3月16日。ついに、この日が訪れました。抗がん剤の副作用で、髪の毛が抜け始めたのです。最初は、ほんの数本。けれど、指に絡まる髪の量がどんどん増えていく。そっと引っ張るだけで、途切れることなく抜け落ちていく。一瞬、時間が止まったように感じました。わかっていたことなのに、心のどこかで「まだ大丈夫」と思っていたのかもしれません。でも、現実は待ってくれない。「女として、これはどう受け止めたらいいのだろう?」悲しいような、切ないような、言葉にできない複雑な感情が押し寄せました。鏡に映る自分を見つめながら、気丈に振る舞おうとしました。でも、やっぱりダメでした。後になって、涙が止まりませんでした。髪が抜け続ける自分を見ていることが、こんなにも辛いなんて——。だから、決めました。「自分の意思で、手放そう。」今日は、20年来の友人がいる安心できるお店TIECHELで、人生初の本当の坊主にしてきます。このまま放っておけば、服も床も髪だらけになってしまう。でも、それより何より、これ以上、抜け落ちていく姿を見たくない。私は、私の手で、私の新しい姿を選ぶ。これもまた、私の「生きた証」のひとつ。そして、これからも変わらず前を向いていくために。それでは、またお会いしましょう。新しい私、「坊主の希良梨」と。——ここに気持ちを綴ることで、私は平常心を保っています。





