2018/12/21 11:29

このアルバムに収録される「中国のマドンナ」という曲(DEMO音源21:40からライブ音源20:25から)は、他の国のバージョンでは「別にシチュエーションは黄河のほとりとか中国でなくてもいいよ」と言っている。

カンボジアのくっくま孤児院に着いて、車座になって「どんなシチュエーションにする?」と話し合った。

まずは「君たちがね、将来好きな人が出来て、結婚して住むとしたらどんなところがいい?」と聞くところから始まる・・・

バンドの4人の意見はだいたい同じだったようで、やはりそこはプノンペンのような都会ではなく、小さな田舎の村だったようだ。

「川のそばの小さな村の中の小さな家」というのがこの曲のテーマである。

みんなどんな村を想像してこの詞を書いたのだろう・・・興味津々である。

実際にそのイメージを詞にするのは主にボーカルの子。他の3人は意見を言ってこの子が詞にまとめる。またこの子がちょっと言葉探しなど迷った時にはみんなに意見を聞いているようだ・・・

座って書いてたのだが、だんだん熱が入って寝そべって来る・・・(笑)

出来たら歌ってみる。

ここからはボーカルだけの作業で、他の3人は心の中で声援するのみ・・・

ここでワンコーラスだけだが一応最初のバージョンが完成するのだが、「詞を直したい」というので、残りは翌日に持ち込んでこの日は終了!!

このような前向きな意見が出るということは素晴らしいことである。詞のレベルが上がるだけではなく、詞にどんどん思い入れが詰まってくる。

終了後は孤児院のみんなと一緒に差し入れのスキヤキをみんなで食べる〜・・・ちなみに生卵はイオンプノンペン店で生食用のを買って来ました。牛肉は一応25人分買って来たつもりだが、英語塾に行っている8人の分もほぼ全部食べちゃった・・・(笑)

さて翌日に子供たちが学校から帰る頃を見計らって行ってみたら、うろ覚えだったメロディーも完璧に覚えていて、詞の直しも終わっていた。

つるっとレコーディングして2番を作っておしまい!!

演奏するのは簡単な曲なので、イントロとかをバンド用に作ってあげて簡単なバンドアレンジをしてあげる。

なぜかと言うと、この子たちは先日も結婚式に呼ばれて演奏するという「仕事」に行って来た。

カンボジアでは結婚式は延々4時間とかずーっと演奏しなければならないらしく、これはバンドとしては「出口」があるなと考えてのことである。

日本のバンドから「僕たちデビューしたいんですけどどうやったらデビュー出来ますか?」と聞かれることがあるが、こっちが聞きたい!!(笑)

日本はひと握りのレコード会社と音楽プロダクションが全てを牛耳っていて、そこに辿り着かないとあとはインディーズしかない。

インディーズも、ライブハウスは基本自分で客を呼ばねばならない訳で、ここから顧客が広がってゆくということは夢のまた夢である。

カンボジアの音楽界もきっと一部のトップの人たちだけで回っているのだろうけど、見知らぬ大勢の人の前で演奏出来るチャンスが多いということは、彼らのように「何も持たない」人たちにとっては大きな「出口」だなと思ってのことである。

4時間も演奏するのだから、このようなオリジナル曲を演奏したっていいだろうし、この曲の設定の村を新郎新婦の村に変えるだけで、新郎新婦への大きなプレゼントになる・・・

彼らは孤児なので当然音楽教育など受けたことはなく、見様見真似で楽器を弾いているだけと言うが、なかなかどうして飲み込みも早く、一瞬でバンドバージョンが出来上がった。


さて前日の歌入れの時にも思っていたのだが、もともとこのオケがあって、それに合わせて歌っているだけなので仕方がないのだが、この子にとってはこの曲のキーはちょっと低いようだ・・・

ちゃんとキー合わせをしてみる。


もともとCのキーなのだが、Dぐらいまで上げてあげるのがよさそうだ・・・

というわけで、バンドのみんなにはこれは「宿題」。さっき演奏したものをDのキーで出来るようにして、間奏も自分でいいメロディーを考えて完成させて下さい〜

それにしてもこのボーカルの子はずーっとリーダーシップを発揮していて、さすが「歌手になりたい」という夢を持っているだけのことはある・・・

彼女から送られて来たお手紙

オケのキーを機械で強引に変えて彼女にもう一度歌ってもらった。

もうメロディーもちゃんと頭に入っているのでつるっと2回歌ってもうOK!!

ホテルに帰ってデータを編集して簡単なMTVにしてあげた。

これを作りながら何故か彼女の歌と可愛らしさに涙が出て来た・・・

いや、本当に「歌手になる」どころか、ヘタしたら「カンボジアで一番のスター」になれるかも知れんぞ・・・(ブログ「希望の星になれ」)

この子たちははたしてどんな村のどんな小さな家を思い浮かべて詞を書いたのだろう・・・

そして将来はどんな伴侶を見つけてその描いたような生活をするのだろう・・・

この子たちがこの日に思い描いた通りに、幸せな人生を歩んで欲しいと心からそう願う。


この曲はオケは既に完成。クメール語版の本チャン歌入れは来年、そして日本語版の歌は年末に入れる予定です。

仕上がりをお楽しみに!!