ひと口に「中国民族楽器」と言っても色んな楽器があるが、中でも私がよくアレンジで使う楽器は「二胡(ErHu)」、「琵琶(PiPa)」、そしてこの「楊琴(YangQin)」である。
中国琴「古筝(GuZheng)」も時々使うが、基本的にキーが「C」に固定されるという問題がある。
もちろん根本のチューニングを変えて、Gとか別のキーにも出来るが、変えれば変えるほど弾き手にとって違和感があるだけでなく、この楽器は実は基本「5音階」、すなわち「ドレミソラ」の楽器なのだ。
左手で弦を押してギターで言う「チョーキング」をして「ファ」とか「シ」とか出したりは出来るが、奏法が限定されてしまい、西洋楽器のように「これ弾いて」ですぐに弾けるとは限らない。
「笛子(DiZi)」という、いわゆる「笛」もあるが、これも基本「5音階」。
吹き方のテクニックで全音階どの音も出ることは出るのだが、例えば同じ「5音階」の「尺八」を想像してみて欲しい。
尺八でJazzを吹くプレイヤーとセッションしたことがあるが、もの凄いテクニックで12音階と半音含めて全ての音符を吹けるのであるが、目を閉じて聞いてみると「フルート」の音にしか聞こえない(笑)
やはり民族楽器にはその民族楽器独特の奏法があるので、それを熟知していないと民族楽器のアレンジはなかなか難しいものがある。
さて私は中国ではおそらく中国民族楽器を一番多くアレンジしている外国人音楽家なので(笑)、今回もこのアルバムに収録される「中国のマドンナ」という曲には是非中国民族楽器を入れようと思い立った。
先日は「琵琶(PiPa)」を入れ、今日は「二胡(ErHu)」と「楊琴(YangQin)」を入れた。(私は香港から譜面を送ってネットで演奏をチェック)
まずこの「楊琴(YangQin)」という楽器が日本人には全く馴染みがないだろう。簡単に言うと、ピアノの弦の部分だけを丸裸にして、それを専用のバチで叩くという楽器である。
まずこの楽器・・・チューニングが大変(>_<)
なにせピアノと同じで持ち運んだだけでチューニングは崩れるわけだから、毎回毎回自分でチューニングしてから演奏を始めなければならない。
(動画がうまく表示されない方はこちら)
「楊琴(YangQin)」の奏者は調律も出来なければならないので大変です・・・
この楽器は12音階のみならず、全ての半音も全部出る楽器なので、私の場合はよくギターのアルペジオの代わりに使ったりする。
代表作としてはこれ!!
でもこの曲では使ってないけど、この楽器の特徴的な弾き方はトレモロ。いわゆる「連打」して長い音符を弾く奏法ですな・・・
この曲「中国のマドンナ」ではサビの部分で使ってます。
(動画がうまく表示されない方はこちら)
そしてお馴染みの二胡!!
この楽器も12音階、半音も含めて全ての音も演奏することが出来るのだけれども、ギターのようにフレットもなく、バイオリンのように指板もない。
おまけに弦に指を置いているだけの状態で弓で弾くので、ちょっと強く押さえつけ過ぎると音がシャープしてしまう。
例えばピアノなんかでは、ひとつの鍵盤を叩いたら必ずその音程の音が出るが、この楽器は「作音楽器」と言って、常に音を探りながら演奏せねばならない。
自論ではあるが、二胡の音色を初めて聞いた日本人も、何か「懐かしい」と感じるのは、音を探りながら演奏する際に必然的に「こぶし」を回すので、そのこぶしの回し方がアジア人独特の「懐かしさ」になるのではと思っている。
私の代表作としてはこのアルバムの22:50からの「ろう君の初恋」と、48:18からの「Memories」!!
(それにしても誰がこのアルバムをフルでアップしたのでしょう・・・(笑))
これらの曲は二胡をメインの旋律楽器として使ってますが、今回は歌のアルバムということで二胡をサブの旋律、つまり「裏メロ(対旋律)」を弾く楽器として使ってます。
(動画がうまく表示されない方はこちら)
その他にも「初恋」を表現する曲としてもう1曲民族楽器を使った曲「ろう君の初恋」も収録しますので、出来上がりをお楽しみに〜