「“食べなきゃ”より、“わかってほしい”が先にあった」
これは、ある摂食障害当事者の体験をもと描いた、ある管理栄養士とのお話です。




このようなすれ違いは、決して珍しくありません。
「わかってほしいけど、うまく伝えられない」そんな思いを抱えたまま、毎日を過ごす患者や家族が、たくさんいます。
そして現場には、「どう関わればいいのか」と悩みながら、患者に向き合う管理栄養士もいます。
本来なら、安心できる栄養指導があれば、苦しみを和らげられるはずなのに──そんな場所が、まだ足りていません。
私たちAllyableは、当事者や家族が 「この人なら、話してみてもいいかも」
──そう思える栄養のプロとの出会いを広げていきます。
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<目次>
①ただの“食べ過ぎ”や“痩せたい願望”ではない摂食障害
②摂食障害の回復に欠かせない、けれど足りない管理栄養士
③重症化しない限り、栄養指導につながらない現状
④「つながり方」から変える、摂食障害支援
⑤具体的な実行内容 Step 1: 育てる
⑥具体的な実行内容 Step 2: つなげる
⑦実行計画
⑧資金使途
⑨一般社団法人Allyable紹介
⑩チーム紹介・応援コメント
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① ただの“食べ過ぎ”や“痩せたい願望”ではない摂食障害
食べることが、こわい。太ることが、許せない。でも気づいたら、衝動的に食べてしまって、止まらない——。
摂食障害は、単なる「行き過ぎたダイエット」「ストレスからのやけ食い」などではありません。
食べることや「痩せていること」と自分の価値が結びつき、生き方そのものを縛ってしまう心の病です。


では「摂食障害」と聞いて、あなたはどんな人を思い浮かべますか?
特別な人? めったに出会わない病気?——いいえ、実はそれは間違いかもしれません。
16〜23歳女性の約17%に、何らかの食行動異常が見られるという調査結果があります。
10人に1人以上。これは、クラスにも、バイト先にも、職場にもいるような数です。

でも多くの人が、自分が病気であることに気づけずに、また「わかってもらえない」と感じて、静かに苦しみ続けています。
摂食障害の回復に欠かせない、けれど足りない管理栄養士
食にかかわる摂食障害。だからこそ、回復の過程には、管理栄養士の存在が欠かせません。
実際に、アメリカやイギリス、オーストラリアといった治療先進国では、摂食障害専門の管理栄養士が治療チームの一員として活躍しています。

しかし日本においては、摂食障害に対応できる管理栄養士はほとんど養成されていません。日本の管理栄養士養成課程では、摂食障害を含む精神疾患について学ぶ機会がほとんどないためです。

摂食障害がどのような病気なのかを学習する機会も殆どなく、対応方法も分からず、さらに経験のある管理栄養士から助言を得ることも難しいまま患者と向き合うことになります。
結果的に、患者にとっては苦しみを分かってもらえない、管理栄養士にとっては上手く対応できない栄養指導の場になり、摂食障害の栄養相談に躊躇する状況を作ってしまうのです。
がんや生活習慣病には、専門知識を持った管理栄養士を養成する仕組みがあります。けれど、摂食障害にはまったくないのです。
③重症化しない限り、栄養指導につながらない現状
患者の目線に立てば、重症化して入院でもしない限り、管理栄養士に出会う機会はほとんどありません。
民間には肥満やダイエット向けの栄養指導サービスもありますが、摂食障害を前提としたサポートは、ほとんど存在しないのが現状です。

本来なら、体調や心に深刻な影響が出る前に、信頼できる誰かとつながることが必要です。
けれど現実には、「もう食べることが怖くて、何も食べられない」「過食衝動に振り回されて仕事や学校にも行けない」「倒れて緊急入院」――そんな切羽詰まった段階になって、やっと管理栄養士に出会うことになります。
しかしそのときには、「こういうふうに食べましょう」という言葉を受け取れる心の余裕は、もう残っていないことが多いのです。本当に必要なのは、もっとずっと手前の段階で、そっと寄り添い、話を聴いてくれる存在なのです。
④「つながり方」から変える、摂食障害支援
摂食障害は、決して珍しい病気ではありません。しかし、必要な支援には、なかなかたどり着けない病気です。
私たちAllyableは、摂食障害に特化した専門的な知識と姿勢をもつ管理栄養士を育成し、その管理栄養士と当事者がスマホひとつでつながれる仕組みをつくります。

学校、職場、自宅、どこにいても。
「どうしていこうか?」と耳を傾け一緒に考えてくれる存在と、必要なときに出会える社会を実現します。
⑤具体的な実行内容 Step 1: 育てる
まずは、摂食障害に対応できる、専門の管理栄養士を養成します。
そのために、兵庫医科大学の摂食障害専門医師・管理栄養士と共同で、より実践的で臨床現場に根ざした「専門管理栄養士養成プログラム」を開発します。
従来の座学だけでなく、AI患者と対話する模擬演習などを通して、リアルな対応力を育みます。

さらに、現場で迷ったときに立ち返れる、栄養指導マニュアルも作成。
誰でも活用できるよう、無料のオープンソースとして全国に公開する予定です。


⑥具体的な実行内容 Step 2: つなげる
次に、養成プログラムを修了した専門管理栄養士と、摂食障害で悩む当事者・家族をオンライン上でつなぐマッチングサービスを開発します。
ただ“つながる”のではなく、「この人となら、安心して話せる」──そう思える関係性の入口をつくることが、私たちのめざすつながりです。
病院に行くのがむずかしいときでも、自宅や職場、学校の保健室など、どこからでもスマホひとつで専門家とつながれる。
そんな一歩を誰もが踏み出せる社会を、このサービスを通じて目指します。

⑦実行計画
本クラウドファンディングが終了してから、2025年内中にマニュアルの開発とプログラムの骨子確定を勧めます。2026年度春頃から第一期専門管理栄養士の養成を開始し、2027年度中に患者・家族に対する栄養指導サービスの本格提供を目指す予定です。

段階的に、でも着実に。現場と当事者に寄り添いながら、未来の仕組みを育てていきます。
⑧資金使途
皆さまからご支援いただいた資金は、摂食障害に対応できる専門の管理栄養士を養成し、誰でもオンラインで安心して相談できる仕組みをつくるために、大切に活用させていただきます。
資金は主に以下の用途に充てられます:
① 専門カリキュラムの設計・講義の収録… 兵庫医科大学と連携し、実践的な教育コンテンツを開発
② AI患者による模擬実践開発… 現場で役立つリアルな演習を可能にする技術開発
③ 支援の質を高めるオンラインツールの開発… 管理栄養士と患者をつなぐコミュニケーション支援
④ 広報や運営体制の整備、参加者募集… 全国の管理栄養士や当事者へのリーチを広げます
⑨社団法人Allyable/代表紹介
Allyable(アライアブル)は「当事者やその家族・パートナーが、摂食障害になっても希望を失わない社会」を実現する非営利団体です。
摂食障害の元当事者と、医師や心理士といった医療専門家、企業や地域における女性活躍推進の専門家など多様な立場のメンバーが参画し、啓蒙活動や治療支援ツールの開発・運営に取り組んでいます。

代表メッセージ
私がこのプロジェクトを立ち上げたのは、かつての自分のように、誰にも相談できずに苦しんでいる人に、「頼ってもいいんだ」と思える選択肢を届けたかったからです。
大学時代、私は摂食障害に苦しみながらも、精神科や心療内科を受診することに強い抵抗感がありました。ようやく勇気を出して訪ねたクリニックでは「摂食障害は、治す気がない人が多いんだけど、あなたもそうでしょ?」と言葉を投げかけられ、扉を閉ざしてしまったこともあります。
でもある日、大学の栄養相談室で出会った管理栄養士さんが、私にこう声をかけてくれました。
「勇気を出してきてくれてありがとう。つらかったね。」その言葉に、涙が止まりませんでした。
「医療の中にも、味方はいるんだ」そう思えたその瞬間から、私の回復は少しずつ動き出したのだと思います。
今回のプロジェクトでは、そんな“味方”となる管理栄養士を育て、必要な人とつなげる仕組みをつくります。それが、いま苦しんでいる誰かの、「一歩踏み出すきっかけ」になることを願っています。
⑩チーム紹介・応援コメント




<参考文献一覧>
*1 ANAD. "Eating Disorder Statistics". ANAD. https://anad.org/eating-disorder-statistic/. 2024/5/11
*2 Nakai Y, et al. Psychiatry Res 219: 151-156, 2014.
図内データ https://www.nationaleatingdisorders.org/statistics/、https://www.singlecare.com/blog/news/eating-disorder-statistics/、https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=daWRhKdTNvsjgjM5、菅原彩子他. 医療機関を受診していない摂食障害患者の支援ニーズ に関する調査研究. 心身医学. 2023, 63巻(3), p. 241-250.
最新の活動報告
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Eatally Letter vol. 2 - 11/16(日) 活動報告イベント実施します!
2025/10/13 21:0011月16日に活動報告イベント(オンライン+対面)実施します!いつも温かいご支援をありがとうございます!【摂食障害専門管理栄養士の養成+オンライン栄養指導の実施】に向けたプロジェクト、徐々に立ち上がり、進んできています。最近は栄養指導マニュアルの作成も中盤に差し掛かり、AI患者の開発に向けた準備も始めているところです。こんな感じでマニュアルを作っています!先生から修正の指摘を受けるたび、事務局のみんなで勉強中ですそんなプロジェクトの進捗を早く皆さんに共有したい!…と同時に、改めて「なんで管理栄養士なのか」「今、摂食障害の治療体制はどのようになっているのか」、などについてお話させていただきたく、このたび活動報告イベントを開催します!クラファンをご支援くださった方のうち、活動報告イベント付きのリターンをご選択いただいた方は無料で参加していただくことが可能です。(別途該当する方に対してクーポンコードを付記したメールを配信させていただきます)対面でご参加くださった方には、代表・松下はもちろん、その他に事務局スタッフやピアサポーター(元当事者)も参加してご挨拶とお礼を伝えさせていただく機会にしたいと思っております。ぜひ奮ってご参加ください~~~!<イベント概要>・日時:11月16日(日)14時~16時 (途中入退室可能)・会場:オンライン配信(Zoom) または 対面参加(東京・銀座駅周辺)・イベント詳細・お申し込みはこちら→https://eatally-event1.peatix.com/今回のイベントでは、まず弊社代表である松下と、事務局スタッフとして栄養指導マニュアルの執筆に関わっている丹羽の両名から「海外/日本それぞれにおける摂食障害治療の現状」についてご説明するほか、精神科における管理栄養士の活躍を切り開いた第一人者でいらっしゃる阿部 裕二先生をお招きし「摂食障害の治療において、管理栄養士が留意するべき点 / 管理栄養士だからこそ出来る貢献」は何か?…といった点について、お話を伺います。また、実際に「摂食障害専門管理栄養士によるオンライン栄養相談」を受けた当事者家族の体験談もご紹介。「摂食障害に詳しい管理栄養士と話すと、何が変わるのか?」を一緒に考える機会も設ける予定です!イベントの最後には、事務局スタッフやピアサポーターを交えてざっくばらんに雑談しながらお話する交流の場も!当事者経験をお持ちの方も、ご家族・治療者の方も、単純にこの課題に興味がある方も…どなたでも楽しんでいただけるように工夫しますので、気軽にご参加ください。会場/オンラインにて、皆様にお会いできることを心より楽しみにしております!Allyable 事務局スタッフ もっと見るEatally Letter vol. 1
2025/09/22 18:00こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
Allyableメンバーの想い④ まいさん
2025/06/20 18:00とうとう本日でクラウドファンディングが終了します!今回一緒にクラファンを実行しているAllyableのメンバーに、活動への想いを聞きました。<中村真唯:元当事者・精神保健福祉士、社会福祉士>私は、高校生の頃から約12年間摂食障害と闘ってきました。入院時の栄養指導を受けた経験もありますが、「どうせわかってもらえないから...」と一言も話さず、栄養士さんの言葉にまともに耳を傾けた試しがありませんでした。支援者となった今、それがどれほど栄養士さんを困らせていたかと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいです。私は運良く支援してくれる方々に恵まれてここまで回復することができました。ただ、日本の精神医療福祉ではそれも十分でないのが現状です。Allyableの活動に参画するようになったのも、そんな医療や福祉を決して否定せず、連携・協働しながらも元当事者だからこそできる支援があるはず、という松下さんの想いに強く共感したからです。今回目標としている「摂食障害専門の管理栄養士育成プログラム+オンライン栄養指導サービス」もそんな想いから生まれたものです。自分が当事者のときにこのようなサービスがあればどれほど心強かったか...だからこそ、今まさに苦しんでいる方々に対して私たちが届けなければいけません。Allyableの活動は、摂食障害支援の未来を必ず変えるものと信じています!+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*Allyableでは、元当事者やそのご家族と医療従事者が共同で摂食障害という課題に取り組むことを重視しています。本プロジェクトで実行する「摂食障害専門管理栄養士によるオンライン栄養指導」についても、医療の視点はもちろん、「自分のつらさを分かってくれる安心感」を、元当事者の視点を入れることで提供していきます。引き続き応援のほどよろしくお願いいたします! もっと見る









CHANGEチームサポーターとして大変お世話になり 始動アルムナイ・J-StarX(シリコンバレー)でもご一緒させていただいた ゆいきパイセン!!! 僕の大学一年の娘も 食に関してはかなり気を遣っていますので 応援させていただきます!!!