とともに本を郵送します。
注3 ギャラリースペースは幅2800mm高さ2000mmを予定しています。会期は2〜3週間程度となります。
スケジュール
2025年3月上旬|内装工事スタート
2025年4月中旬|工事完了、本や什器を配置
2025年4月下旬〜5月上旬|お店オープン
2025年10月頃|リターン発送開始
最後に
本と静かな時間が、誰かの心を支える場所になれるように。「本と喫茶 NOMAD BOOKS」は、そんな願いから生まれたプロジェクトです。社会の中で居場所を見つけられずに悩む人や、自分を見つめ直したい人が、ふと立ち寄り、ほんの少し肩の力を抜ける場所をつくりたいと考えています。
あなたのご支援が、この場所を形にする大きな力となります。どうか、応援いただけますと幸いです。
長文を読んでいただきありがとうございました。
※写真は読書室のイメージの原点である伯父の書斎です。
最新の活動報告
もっと見る北海道書店ナビ様に取材いただきました!
2025/01/21 13:10本プロジェクトをご覧いただき、ありがとうございます。1/20更新の北海道書店ナビさんに「本と喫茶 NOMAD BOOKS」のクラウドファンディングに関する記事が掲載されています。第614回 BOOKニュース1月編/北海道書店ナビブックカフェオープンへの思いを丁寧に取り上げていただきました。ぜひご覧ください!--(2025.1.10 メモ)昨日はとあるWEBメディアの取材だった。これまで自分もよく記事を拝見していたので、まだ夢みたい。しかし私のいつもの癖が。正確に伝えたくて、一つ一つの言葉を吟味するあまり沈黙してしまう。それでも記者さんは微笑みながら待ってくれた。真摯に話を聞いてもらえるってこんなにも嬉しい。(2024.12.7 メモ)失敗が続くと、これまでの失敗までどんどん思い出してしまって、もう本当に嫌だ、なんで人にはできることが自分はできないのだと失望する。でも、自分というこのままならない存在とどのように上手く付き合っていくかというのを一生かけてやっていくのかもしれない。それこそが人生なのかもしれない。(2024.12.8 メモ)今私がやっている小さなことがやがて大きな光になっていくことを夢見て明日も生きる。 もっと見るリターンを追加しました!
2025/01/10 11:17本プロジェクトをご覧いただき、ありがとうございます。このたび新たにリターンを追加しましたので、ぜひご覧ください。「NOMAD BOOKSらしいリターンとは何だろう?」という視点で、楽しんでいただける特典を考えてみました。---------------------------------------------------------------------------------【追加リターン】① 一冊選書…オーナーおすすめの本を一冊送ります。こちらは文庫本、新書から選書します。② ドリンクチケット5杯分…読書室で使えるドリンクチケットを5杯分です。③ みんなで作るZINE寄稿権…ご支援いただいた皆さまと一緒にZINEを作り、お店で販売する企画です。④ オリジナルアロマキャンドル…読書やリラックスタイムのお供に。優しい香りのNOMAD BOOKSオリジナルキャンドルをお届けします。---------------------------------------------------------------------------------皆さまからいただいたご支援を、もっと楽しんでいただける形にできればと思い、このリターンを追加しました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします! もっと見る居場所が欲しいと願う人の居場所になりたい
2025/01/06 12:00今回はブックカフェを始めようと決意するきっかけとなった一冊の本との出会いから、その後どのように考え今に至るのか、本文では書ききれなかったエピソードについて書いていきます。—————————————————————これまで、自分の人生はいつ始まるのだろうと思っていました。自分の人生を始めるための「何か」をずっと探していた気がします。その一つが安定した職業を手に入れるという選択でした。でも、一人前の肩書を手に入れたところで、結局のところ「自分の人生」を歩んでいるとは思えませんでした。職場の人間関係、待遇、仕事内容などに不満があったからというのが原因ではなくて(もちろん不満が全く無かったとは言えないけれど)、私は全く別の誰かになろうとしていたんだと思います。一人前の肩書を持った、社会的にも認められる、きちんとした社会人。でも、そうした人物像を目指して生活する日々が続くほど、どこか「これは自分ではない」という違和感が無視できなくなるほど大きなものとなっていました。でも、決定的なきっかけは得られずに漫然とした日々を過ごしていました。転換点は、一冊の本との出会い。西村佳哲さんの『自分をいかして生きる』という本に書かれた「働くことを通じて『これが私です』と示せるような、そんな媒体になる仕事を求めているんじゃないか」という言葉が、これまで感じていた違和感に明確な形を与えてくれました。自分が本当に求めているのは肩書きではなく、どのように生きたいかを軸にした人生だと気付かされたのです。そして私は久しぶりに中高時代に書き溜めていたノートを読み返しました。これが自分の原点だと思ったからです。その中である一行に目が留まりました。“居場所が欲しいと願う人の居場所になりたい”ああ、これだったと全身が脱力する感覚を覚えました。自分の人生を始めるきっかけはどこか外部からもたらされるのではなくて、初めからずっと自分の中にあったのでした。子どもの頃、私はどこか周囲に溶け込めないもどかしさを抱えていました。会話のテンポについていけず、皆のノリにうまく乗れず、上手にふざけることもできない。相手が求めている言葉を見つけられず、どうすればいいのか分からないまま立ち尽くしていた日々。一つ一つの仕草や言葉が間違いのように感じられて、ただそこにいるだけで誰かを傷つけてしまうのではないかとずっと恐れていました。そんな私がひととき心を解放できたのが、本のある空間でした。ひとたび本の世界に入れば、そこには自分と似たようなもどかしさを抱えている人たちに出会うことができました。そして、彼ら彼女らは自分がいる世界を見つめ直し、なんとか乗り越えようとしたり、はたまた全く別の世界の飛び込んだり、自分で自分が居心地の良い世界を作っていったりしていました。そうした文章を読みながら、今見えている現実だけが全てではないのだと、ほんの少し未来の自分に希望が持てるような、小さな灯りのようなものを受け取っていました。そういったことを思い出しながら、自分にこうした世界を見せてくれた本を、今度は自分が手渡せる人間になりたいと思いました。そして、せっかくなら本をゆっくり読める空間も作りたいと考えました。仕事でミスをした時、怒られた時、本当は言いたくもないのに立場上言わなくてはならないことを言った時、そうした時は決まってまっすぐ家に帰らず、私はいつも喫茶店に立ち寄っていました。喫茶店は、慌ただしい世間からいっとき離れ、自分を取り戻すことができる場所でした。珈琲を一口飲むと、自然とため息が漏れる。そうした瞬間に、いかに自分が忙しない世界の中にいたのかと実感させられるのです。そして、自分を取り戻すための儀式のように、喫茶店で過ごすひとときを大切にしていました。自分と同じような思いを抱えている人はきっといるはず。それなら、そうした場所を自分が作りたい。そうした自分と似たような人たちの傍にいたいと思いました。こうして私はブックカフェを作ろうと決意して、今準備をしているところです。オープンは今年の春を予定しています。オープンした暁には、皆さまもぜひ立ち寄ってほしいです。温かい珈琲、ケーキなどをご用意してお待ちしています。—————————————————————【期間限定で間借りカフェをオープン!】俊カフェさんの朝〜昼の時間を間借りしてカフェ営業を始めます。オープン日は2025年1月11日(土)です。コンセプトは「今日を乗り越える一皿を」お腹に優しい小麦を使用したスコーン、スープ、サラダのセットのほか、素材の味を楽しめる甘さ控えめのケーキセット、お飲み物などを提供します。お仕事前の朝ごはん、午後に向けてのお昼ごはん、読書や考え事をするひとときなどに是非お越しください。--喫茶 NOMAD BOOKS場所:俊カフェ(南3西7)時間:7:30-13:00(LO 12:30)定休:火曜、水曜営業期間:〜2025年4月(予定)--【X、Instagramやっています!】本について、開業準備について、日々のつぶやきなどを投稿しています。X: @nomadbooks1901Instagram: @nomadbooks1901 もっと見る
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