
五角形にロゴマークの可能性をみいだしたことで、こんどは五角形ダンジョンにもぐりこんだわたしたち。
星のカタチがすっぽりおさまる五角形のなかには、魔法のカタチ、黄金比が隠されていることを知りました。
デザイナーさんや絵を描く人にとっては周知の極みと思いますが、黄金比は1メートルの長さと1.618メートルの長さ(その比率)で作られるカタチは美しい、ということです。
ネット画像検索すると、たくさんの絵画が黄金比率の構図になっていることが紐解かれています。また黄金比率による大小の長方形の組み合わせから見出すことができるのがフィボナッチ数です。
フィボナッチ数は自然界の現象にあらわれる法則です。
フィボナッチ数列が生み出す螺旋は、世界でもっとも美しい螺旋だと言われています。
ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーは「深淵の贈り物あるいは六角形の雪について(1611年に発表した小論文)」のなかで、フィボナッチ数を、自己を増殖する比例と呼び、植物の種子の能力の現れであると記しています。
フィボナッチ数字の配列は、1、1、2、3、5、8、13、21、34、と続きます。さいきんではPOPなデザインなどでもみかけることが多くなりました。

巻貝の形や、ヒマワリの種の配列、パイナップルの皮や、まつぼっくりのかさの配列、植物の枝も幹から1本生え、成長するとまた少し高いところに1本生え、また成長すると今度は2本生え、3、5、8、と枝分かれしてゆきます。
五角形のなかにすっぽりおさまる五芒星(☆)の形は、線の長さがすべて黄金比の1:1.618に相応します。そして五芒星の線上を一筆書きのようにたどっていくとフィボナッチ数を見出すことができます。
自然界の法則、植物の種子の能力、天からおりてくる恵みの雨を全体にまんべんなくいきわたらせる螺旋形状。
環境に沿って生き、進化を遂げてきた植物たちの叡智がそこには見てとれます。
人は植物を見るとほっとして、こまごまとした地上ルールからいっとき解放され、リラックスします。
そんな植物たちのもつ叡智を集約しているかのような五角形、五芒星には、きっと見るだけで人を回復し、元気にする魔法が潜んでいるに違いない。
五角形のなかにうっすらと光る五芒星のデザインを考えてみようか。
「ところでブランド名に数字くっつけましょうよという話だけど、占星学のホロスコープで、五角形を作る角度のことキンタイルっていうでしょう。あれ内角の72°のことだったよね」
一同(またしても)はっと息をのみます。
「72、72°、Shield72°、それでいきましょう!」
かくして数字の本性から五角形にいきつき、もんもんと相棒数選びをする旅は、五角形のアイデア到来とともに終わりを迎えたのでした。
そうして五角形のロゴマークを作る作業に入り、できるだけシンプルに、まんまの五角形で、なかにうっすら五芒星を光らせる、いくつかのパターンが完成します。
そこから最終的に2案まで絞り込み、2つの案をぼんやり眺めてジャッジしない数日を過ごし、人事を尽くして天命を待つことにしました。
こうして完成したのが、現ロゴマークとなります。


「見るだけでも元気が出ますように」
そんな思いをのせて、完成したマークなのですが、現代社会の地球ルールではロゴマークの完成と同時に、特許庁への登録商標申請という試練が待ち受けています。
専門士業の方に頼むとけっこうな金額だったこともあり、特許庁に直接問い合わせをして、申請方法を教えてもらい、すべて自分たちで行うことになりました。
一度経験してしまうと、なんてことはないのだけれど、はじめてのことって本当に、ほんとうに、おっかないもんです。(わたしたちは基本ビビりの集まりでして、それはもう自覚しておりますw)
特許庁の申請は、なにもかもがおっかなびっくりで、申請書類一枚書き込むのに丸一日かかったり、それでいて細かいルールを見落として書き直したり。
これでいいよね、まちがってないよね、大丈夫だよねと何度も見直して、さあ投函だ、いざ投函だ、出すよ、出すよ、本当に出しますね、と投函したその後に、肝心の五角形ロゴマークを、2案に絞り込んで採用しなかった方で申請したことに気がつき、一同卒倒します。
いや、もう、なんで?って思われるでしょうが、怖い怖いとビビりまくりで取り組んでいたせいか、ありえない凡ミスが起きてしまったのです。
事前に2種類の申請書類を前倒しでつくっていたことが、逆に災いしてしまいました。
今でこそ大笑い話ですが、当時はほんとうにバタンと床に倒れこむほどの大ショック事件で、どうして複数人で確認したにもかかわらず、誰も気がつかなかったのかと。
そうはいっても自分だって気づかなかった。誰を責めることもできまい。残念無念すぎる…自分はこんなこともできないのか、情けないっ!!と、鬼滅隊の炭治郎ばりに自己反省モードに入りました。
しかし!郵便は投函したばかり。
返却の手続きが、いまなら間に合うかもしれない。
書留でだしたから追跡もできる。
気づいてよかった、まちがってもいいんだ、気がついて修正できるなら、失敗だって素晴らしい経験値になる。
炭治郎モードそのままに郵便局に走り、事情を説明したところ「返却手続き間に合います」と地獄の底から天の声が鳴り響きます。
はぁ~よかった。
ほっとしたら涙が出てきて、半泣き状態で手続をすませ、帰りの電車は流行病で自粛中のためガラガラで、マスクと帽子で顔を隠したまま、泣きたいときに泣けるって悪いくないかもと不謹慎なことを考えて、ぼろぼろと止まらぬ涙をマスクに吸い込ませつつ、こういう時、人の目を気にして我慢すると、がまん癖がついて泣きたいときに泣きたいことがわからなくなっちゃうから、マスクって意外と便利だなとか、ぼろ泣きしているわりには変なことを冷静に考えつつ帰宅しました。
ともあれ登録商標はぶじに申請でき、WEBをつないでチームに完了報告することができました。
よかったよかった、結果オーライだったね、あなたまるっきり炭治郎だったね、いや君こそ碇シンジ君ばりの落ち込みようだったよ、いやいや、そういうあなたこそ第1巻の桐山零だったじゃんと、ちょっと特殊な歓喜の声を上げているなか、誰かがぽつりつぶやきます。
「…で、ロゴの五角形何色にする?」
一同ごくりと唾をのみ、少しの間、画面越しに見つめあい、誰も一言も発することなく、そっとマインドマップ用ホワイトボードに画面を切り替えたのでした。




