こんにちは、認定NPO法人アジア・コミュニティ・センター21(ACC21)の辻本です。
プロジェクトをはじめて約1か月。これまでに12人の方にご支援をいただきました。さらに、このキャンペーンをきっかけに、クラウドファンディング以外でのご支援もたくさんいただいています。クラウドファンディングでの達成率はまだ11%ですが、クラウドファンディング以外も合わせると、これまでに30万円を超えるご支援をいただきました。本当にありがとうございます!
今日は、路上で生きる、ということがどんなことなのか、皆さんに少しシェアしたいと思います。
2016年夏、ひとりの青年をシンポジウムのためにフィリピンから呼びました。彼の名はジュード・ナティビダッドさん、当時19歳。
ジュードさんは、元ストリートチルドレンです。幼い頃は、お父さん、お母さん、そして3人のきょうだいと、とても幸せに暮らしていました。その生活が変わったのは2003年。ジュードさんは当時5歳で、もうすぐ小学校に入学するというときでした。あるとき、突然、外から人がやってきて、ジュードさんたち家族を家から強制的に追い出したのです。そのあと、家や小屋を転々と移り住む生活が続き、最終的には避難センターでホームレスの人たちと一緒に生活するようになりました。
ジュードさんは、他のストリートチルドレンと同じく、物乞いをしたり、ゴミ箱から食べ物をあさったり、路上で寝るようになりました。その身なりから犯罪グループの一員のようにみられ、人から無視されたり、罵られたりすることも日常でした。
7歳のころ、そんなジュードさんの人生を変える出来事がありました。ある日、子どもたちが集まっているのを見かけて近づいてみると、みんなが車の中のテレビを見ていました。テレビには子ども向けの教育番組が流れていて、その横には男の人が立っていました。彼は、クヤ・ジェシー(「クヤ」はフィリピノ語でお兄さん)。現地NGOチャイルドホープのスタッフでした。
番組が終わった後、クヤ・ジェシーはジュードさんに近づき、話しかけてくれました。このことがきっかけで、ジュードさんはクヤ・ジェシーの教育活動に積極的に参加するようになりました。
しかし、それですべてがうまくいったわけではありません。クヤ・ジェシーとの出会いのすぐ後、両親が別居し、それまで以上に働かなければならなくなりました。物乞いや駐車場の案内の手伝いなどをして、なんとか稼いだお金は、すべて家族のために費やしました。そのために、一時学校をやめた時期もありました。
しかし、クヤ・ジェシーは、ジュードさんを見かけるたびに、声をかけ、活動への参加を促してくれました。この、いつも気にかけ、学びを促してくれる存在が、彼を救ってくれたのだと思います。そして、そのおかげで、ジュードさんは子どもの権利や責任、基本的な保健の知識、自分の身の守り方などを学ぶことができました。
今、ジュードさんは大学で学び、ストリートチルドレンのために活動をしています。ジュードさんがシンポジウムの最後に話したことがとても印象的でした。
『路上で生活し、働くことは決して簡単なことではありません。安定した収入がないことも、次の食事がどこで得られるのかわからないことも、家族を守ってくれる人がいないことも、簡単ではありません。でも、だからと言って、私が知り、望み、達成することが、妨げられるわけではありません。
私たちは、決してあきらめるべきではありません。与えられた人生に、学びの機会や住む場所、あなたを愛してくれる人、着られる服を得られたことに、平和な生活を送れることに、感謝すべきです』
今、私たちが支援をしようとしている若者たちも、ジュードさんと同じように、幼い頃から路上での暮らしを強いられ、時に無視され、罵倒され、それでも生きていくために物乞いをしたり、食べ物をあさったり、そういった壮絶な暮らしをしてきた少年・少女です。
彼ら・彼女たちが、自分は価値のある人間なんだと思えるようになり、自立のために努力する気力を得るには、たくさんの人からの応援が何より大切です。ぜひ、立ち上がろうと頑張っている若者たちのチャレンジを応援してください!
《写真は今年8月、職業訓練に真剣に参加する少女》