2018/07/26 19:07
久野 飛鳥

1997年東京生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科3年在籍。学内において長谷川良夫賞受賞。5歳よりピアノ、6歳より作曲をヤマハ音楽教室にて学ぶ。これまでに多数のコンサート等に出演、自作初演を行う他、芸大ミュージカルエクスプレスやオペラ等で伴奏者としても幅広く活動中。8月に、作曲したDREAM POWER Project4「SHINY-名もなき島に咲いた夢-」上演予定。one TO kyo旗揚げ公演『歩け歩け夜の街、道』では作曲を担当。今回も作曲を担当。

 

―本日はミュージカルの軸である音楽を支えるone TO kyoの座付き作曲家、久野飛鳥さんにお話を伺います。久野さん、よろしくお願いします―


よろしくお願いします。


―久野さんはいつも精力的に活動されていますが、8月にも公演を控えているということで、one TO kyoも含めるとものすごい作業量ではありませんか?―


作業スピードが速いんです。機械には弱いので、主にアナログ面で…笑作曲も、単純に作業時間自体にはあまり時間をかけない方です。


―それにしてもすごいですね……!元々ミュージカルの作曲に取り組もうと思った理由は何でしょうか?―


昔から音楽をやっていたので、自分にとって、(エンターテイメントのような)非日常が日常にある感覚は常にあったのですが、舞台に明確に興味を持ち出したのは中学生のときですね。WICKEDという作品を知り、その中のNo good deadという曲に衝撃を受けました。今まで自分が学んでいたクラシックから超越した和声に、こんな表現方法が世の中にあるのか!と思い、そこから少しずつミュージカルの曲を聞いたり、情報を集めたりするようになって。

その中で、人の人生を描き、生きることの出来るミュージカルという世界そのものに惹かれましたし、あとは、日本にミュージカルの作曲家は少ないので、まだ日本に根付いていないところでチャレンジしてみたいと思ったのもきっかけの一つです。


―そうですね、日本ではまだまだブロードウェイやロンドン、フランスなどからの輸入作品が主体です。さて、one TO kyoでの2作目となる今作、どのような思いで挑まれていますか―


王道ミュージカルと名を売っている以上、王道。……と見せかけて、一筋縄ではいかないような作品にしたいなと笑

普段勉強していることが全く違うメンバーが集まっていて、それぞれの個性が強いカンパニーなので、一人一人の個性を一切妥協することなく出し切らないと勿体無いと思っていて。舞台の魅せ方としてはきちんと要所を押さえているけれど、それでいてなんだかカオスで、凄いことが起きている舞台になったら良いなと思います……!


―役者や脚本を見つめて緻密に織られた久野さんの作品がたくさんの人の耳に触れるよう企画メンバー、一同頑張ります。最後にこの質問、思わず「なんのこれしき」と言ってしまった出来事を教えて下さい―


実際なんのこれしき、と口に出したことはありませんが笑、人生は「なんのこれしき」の連続であるように感じます。

多分、人にはそれぞれこの作品の人物のように、他の人には分からない様々なバックグラウンドや傷があって、それを抱えて生きているのだと思います。なんのこれしき、と思って解決してきたこともあると思いますが、まだプラス思考に考えられない問題を抱えた方が、この作品を見ることで、なんのこれしき!と前向きに思って頂けたら嬉しいなと思います。


―久野さん、本日は本当にありがとうございました!ミュージカル作曲家として大きな舞台で作品を上演したい、ミュージカルというジャンル以外でもオリジナル性の高い作品を生み出し続け、聴衆を惹きつけられる作曲家になりたいと語ってくれた久野さんの新作「なんのこれしき」をみなさまどうぞお見逃しなく―