
ご覧いただきありがとうございます。
はじめまして。高校三年生(2025年度時)の古澤琴子と言います。
神奈川県のとある中高一貫校に所属し、親元離れた寮生活も早くも6年目を迎えました。

さて、皆さんは、福岡県飯塚市というまちをご存知ですか?飯塚市は山々に囲まれ、大変緑豊かなまちです。

私はそんな飯塚市で生まれ育ち、幼少期は川遊びや木登りにサイクリングなんていった自然環境と隣り合わせの日々を送ってきました。自然環境は、私にとってそれも拠り所のような存在で、現在も年に数回ですが、ふるさとへの帰省を楽しみに日々を頑張っています。
本プロジェクトは、そんな愛するふるさとを巡って立ち上がったものです。
それにしても、なぜキャベツ???なぜ和傘???
きっと皆さんの頭の上にはハテナマークばかり浮かんでいることと思いますので、ぜひ、プロジェクト立ち上げに至るまでの壮絶なストーリーを、ぜひ覗いていってみてください。

飯塚市で起きた一つの出来事
突然ですが、こちらの1枚の写真をご覧ください。私の愛するふるさとです。

見えますか?この、緑でなく、銀色化したこのまちが。
広大な山一面を埋め尽くすこの銀色の板は、今や世界中から注目を浴びる、あの太陽光パネルです。設置されたパネルの数は、5万枚を超えます。山の斜面を利用して行われたメガソーラー開発は、緑豊かな山々を一瞬にしてハゲ山と化し、ついには銀色化させました。

開発計画が始まったのは、約10年前のことです。
あんなに、普段は心穏やかな近所の方々は血相を変えて反対運動を行いました。知見が浅かった当時の私でさえも、「何かが起きている」ということは幼心にも感じられましたが、結局は他人事にすぎませんでした。
しかしながら、ついに見て見ぬふりができなくなったのは、それこそ都心での生活を始め、実家への帰省を何度か繰り返した後のことです。帰省する度に、大好きな地元があからさまに変貌していく。
悲しかった。悔しかった。そして、許せなかった。
再生可能エネルギーは持続可能社会への一歩であるはずが、限りある自然環境を破壊している。それだけでなく、気候変動が起きる度に、土砂崩れやパネルの飛散といった災害への恐怖が地域一帯に襲いかかる。さらに、長い目で見ればパネルの処理には懸念が募るばかり。
考えれば考えるほど、未来が恐ろしくなりました。
そして、周りを見渡せば、加速するばかりの高齢化地域。ふと気付けば、声を上げ続けていた地域のあのおじさまも、あのおばさまも次々といなくなっていました。この時、
「現代社会が引き起こしているこの“矛盾”を、私たち若者自身が、正しいベクトルの向きに直していかなければならない。」
未来人としての自覚が芽生えた瞬間でした。
WHAT I CAN DO
だからといって、果たして私に何ができるのか。
この開発を止められる訳でもありません。たくさん、たくさん、考えを巡らしました。
そんな時、私はアメリカ合衆国のオレゴン州ポートランドというまちを知りました。このまちは、かつては林業が栄え、「切り株のまち」と言われていたものの、今日では環境未来都市として都市開発に成功したまちとして知られています。そんなポートランドに、今ではハゲ山と化してしまった飯塚市と同じようなバックグラウンドを持っていることに親近感を感じました。その一方で、環境保全と地域活性化を両立させたその秘訣を飯塚市に持って帰りたいと強く思いました。
情報社会で情報が溢れる世の中、ポートランドに関するデータを多く得ようと思えば得られます。でも、それだけでなく、このタイミングで、この私が実際に現地に行って、五感を働かせ、感じ取り、考察することに意味があるのだという信念のもと、高校1年生の夏の1か月間、トビタテ!留学JAPAN8期生として渡米を決意しました。

現地ではまちの視察を始め、Patagonia・Columbia・keen・adidas・Nikeの本社や北米本社といった環境理念の高い企業への訪問や、現地で行われているユニークな地域のボランティア活動等を行い、帰国後にはポートランドが切り株のまちから都市開発へと成功させた一連のプロセスを自分なりにまとめてみました。
その中でも、ECOやオーガニック中心の人々の身近な環境こそが、人々の環境配慮の精神を呼んでいることを体感し、「身近な環境が人々にもたらす影響力」を再認識できた留学となりました。

身近な環境から、人々のマインドへ
私は人々に飯塚市の自然破壊の現状を知ってもらいたい。そして、それをきっかけに世が抱える環境問題に「興味を持ってもらいたい」。願わくば、「解決したいと思ってもらいたい」。
私はこのポートランド研修を以て、人々のマインドに影響を与えるには、身近な環境の変革こそが鍵を握るのだと感じました。
そこで、まずは、全国に共通する身近な問題に目を向けたのでした。
注目したのが、「全国のスーパーマーケットで購入の際に廃棄されているキャベツ外葉」と、「学園で多くの生徒が食べ残すキャベツの千切り」でした。
というのも、何かと廃棄されていく活きた“緑”の様が、森林伐採が行われたまちのシーンと重なったからです。

キャベツをアップサイクルしたい!
また、皆さんは“アップサイクル”という概念をご存知ですか?アップサイクルとは、リサイクル・リユース・リデュースの3Rとは異なり、「本来廃棄されるはずだったものを、新しく付加価値のあるものへと生まれ変わらせる仕組み」のことを指します。
森林伐採や食品ロス問題が課題とされる世の中、当時の私はアップサイクルされた商品開発に興味がありました。
このこともあり、「少しでも限りある資源を有効活用させたい」と思い、『有効的なキャベツ外葉のアップサイクル法とは』というテーマのもと、本格的なキャベツ和傘の探究活動がスタートを切ったのでした。


さてさて、そもそも皆さんはキャベツはお好きですか?
最近では、キャベツがどんどんどんどん値上がりしていますよね。
より貴重となったキャベツ、具体的にはどれくらい廃棄されていると思いますか?
一人当たりの年間購入量から、スーパーマーケットで廃棄されているとされるキャベツ外葉の廃棄量を計算してみました。

これは、5tのアフリカ象に換算した場合、アフリカ象10,800頭分に値します。
ところで、なぜこんなにスーパーマーケットにこだわるのか。
私は、現時点で6か国を訪れた経験があるのですが、そういった国々において、キャベツ外葉の視察を行いました。
すると、面白いことに、購入の際にはすでに必要最低限まで外葉がきれいに剝がされていたりというように、ほとんど回収されている様子は見られなかったのです。回収されていると思われたキャベツ外葉もほんの少しでした。

それに比べると、日本のスーパーマーケットではもう、てんこ盛りに回収されています。
実際に問い合わせてみたところでも、最終的には、大部分が廃棄されてしまっている現状が分かりました。

このことから、外葉の回収習慣は日本特有の取り組みではないか、そして、その日本の習慣を上手く活用してあげるべきではないか、と感じたのです。

「とにかくキャベツをアップサイクルさせたい!」
ここまでの内容で、その想いだけはきっと皆さんに伝わったことと思います。
それでは、何故“和傘”なのでしょうか?
キャベツの成分表を見た時、キャベツを有効的に利用できる成分は、不溶性食物繊維、すなわちセルロース。実際に、そういったセルロースを利用して、レザーやペットボトルが製作できる段階まで世の中は発展しています。
しかしながら、本プロジェクトの目的に立ち返ってみましょう。
今回のキャベツ和傘プロジェクトでは、ユニークなキャベツのアップサイクルプロダクトを通して、今ある人々のECOマインドにより影響を与えること、すなわち主に啓発活動を目的としています。
よって、今回は、アップサイクルの初段階における“紙製品への展開”という条件づけをはじめに行いました。その上でプロダクトの選択範囲を絞るとなった時、私は“日本文化”という自身の興味分野を掛け合わせました。祖母と母が日本舞踊を踊っていたこともあり、あの繊細な“日本の美"にとても興味があったのです。その中でも特に、和傘は舞踊でも用いられますが、かつては雨傘として常に人々の身近にありました。それが今では、ほとんどが安価で手軽なプラスチック傘へと置き換えられ、日本は世界で最も傘を消費するとともに、プラスチックの大量消費を引き起こしつつもあるのです。
かつての日本は、長くものを使い続け、壊れても職人技で修理してはまた使い続けるといったエコの習慣がありました。それが現在では、日本文化は年々衰退に陥り、そういったかつての人々の需要・習慣は消え去りつつあります。
エコマインドを“暮らしの中のあたりまえ”にしていくと共に、後世に美しき日本文化を残していきたい。若者として日本伝統産業に新風を吹かせたい。
こうしてようやく、和傘に帰着したのでした。



2024年10月末~2025年2月末
トレ食株式会社様より実証実験用パウダーをご提供いただき、和紙を制作されている「手漉き和紙 たにの様」と和傘を制作されている「日吉屋様」のご協力のもと、撥水加工までを施したキャベツ和紙の実証実験に成功。
※今回は、リーズナブルなコストと制作にかかるエネルギー量の抑制を考慮して、繊維100%ものでなく、乾燥粉砕させたものを和紙の一部として漉き込む形を取っています。


制作にあたって、資源獲得・和紙制作・和傘制作の3つのステップを踏みます。
1.資源獲得
2025年3月末
トレ食株式会社様より、10kgのキャベツパウダーを既にご提供いただきました。
これに加え、自分自身でも実際に廃棄されているものをスーパーから収集し、定期的に以下の工程をもってパウダー状にしています。

2.和紙制作
2025年5月~8月
手漉き和紙たにの様より、和傘5本分に使用するキャベツ和紙を制作いただく予定です。
3.和傘制作
2025年10月~(※長期プランのため詳細は未定)
日吉屋様より、5色の舞傘(※撥水加工を施すため、少量の雨にも使用可能)を制作いただく予定です。
デザイン:少しでもパウダーの微細なつぶつぶの質感を強調するべく、キャベツ和紙の層と、従来の着色和紙の層の二層をデザインしています。他にも、内側の糸飾りや文字入れにも、モチーフにあわせてこだわりを盛り込んでいます。色は、赤、ピンク、黄、緑、黒を予定しています。(変更の可能性あり)


2026年夏〜
キャベツ和傘を用いた体験型講座の開催
キャベツパウダーを用いた制作ワークショップの開催
キャベツ和傘を用いた自身による舞踊の披露
キャベツや和傘に限らないプロダクトへの汎用の検討 等

30万 単価約6万×5本
その他 リターンの品、ワークショップの開催費、輸送費など
※キャベツパウダーのご提供と和紙制作にあたっては、無償で行っていただけることになっています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
キャベツ和傘に至るまでの壮絶なストーリー、いかがでしたか?
皆さんにとって、見えていなかった世界や新たな発見はありましたか?
最近の世の中では、どの国においても、どの分野においても、持続可能社会に向けてSDGsが注目を集めるようになり、様々な形でエコマインドがうたわれていたり、日本文化継承にあたって様々な取り組みが成されていたりします。より多くの人が明るい未来に向かって主体となって動いていく社会。本当に素敵なことだなと思うその一方で、当たりまえ化されすぎた故に本来の意義や目的が失われていたり、固有の価値や特質が埋もれていったり、時には矛盾さえもが起きていたり。
「私たち人間は、今こそその原点に立ち返るべき狭間にたっているのかもしれない」なんて思うこの頃です。
このキャベツ和傘も同じであって、私にとって今まで見えていなかった世界が見えてはじめて生まれたものです。
このプロジェクトを通して、ひとまずは「へぇ~」でも「ほぉ~」でも「はぇ~」でも、「ようわからんけど、楽しそうやないか!」と少しでも皆さんに興味を持ってもらえていたら幸いです。欲を言えば、次にスーパーや食卓でキャベツを見たときに、「そいえば、何か変なキャベツガールおったなぁ」と思い返して、何かと考えるきっかけにしてもらえたら十分でございます。
何より、皆さんに、楽しく、環境問題や日本文化衰退問題といった社会問題を身近なものとしてイメージできるきっかけづくりが、本プロジェクトの本望ですので。
さてさて、キャベツキャベツ、そしてまたキャベツ!!とやかましいくらいに書きましたが、私はとりわけ「キャベツが大好き!」という訳ではありません。ただ、当時の私にとって、一つの課せられた使命のように感じられただけなのです。
というのも、改めてになりますが、私は自然環境が大好きです。
失われていくまちの緑を目の前に、少しでも救える緑があるのならば救いたい。そんな時に私の目の前に現れたのが、緑の“キャベツ”というだけなのです。
本来廃棄されるはずだったものが、美しき日本伝統工芸品へと生まれ変わり、後世へと受け継がれていく。そんな大展開劇、一緒につくってみませんか?

2021年7月
よこはま子ども国際平和スピーチコンテストにて、「声を上げることの大切さ」をテーマに学校代表として出場。
2023年5月
「廃棄キャベツの有効的なアップサイクル法とは」をテーマにキャベツ探究スタート。
2023年8月1日~29日
トビタテ!留学JAPAN8期生としてアメリカ合衆国オレゴン州ポートランドに渡米。
2024年2月17日
「My Inspire High Awad2024全国大会」にて、「スーパーマーケットで回収されたキャベツ外葉は廃棄されているの?」をテーマに発表。パナソニック Make New Magazine賞受賞。
2024年10月11日
プランインターナショナル主催のエッセイコンテスト「ガールズ・リーダーシップ~私の声が未来をつくる」にてガールズエンパワーメント賞受賞。
2024年11月6日~12日
ノエビアグリーン財団主催の「高校生対象・フランス4泊7日の旅 世界一周白石康次郎ヨットレース応援!」にてフランス研修。キャベツの視察を行う。
2024年11月末
第5回松下幸之助杯スピーチコンテストにて、「全ての人の合意の上に成り立つ社会づくりを」をテーマに優良賞受賞。
2025年1月17日~20日
一般社団法人ウィルドア主催の「ワンダリングチャレンジ横浜トリエンナーレ大会」にて台湾研修。キャベツの視察を行う。
2025年1月26日~2月2日
海外模擬国連会議THIMUN Qatar参加にてカタールへ。キャベツの視察を行う。
2025年5月
クラウドファンディング開始
さいごに、活動名とステッカーのデザイン、大切なプロジェクトメンバーをご紹介して、終わりにしようと思います。
名前は、「紅凜」です。「紅凜」と書いて、グリーンと読みます。
ECOの心と和の心の2つの要素を含めたいという想いから名付けました。

デザインのモチーフとなったのは、1輪の緑の薔薇です。
皆さんは収穫される際のキャベツを見たことはありますか?
商品として陳列される頃には見られませんが、収穫前の多くの外葉は、まるで花弁のごとく、大空に向かって開いています。私はこれを見た時、まるで「緑の薔薇」のようだと、まるで一種の芸術作品のようだと、感じました。
多くの外葉が廃棄されてしまっている現状を知っていたからこそ、再び1輪の凜とした薔薇のごとく美しく残していけたらなんて素敵だろうか、とよく耽ってはプロジェクトのモチベーションにしていました。
そこで、「根を絶すことなくキャベツ和傘が残りつづけてほしい」という願いを込めて、あえて土に根をつけたままの薔薇をモチーフに。また、美しい薔薇は手入れやトゲに常に気を付けなければいけないように、「日本伝統工芸品も繊細なものであるんだよ」というメッセージ性を込めた、そんなオリジナルステッカーを現在作成しております。
一部のリターンには、そんなデザインが施されたステッカーをご準備しており、色は和傘に用いられる5色(変更の可能性あり)の中から指定できます。キャベツだから最後まで緑である必要なんてありませんので、ぜひ自分に合ったものを選んでみてくださいね。
★ステッカーデザインは、紅凜のInstagramにて後ほど発表いたします。

キャベツ和傘プロジェクトを共に奮闘してくれている大切な仲間たちをご紹介します。


最新の活動報告
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【クラウドファンディング達成のご報告】
2025/07/23 08:00【クラウドファンディング 目標金額達成のご報告】5月末より実施しておりましたクラウドファンディングが、昨日7月20日を以て終了いたしました。ーーーー・支援金額:400,000円 (目標金額の100%)・支援者数:46名様ーーーーご支援してくださった皆様に感謝申し上げます現在、リターンの発注準備に取り掛かっております。また、公文国際の先生方、高校の同期や先輩方、後輩たち、今までご縁があった方々から、今回が初めましての方々まで心から感謝申し上げますしばらくは受験本腰となり、頻繁な活動やSNS発信は難しいかもしれませんが、皆様からの応援の気持ちとご期待と、皆様への感謝の気持ちを胸に、大切に、丁寧に、プロジェクト実現に向けて全力で走り続けていきます。2025.07.23 紅凜プロジェクト 一同 もっと見る






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