
クラウドファンディングのご支援、本当にありがとうございます。
今回は、この「コウノトリが飛ぶ島国で、この部屋で」という公演企画の構想が、いつからスタートしたのかというお話をしたいと思います。……なんか、ちょっと恥ずかしいですね。
この企画の構想が生まれたのは、OrgofAが立ち上がった2018年のことです。
今が2025年なので、7年前になります。
少し長い話になりますが、お付き合いいただけると幸いです。
OrgofAを立ち上げた2018年当時、実は私は俳優をやりながら、栄養士として働いていました。
同僚の栄養士は4人(女性3人、男性1人)。私を含めて、5人の栄養士でした。
その同僚の中で結婚していたのは女性2人。そのうち1人は30代後半で、お子さんがいませんでした。
休憩中や食事中、ちょっとした時間に、そこで働いているいろんな方が、「お子さんはまだ作らないの?」と、その栄養士さんに聞くのです。
その方は、眉を下げて「あははは、どうなんでしょうかねー」と笑っていました。
その年、私の友人が出産して、100日のパーティーを開いたんです。
大人数でお庭でバーベキューをして、ちょっと寒くなってきたので「部屋でアニメでも見ながら話そうか」なんて言いながら、その友人の新居でのんびりしていた時のことです。
「飛世のところは、子どもつくんないの?」
「ははは、どうかねぇ〜」
「飛世の家はおままごとみたいなもんだからね」
「えー?どういうこと?」
「子どもがいないってこと」
衝撃でした。
頭をぶん殴られるって、こういうことなんだなって思いました(笑)。
そういう時って、なんで何も言えないんでしょう。ただ、笑ってるだけ。
私は、あの同僚の栄養士さんの笑顔を思い出しました。
この出来事がきっかけでその友人とは疎遠になってしまいました。
でも、あとから聞いたんです。
その友人は、初めての赤ん坊の世話で夜はほとんど眠れず、ご家庭があまりうまくいっていなかったと。
あの時の発言が、私の中でなんとなく腑に落ちました。
どの選択にも、きっと幸せと不幸があって、それは本人にしか分からないはずです。
それは、妊娠・出産・育児に限らず、すべてにおいて言えることだと思います。
でも、現実は違います。
なんか、モヤッとしました。
性と、性別と、性教育と、経済と、人間関係と、会社と、家族と、社会と、国と、今までの歴史と、そして自分の身体と――
密接に、こんがらがった「妊娠・出産・育児」の話を創れないだろうか?
たくさんの辛さを、たくさんの幸せを、たくさんの選択肢を感じられる物語を、舞台という生身の人間が演じる場所で創れたら、…それを観た人はもしかしたら自分のしなかった選択肢もちょっとだけ大事にしてあげれるんじゃないか。
でも、そんなの創れるか?!
無理じゃない?!むずすぎ!!
あーーー!これは今すぐにじゃない。いつかやろう。
そのモヤッと、グチャッとした私の頭の中で、この企画はひっそりとスタートしました。




