今回はブックカフェを始めようと決意するきっかけとなった一冊の本との出会いから、その後どのように考え今に至るのか、本文では書ききれなかったエピソードについて書いていきます。—————————————————————これまで、自分の人生はいつ始まるのだろうと思っていました。自分の人生を始めるための「何か」をずっと探していた気がします。その一つが安定した職業を手に入れるという選択でした。でも、一人前の肩書を手に入れたところで、結局のところ「自分の人生」を歩んでいるとは思えませんでした。職場の人間関係、待遇、仕事内容などに不満があったからというのが原因ではなくて(もちろん不満が全く無かったとは言えないけれど)、私は全く別の誰かになろうとしていたんだと思います。一人前の肩書を持った、社会的にも認められる、きちんとした社会人。でも、そうした人物像を目指して生活する日々が続くほど、どこか「これは自分ではない」という違和感が無視できなくなるほど大きなものとなっていました。でも、決定的なきっかけは得られずに漫然とした日々を過ごしていました。転換点は、一冊の本との出会い。西村佳哲さんの『自分をいかして生きる』という本に書かれた「働くことを通じて『これが私です』と示せるような、そんな媒体になる仕事を求めているんじゃないか」という言葉が、これまで感じていた違和感に明確な形を与えてくれました。自分が本当に求めているのは肩書きではなく、どのように生きたいかを軸にした人生だと気付かされたのです。そして私は久しぶりに中高時代に書き溜めていたノートを読み返しました。これが自分の原点だと思ったからです。その中である一行に目が留まりました。“居場所が欲しいと願う人の居場所になりたい”ああ、これだったと全身が脱力する感覚を覚えました。自分の人生を始めるきっかけはどこか外部からもたらされるのではなくて、初めからずっと自分の中にあったのでした。子どもの頃、私はどこか周囲に溶け込めないもどかしさを抱えていました。会話のテンポについていけず、皆のノリにうまく乗れず、上手にふざけることもできない。相手が求めている言葉を見つけられず、どうすればいいのか分からないまま立ち尽くしていた日々。一つ一つの仕草や言葉が間違いのように感じられて、ただそこにいるだけで誰かを傷つけてしまうのではないかとずっと恐れていました。そんな私がひととき心を解放できたのが、本のある空間でした。ひとたび本の世界に入れば、そこには自分と似たようなもどかしさを抱えている人たちに出会うことができました。そして、彼ら彼女らは自分がいる世界を見つめ直し、なんとか乗り越えようとしたり、はたまた全く別の世界の飛び込んだり、自分で自分が居心地の良い世界を作っていったりしていました。そうした文章を読みながら、今見えている現実だけが全てではないのだと、ほんの少し未来の自分に希望が持てるような、小さな灯りのようなものを受け取っていました。そういったことを思い出しながら、自分にこうした世界を見せてくれた本を、今度は自分が手渡せる人間になりたいと思いました。そして、せっかくなら本をゆっくり読める空間も作りたいと考えました。仕事でミスをした時、怒られた時、本当は言いたくもないのに立場上言わなくてはならないことを言った時、そうした時は決まってまっすぐ家に帰らず、私はいつも喫茶店に立ち寄っていました。喫茶店は、慌ただしい世間からいっとき離れ、自分を取り戻すことができる場所でした。珈琲を一口飲むと、自然とため息が漏れる。そうした瞬間に、いかに自分が忙しない世界の中にいたのかと実感させられるのです。そして、自分を取り戻すための儀式のように、喫茶店で過ごすひとときを大切にしていました。自分と同じような思いを抱えている人はきっといるはず。それなら、そうした場所を自分が作りたい。そうした自分と似たような人たちの傍にいたいと思いました。こうして私はブックカフェを作ろうと決意して、今準備をしているところです。オープンは今年の春を予定しています。オープンした暁には、皆さまもぜひ立ち寄ってほしいです。温かい珈琲、ケーキなどをご用意してお待ちしています。—————————————————————【期間限定で間借りカフェをオープン!】俊カフェさんの朝〜昼の時間を間借りしてカフェ営業を始めます。オープン日は2025年1月11日(土)です。コンセプトは「今日を乗り越える一皿を」お腹に優しい小麦を使用したスコーン、スープ、サラダのセットのほか、素材の味を楽しめる甘さ控えめのケーキセット、お飲み物などを提供します。お仕事前の朝ごはん、午後に向けてのお昼ごはん、読書や考え事をするひとときなどに是非お越しください。--喫茶 NOMAD BOOKS場所:俊カフェ(南3西7)時間:7:30-13:00(LO 12:30)定休:火曜、水曜営業期間:〜2025年4月(予定)--【X、Instagramやっています!】本について、開業準備について、日々のつぶやきなどを投稿しています。X: @nomadbooks1901Instagram: @nomadbooks1901
本屋 の付いた活動報告
本プロジェクトをご覧いただき、ありがとうございます。「本と喫茶 NOMAD BOOKS」のオープン告知カードができましたのでお知らせです!(写真はカードの表面です)全体デザインはBHADRAの溜美香さんにお願いしました。イラストは私が担当しています。デザインに当たっては、お店の雰囲気が伝わる一枚になるよう、店内に流れていそうな音楽、飾ってありそうな絵などのイメージを事前にお伝えしたところ、溜さんには私が言葉では伝えきれなかったところまで深く汲み取っていただいて、素敵な一枚に仕上げていただきました。表面は私が好きな銅版画のイメージ、そしてイラストの右下には画家のサインのようなラテン語の手書きの文字を入れています。"Disce quasi semper victurus, vive quasi cras moriturus."永遠に生きるかのように学べ、明日死ぬかのように生きよ。裏面は古い本のイメージで、日焼けした紙のようなテクスチャが施されています。文字は活版印刷風のフォント。縦書きにすることで、詩集の1ページのような印象です。オープン時期やSNSのアカウント名など必要情報を盛り込みつつも、全体の雰囲気を崩さない配置や文字組となっています。こちらのオープン告知カードはSeesaw Booksさん、laboratory hacoさんに置かせていただいているので、是非一枚でも二枚でもお持ち帰りいただけると嬉しいです。-------------------------------------SNSアカウント情報(敬称略)◼BHADRA/溜美香X: @tamarimikaInstagram: @tamarimika◼Seesaw BooksX: @seesawbooks_n18Instagram: @seesawbooks_n18◼laboratory hacoX: @labohacoInstagram: @haco_bookstore◼本と喫茶 NOMAD BOOKSX: @nomadbooks1901Instagram: @nomadbooks1901